医学のあゆみ278巻6号 構造生命科学による創薬への挑戦

  • ページ数 : 120頁
  • 書籍発行日 : 2021年8月
  • 電子版発売日 : 2021年8月4日
¥2,860(税込)
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商品情報

内容

企画:岩崎憲治(筑波大学生存ダイナミクス研究センター)

・タンパク質の発現・精製技術の発達,構造解析のためのハードウェア・ソフトウェアの発達によって,構造情報の蓄積スピードが猛加速し,それを利用したライフサイエンス研究は枚挙に暇がない.
・構造解析情報の急速な増加,そこから先の計算機シミュレーションによる解析に加えて,定量性を扱う生化学,その基礎となる物理化学,有機化学が重要になってきた.
・ビッグデータを使った戦略を立てつつも,検索エンジンではでてこない,基礎的だが必須のデータの獲得に地道に挑み前進することが必要である.

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序文

はじめに

岩崎憲治

筑波大学生存ダイナミクス研究センター


生物学をやっている者でさえ,「生体分子の構造を解いて薬剤の設計ができるのか」という疑問を投げかけてくることがある.それほどまでに医学・薬学への出口をうたいながら,その方面の勉強不足が基礎研究者に否めないのは自戒の念をもって言いたい.

このようなネガティブフレーズから文章をはじめたのは,逆にいえば構造情報が役に立つからである.古くは,ザナミビル,オセルタミビルの開発物語がある.当時は,X 線結晶構造解析法が武器であった.2012 年のノーベル賞になったG タンパク質共役受容体(G protein-coupled recepter:GPCR)の構造の解明には20 年を費やしたという.しかし,おかげで1964年に臨床的に成功をおさめたβ遮断薬の分子機構に,ついに原子レベルでサイエンスのメスを入れることができた.

今はタンパク質の発現・精製技術の発達,構造解析のためのハードウェア・ソフトウェアの発達によって,構造情報の蓄積スピードが猛加速し,それを利用したライフサイエンス研究は枚挙に暇がない.新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が猛威を振るいはじめたその矢先に,2020 年2 月にはスパイクタンパク質の原子モデルが報告された.興味のある人は,ぜひデータベースを覗いてほしい.N501Y の501 番目のアミノ酸残基が実はモデリングできていないことに気づくであろう.つまり,この部分は非常にフレキシブルな構造をしていることがわかる.しかも,最も外に露出した位置にある.専門家ならずとも多少の知識があればこの“絵”をみただけでなるほどという感覚がわく.このとき構造解明に使われたのがクライオ電子顕微鏡であった.わが国は,欧米・中国にこの装置の導入で大幅な遅れをとったものの,今は日本医療研究開発機構(AMED)の主導により旧七帝大,高エネルギー加速器研究機構,そして筑波大学に整備された.

面白いことに,こうした構造解析情報の急速な増加,そこから先の計算機シミュレーションによる解析の進展にともなって,生化学がじわじわと重要になってきた.プルダウンや免疫沈降法では,目的の分子間の結合の有無を判定することはできるが,どれほど強いのかわからない.そこで定量性を厳密に扱う化学である.生物活性は,細胞生物学的な実験をもとに検証できるであろう.しかし,物理的・化学的な性質である“物質性”については,構造や計算機シミュレーションに加えて定量性を扱う生化学,その基礎となる物理化学,有機化学が必要である.ビッグデータを使った戦略を立てつつも,検索エンジンではでてこない基礎的だが必須のデータの獲得に地道に挑み前進することは重要だと思う.疎にして漏らさずの意氣である.

目次

構造解析から創薬へ

タンパク質立体構造に基づいた抗ウイルス薬の創製戦略

グルコース-6-リン酸脱水素酵素異常症の構造基盤

構造から捉えた,エンドセリンB型受容体標的薬の動作原理

Toll様受容体をターゲットとする創薬

フラグメント創薬(FBDD)のための溶液NMR実験法

複合体構造に基づく薬物設計による新規抗菌薬リード開発への取り組み

GPCRの構造解析研究

タンパク質工学から創薬へ

タンパク質工学から創薬へ-スマートドラッグの実現に向けて

指向性進化法による高親和性ACE2創出とCOVID-19創薬展開

タンパク質の化学修飾-基礎研究と抗体医薬品開発への展開

機能性サイトカインの医薬への展開とDDSへの応用

立体構造から眺めるSARS-CoV-2中和抗体

二重特異性がん治療抗体の機能的な構造の理解に向けたあゆみ

高機能化抗体医薬品の開発に向けたIgG抗体部位特異的修飾法

計算機から創薬へ

計算機から創薬へ

ライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)

TargetMineによる生物学的知識の発見

分子シミュレーションと創薬

天然変性タンパク質と創薬

協調的2アミノ酸残基同時変異体の相互作用解析による新規抗体のStructure-Based Design

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書籍情報

  • ISBN:9784006027806
  • ページ数:120頁
  • 書籍発行日:2021年8月
  • 電子版発売日:2021年8月4日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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