関節外科 2021年10月増刊号 運動器エコーのエキスパートを目指そう(Vol.40 No.14)

  • ページ数 : 187頁
  • 書籍発行日 : 2021年9月
  • 電子版発売日 : 2021年9月24日
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商品情報

内容

令和元年12月に中国湖北省武漢市を発信源とする新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,瞬く間に世界中に広がりパンデミックを引き起こしました。現在はワクチンの開発・接種などが開始され感染拡大防止や重症化予防が期待されていますが,変異株の出現もありなかなか目に見える効果が表れず,第5波をむかえています。そのコロナ禍で開催された東京オリンピック・パラリンピックは,実施者や参加者のご尽力により,心配されていたクラスターが発生しなかったことは何よりのことと思います。今回,「運動器エコーのエキスパートを目指そう」という特集を組ませていただいた理由の一つに,「東京2020 大会:東京オリンピック・パラリンピック競技大会」がありました。大会参加にあた り出場選手は万全の状態で競技に臨みますが,中にはやむを得ずスポーツ外傷・障害のため治療の必要がある選手もいます。選手の障害予防対策はもちろんですが,スポーツ外傷・障害を発症したとしても,早期発見・治療の結果,早期復帰が可能になります。その早期発見に「運動器エコー」は必須のツールとなるため,本テーマを取り上げました。(編集後記より抜粋)

関節外科バックナンバー

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序文

introduction


超音波検査(ultrasonography;US echo)は,リアルタイムに実施でき,非侵襲的で被曝の心配がないため安全性が高く,動的評価もできることなどが特徴です。対して欠点は,ガスや骨があると反射・散乱されて伝わらないことです。運動器の画像診断では,一般に単純X線検査が用いられますが,これは骨の評価が中心で軟部組織の評価には限界があります。一方,運動器エコーの場合,骨,軟骨,筋,腱,靱帯,神経や血管を評価することができます。例えば,血流の状態をとらえることができ,局所の炎症所見を評価することや運動器の動的な状態を評価することが可能です。また,解剖や疾患の病態を理解していれば医師,メディカルスタッフを問わず学生も利用することが可能です。超音波検査はレジデントがまず診断に利用し,エキスパートの手技を見ることで,診断の幅が広がります。そして,ブロック,筋膜リリースや生検などにも威力を発揮します。

本誌では,エコーの初心者から中級者向けに,エキスパートの先生方のようになるために必要なポイント(テクニック,コツ,ピットフォール)を学んでいただきたく,テーマを「運動器エコーのエキスパートを目指そう」としました。

現在,臨床の最前線で活躍されている指導医の先生方に,エコーのエキスパートを目指す医師ならびにメディカルスタッフにとって必要なエッセンスを中心に執筆していただきました。近年,エコーの隆盛によりさまざまな書物が発刊されていますので,基本的なことは他の成書を参考にしていただき,実臨床で役立つエコー使用に際し,プローブ使用時のコツやエコー所見のポイントなどをイラストや画像を多用してご解説いただいています。総論では,筋・腱,神経,エラストグラフィ,ガイド下手技,ハイドロリリース(hydrorelease),ブロックにおけるテクニックのコツとピットフォールやトピックスについて簡潔にまとめておりますので,それぞれの項目のキーワードとポイントをご確認いただくことで,ミニマムエッセンスを習得できます。項目ごとに関し,腱は,fibrillar patternとして描出され,筋・腱を描出する際の異方性に注意する点,エラストグラフィでは組織剛性を定量化する利点について,そしてガイド下インターベンションでは成功の鍵について,ハイドロリリースではその適応と実際の手技について,神経では神経同定のポイントとして短軸に当てて長軸方向に往復すること,ブロックでは合併症を含めた注意点について,小児では幅広く利用するための小児特有のポイントをまとめていただきました。部位別各論では,実臨床に即したテクニックのコツとピットフォール,ならびに疾患の特徴をまとめていただきました。部位ごとのエコーの適応,解剖を含め具体的な手技や所見について,イラスト,写真やエコー画像を多用した構成になっていますので,読者にとりエコーの技術ならびに所見の評価の習得など大変理解しやすいと思います。

各々の項を熟読することで,エコーのエキスパートを目指す読者の皆様にとって,本誌が,診療の一助となるものと考えていますが,誌面の制約上,取り上げることのできなかった基本的なことは成書を見ていただくことでご容赦ください。

重ねまして本誌は,「イラスト・写真・画像」を多用した大変わかりやすい内容になっています。エコーのエキスパートを含め,エコーに興味・関心のある医師・メディカルスタッフを含めたすべての医療関係者にとって意義のある1冊になるものと考えています。

