Heart View 2018年2月号 Vol.22 No.2 Onco-Cardiologyの新展開

  • ページ数 : 108頁
  • 書籍発行日 : 2018年1月
  • 電子版発売日 : 2021年10月27日
¥3,080(税込)
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商品情報

内容

特集:Onco-Cardiologyの新展開
診る
 1.Onco-Cardiology:なにを診るのか?
 2.[Expertise]Onco-Cardiology:どのように診るのか?  
 3.[Expertise]Onco-Cardiology:誰が診るのか?

Heart Viewバックナンバー

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序文

企画にあたって

赤澤 宏
(東京大学大学院医学系研究科循環器内科学)


わが国における死因の第1位は癌であり,今や男女ともに約2人に1人が一生のうちに癌と診断される時代である。しかも,癌の罹患率は年々増加を続けている。一方で,死因の第2位である心疾患も生活習慣の欧米化と高齢化によって増加しており,癌と循環器疾患を合併する患者は必然的に増加傾向にある。癌診療における循環器医のかかわりは,循環器疾患合併症例における術前評価や周術期管理,あるいは心臓腫瘍や癌性心膜炎の評価や治療など,これまでは限定的であった。しかし近年,癌治療が目覚ましい進歩を遂げているなかで,循環器医はこれまで以上に癌診療に深く密接にかかわることが求められるようになっている。つまり,癌化学療法や放射線治療の進歩によって,癌の寛解率や治癒率は格段に向上してきているが,その一方で薬剤や放射線照射による心血管合併症が生命予後や生活の質(quality of life:QOL)を左右する大きな要因となっており,循環器医の専門的な対応を必要とするケースが増えている。特に,アントラサイクリン系薬剤のように心毒性が古くから知られた薬剤に加えて,さまざまな分子標的薬による心血管系の副作用が問題となっている。癌の治療標的とされる分子の多くが,心血管系においても細胞の生存や機能維持に重要な役割を果たしていることから,これら分子標的薬によって心血管系合併症が生じうることは容易に想像できる。

癌治療による心血管合併症は一般的な画像診断やバイオマーカーにより評価されるが,早期治療のための特異的な診断やリスク層別化は行われていない。また,病因特異的な治療法はなく,エビデンスに基づいた治療も確立していない。このように,癌治療による心血管合併症の臨床像や分子病態は不明な点が多く,そのために画一的な診断法や治療法に留まっているのが現状である。また,癌治療の既往が将来的な心血管病発症のリスク因子となりうることが明らかとなっており,癌サバイバーの長期的な心血管モニタリングは今後の大きな課題である。

また,癌患者における静脈血栓塞栓症の発症リスクは健常人より数倍高く,癌は静脈血栓塞栓症の基礎疾患として最も頻度が高いことが知られている。一方で,癌患者では抗凝固療法による出血リスクも高い。癌患者の静脈血栓塞栓症による死亡は癌死に次いで多いことから,適正に予防と治療を行うための治療指針の整備が求められている。

このような状況のなか,癌と循環器の両者が重なった領域を扱う新しい臨床研究分野としての腫瘍循環器学(Onco-Cardiology)が提唱され,国内外で大きな注目を集めている。腫瘍循環器学が取り組む課題は多岐にわたっているが,この領域に関する臨床データは残念ながら現状ではきわめて乏しい。癌患者の心血管系のモニタリングやリスク層別化,早期診断と治療法の確立を図るためには,多施設連携による臨床データとエビデンスの蓄積,さらに発症メカニズムの基礎的検討を進めていく必要がある。また現場では,癌治療チームと循環器医,さらに看護師や薬剤師,診療放射線技師など多職種との連携,さらに長期的なフォローアップのための病院間の連携を進め,医療現場において協力体制を整備することが求められる。Onco-Cardiologyの現状と課題を整理し,現場の医療関係者に情報提供する目的で本特集を企画した。この新しい分野のニーズがより多くの読者に伝わり,Onco-Cardiologyの今後の発展への一助になれば幸いである。

目次

特集:Onco-Cardiologyの新展開  企画・構成/赤澤 宏

診る   

1.Onco-Cardiology:なにを診るのか?

 a.腫瘍内科医の立場から  畠 清彦

 b.循環器内科の立場から─腫瘍循環器外来における癌患者に対する診療─  向井幹夫

2.[Expertise]Onco-Cardiology:どのように診るのか?  根岸一明

3.[Expertise]Onco-Cardiology:誰が診るのか?  南 学

識る   

4.癌化学療法における薬剤性心筋症  岡 亨

5.血管新生阻害薬による心血管合併症  坂東泰子,室原豊明

6.放射線治療による心血管系への影響  庄司正昭

7.[Expertise]なぜ,癌に血栓塞栓症が合併しやすいのか?  窓岩清治

8.[Expertise]Onco-Cardiologyが目指すprecision medicineとは?  伊藤 薫

治す   

9.心臓・心膜腫瘍の診断と治療  大倉裕二

10.癌患者の非心臓手術における合併心疾患の評価と管理  北原康行

11.癌化学療法による心血管合併症の予防と治療  志賀太郎

12.癌患者における静脈血栓塞栓症の予防と治療  荻原義人

連載

・【責任冠動脈を追え!PCIエキスパートになるための25カ条】

第1条:PCI前の虚血評価により,PCIが必須かどうかを見極めるべし  田中信大

・【魅せる!聴かせる!学会発表プレゼンテーション技法】

1.文字は大きく,文量は少なく  渡部欣忍

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書籍情報

  • ISBN:9784008102202
  • ページ数:108頁
  • 書籍発行日:2018年1月
  • 電子版発売日:2021年10月27日
  • 判:A4変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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