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- Heart View 2018年9月号 Vol.22 No.9 心臓リモデリングをどう治すか -拡大心・肥大心へのアプローチ-
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序文
企画にあたって
筒井裕之
(九州大学大学院医学研究院循環器内科学教授)
心臓リモデリングとは心室の構築・機能変化と定義されますが,組織学的には心筋細胞肥大・細胞死および間質線維化を含み,心不全の発症・進展の基盤病態と考えられています。心筋梗塞後に梗塞部の伸展に引き続いて生ずる容量負荷に対する非梗塞部の肥大,さらに左室全体の拡大と収縮の低下へと進展する一連の過程が,梗塞後左室リモデリングとして最初に記載された構築・機能変化ですが,現在では心筋梗塞に限らずさまざまな原因によって生ずる心臓の構築や機能的変化をリモデリングと総称しています。
近年の画像診断を含む循環器診断技術の進歩により,心臓リモデリングに対しても従来からの心室の構築ばかりでなく,心筋性状や機能まで詳細かつ正確に評価することが可能となってきました。さらにACE 阻害薬によりリモデリングの進展を抑制するだけではなく,β遮断薬や心臓再同期療法(CRT)に代表されるようにリバース・リモデリングをもたらす治療も明らかとなり,Myocardial Recovery を目指した治療の開発も取り組まれています。また,心臓リモデリングの病態解明を目指した基礎研究も新たな視点から活発に展開されています。
本特集では,心臓リモデリングを「診る」で,心エコー,MRI,核医学・PET,心筋生検,遺伝子検査といった診断手法を取り上げました。「識る」では,肥大・アポトーシス,オートファジー,線維化,臓器連関の立場から,心臓リモデリングの分子機序の解明を目指した基礎研究の最前線を紹介いただきました。「治す」では,心臓リモデリングをターゲットとした治療として,薬物療法,CRT,補助人工心臓(VAD),細胞シートを紹介いただくとともに,さらには今後に期待されるMyocardial Recovery についてPrecision medicine(精密医療)の立場から解説いただきました。
心不全の根本的治療は,心臓リモデリングの病態を解明し,それに基づいて治療することですが,心臓の構築と機能を正常化させる治療はいまだ存在しません。本特集で「心臓リモデリングを治す」基礎・臨床両面からの取り組みの最前線へのご理解を深めていただくとともに,先生方の今後の心不全診療・研究の一助としていただければ幸いです。
目次
特集:心臓リモデリングをどう治すか─拡大心・肥大心へのアプローチ─ 企画・構成/筒井裕之
診る
1.心エコーでどこまでわかるか? 大手信之
2.MRIをどう活かすか? 北川知郎,木原康樹
3.核医学・PETはどこまで進んだか? 肥田 敏,近森大志郎
4.心筋生検で何がわかるか? 加藤誠也
5.[Expertise]遺伝学的検査が必要な患者とは? 久保 亨,北岡裕章
識る
6.肥大とアポトーシスの分子機序はどこまでわかったか? 松島将士
7.オートファジーはリモデリングにどうかかわるか? 山口 修
8.心筋線維化の分子機序はどこまでわかったか? 真鍋一郎
9.[Expertise] 臓器連関による心臓恒常性維持とリモデリング 藤生克仁
治す
10.リバースリモデリングが期待できる薬物療法とは? 猪又孝元
11.心臓再同期療法(CRT)によるリバースリモデリングは予測できるか? 岩野弘幸
12.左室補人工心臓治療におけるbridge to recoveryとは何か? 絹川弘一郎
13.[Expertise] 細胞シートでリモデリングを治せるか? 澤 芳樹
14.[Expertise] 心臓リモデリングを治すprecision medicine(精密医療)は実現できるか? 松永 絋,伊藤 薫,赤澤 宏
連載
・【責任冠動脈を追え!PCIエキスパートになるための25カ条】
第8条:ステントの種類と構造を理解すべし 中村則人,中澤 学
・【魅せる!聴かせる!学会発表プレゼンテーション技法】
8「表」は項目を減らす 渡部欣忍
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書籍情報
- ISBN:9784008102209
- ページ数:108頁
- 書籍発行日:2018年8月
- 電子版発売日:2021年10月22日
- 判:A4変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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