最後に,ご多忙の中,本誌にご執筆いただきました先生方に改めまして深謝するとともに,本誌が実臨床でエコーを使用する際に傍らに置かれ読者の皆様のお役に立つことを祈念し序文の挨拶と致します。


宮崎大学医学部整形外科
帖佐悦男

目次

introduction/帖佐悦男

筋・腱のエコー/宮武和馬ほか

はじめに

筋・腱のエコーを理解するための基本

肉離れ

腱障害

運動器への超音波エラストグラフィ/八田卓久

はじめに

超音波エラストグラフィとは

Strain(compression)elastography(SE)とは 

Shear ware elastography(SWE)とは

臨床および基礎研究への応用

腱板断裂に対する超音波エラストグラフィ 

腱に対するstrain elastography

骨格筋に対するshear wave elastography 

今後の展望

超音波ガイド下インターベンションのコツ/中瀬順介ほか

はじめに

ポジショニング

患者の肢位

超音波機器の設定とプローブ選択

プローブの持ち方

プレスキャン

針の選択

穿刺方法の選択と実際

薬液の注入

終わりに

Hydrorelease/笹原 潤

はじめに

適応

手技

症例提示

Hydrorelease が「効かない」場合に考えること 

終わりに

ビギナーのための神経エコー/面谷 透

はじめに

末梢神経はどうみえるか

エコーに際してのプロービングのコツ

異常所見

最近のトピック

終わりに

整形外科手術に役立つ神経ブロック/石山健次郎ほか

はじめに

腕神経叢ブロック

大腿神経ブロック

坐骨神経ブロック(膝窩アプローチ)

今後の展望

小児整形外科におけるエコーの有用性/星野弘太郎

はじめに

発育性股関節形成不全(developmental dislocation of the hip;DDH)

乳児股関節エコー(Graf 法)

Graf 分類

乳児股関節エコー(前方法)

関節内水腫を伴う疾患(単純性股関節炎,化膿性関節炎,Perthes病,JIAなど)

斜頚(先天性筋性斜頚,炎症性斜頚)

肘内障および肘関節周辺骨折

足関節捻挫に伴う裂離骨折

障害児の不顕性骨折

先天性内反足におけるアキレス腱切腱時の 血管神経損傷防止

終わりに

肩関節におけるエコー使用のコツとピットフォール/岩本 航ほか

はじめに

エコーが診断に有用な肩関節疾患

エコーを用いた肩関節疾患の治療

肘関節における超音波診療/横山賢二ほか

はじめに

検査方法

OCD に対する超音波検査

代表症例

外側上顆炎に対する超音波検査

代表症例

終わりに

手関節・手指のエコー/西塚隆伸ほか

はじめに

原則

エコーの所見

トピック

終わりに

腰・殿部診療におけるエコー検査のコツ/吉田眞一

腰・殿部エコー診療のコツとよくある質問 

梨状筋

上殿神経

坐骨神経(脛骨神経・総腓骨神経)

後大腿皮神経と坐骨神経

仙骨後方靱帯

仙腸関節

椎間関節と後枝内側枝

上殿皮神経

多裂筋・最長筋・腸肋筋・腰方形筋

内閉鎖筋

大腿方形筋

腰椎硬膜外腔

股関節のエコー/川野彰裕

はじめに

超音波装置と撮影方法

症例提示

終わりに

膝関節のエコー/洞口 敬

はじめに

膝内側部

膝前方部

膝外側部

膝後方部

終わりに

足・足関節のエコー/松井智裕ほか

はじめに

足関節外側靱帯

足関節内側靱帯

アキレス腱

足関節前方インピンジメント症候群

荷重下超音波検査のための機器開発

関節リウマチにおけるエコー/岡野匡志

はじめに

RA における関節エコー検査

実際の撮像方法

RA の病態とエコー所見

RA と鑑別が必要な疾患のエコー所見

終わりに

深部静脈血栓症の超音波検査による検出法-肺動脈血栓塞栓症予防のために-/鳥畠康充ほか

深部静脈血栓症(DVT)検出の意義

肺動脈血栓塞栓症の機序

肺動脈血栓塞栓症の予防

エコー検査によるDVT 検索

症例提示

まとめ

軟部腫瘍の診療における超音波検査の活用/麩谷博之ほか

はじめに

手技

存在診断と囊胞診断

良性と悪性の鑑別

超音波ガイド下の針生検

腫瘍切除のナビゲーション

代表症例

終わりに


バックナンバー・次号予告

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編集後記

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書籍情報

  • ISBN:9784008204014
  • ページ数:187頁
  • 書籍発行日:2021年9月
  • 電子版発売日:2021年9月24日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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