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- Heart View 2019年9月号 Vol.23 No.9 先生はどこまでペースメーカを深く識っていますか
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序文
企画にあたって
安部治彦(産業医科大学医学部不整脈先端治療学教授)
国内で心臓ペースメーカ治療が始まって50年近くになる。その間,デバイスは小型化・軽量化・長寿命化され著しい進歩がみられた。以前は,リード留置部位は右心耳と右室心尖部が一般的であったが,血行動態上のメリットから心房中隔や心室中隔留置へと変化し,最近ではHis束ペーシングも一部で試みられている。感染などの併発症がある経静脈リードに代わり,最近リードレスペースメーカも上市されている。また患者管理面においても,従来の対面診療から遠隔モニタリングがデバイス診療の主流となり,従来禁忌とされていたMRI撮像もMRI対応型心臓デバイスの登場によりMRI撮像が可能となった。一方で,徐脈が原因の失神や意識消失があれば以前はすべてペースメーカ適応と考えられていたが,必ずしも適応とはならない場合があることも最近明らかとなっている。心臓ペースメーカは植込まれたが,失神が再発したでは話にならず,ペースメーカを植込む前に十分な治療の有効性の検討が必要なのは当然であろう。
革新的と考えられていたリードレスペースメーカは国内でも大きく期待されていたが,安易な判断や間違った適応で植込まれている例も少なくなく,蓋を開けてみれば予想を遥かに超える致死的合併症や術後死亡の報告が相次ぎ,学会からは何度も注意喚起文が出される始末で,この治療そのものが危機的である。最近,His束ペーシングも一部の施設でなされているが,高いペーシング閾値による早期電池消耗やリードシステム不全発生等によるトラブルは植込み5年以内に約20%の患者で発生していることが報告されている。このような現状では患者のための適切な医療にはなり得ず,早急なデバイスシステムの改良が強く望まれる。いずれも短期的な臨床成績のメリットばかりが強調され,長期的なデメリットを軽視した結果と考えられるが,デバイス患者は一生涯にわたりデバイスとともに生きていかなければならない。そのため,医師は短期の治療有効性は勿論であるが,長期的な有効性や安全性も考慮したうえで治療法を選択しなければならない。デバイス治療で最も優先すべきことは何よりも長期にわたる安全性と確実性であることを今
一度再認識する必要があろう。本特集では,ペースメーカ治療において国内トップレベルにある不整脈専門医に執筆をお願いした。デバイス治療を行う医師が最低限知っておくべき基礎知識からペーシング治療の選択,ペースメーカの最近の新しい治療に至るまで,ホットな情報を交えてある。ぜひ執筆者のペースメーカ治療に対する考え方を学んでいただきたい。
目次
特集:先生はどこまでペースメーカを深く識っていますか 企画・構成/安部治彦
診る
1 ペースメーカ患者の診かた 八木直治
2 ペースメーカ症候群”をいかに診断するか? 石川利之
3 ペースメーカ患者にみられる頻脈,徐脈の診かた(ペースメーカ起因性不整脈)― PMT, RNRVAS, FFRW oversensing ― 南口 仁
4 異なる心房ペーシング部位で心房細動は予防できるか? 林 克英,河野律子,安部治彦
5 心室ペーシング部位により左心機能は変わるか? 鈴木健也,池田隆徳
6 Expertise 心臓ペーシングに必要な解剖学的知識 井川 修
識る
7 リードトラブルの現状はどうか? 中島 博
8 知っておくべきリードレスペースメーカの適応と合併症 野田 崇
9 遠隔モニタリングをどのように活用すべきか? 浅井 徹,渡邉英一
10 植込み型心臓電気デバイス(CIED)患者のMRI 撮像の現状と問題点 楊 培慧,髙木雅彦
11 Expertise His 束ペーシングは果たして有効なのか? 矢崎恭一郎,庄田守男
治す
12 小児のペースメーカ治療の現状と問題点は? 宮﨑 文
13 心抑制型血管迷走神経性失神にペースメーカ治療は有効か? 住吉正孝
14 CRT へのアップグレードはいつ行うべき? 三橋武司
15 リード抜去術の現状と合併症 合屋雅彦
16 Expertise てんかん性失神(ictal asystole)にペースメーカ治療は有効か? 河野律子,安部治彦
連載
・【責任冠動脈を追え!PCI エキスパートになるための25 カ条】
第20条:冠動脈解離を正しく評価し,適切にマネージメントすべし(特発性含む) 和田輝明,久保隆史
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書籍情報
- ISBN:9784008102309
- ページ数:114頁
- 書籍発行日:2019年8月
- 電子版発売日:2021年9月8日
- 判:A4変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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