医学論文、わからないのは統計だけ?肝心要の研究デザインがわかる本

  • ページ数 : 140頁
  • 書籍発行日 : 2021年10月
  • 電子版発売日 : 2021年10月27日
¥3,080(税込)
ポイント : 56 pt (2%)
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

臨床論文を読みこなしたいと考えている全医療者へ!

論文読破に必要な知識は統計学だけではありません。
肝心要は「研究デザイン」です。
論文がどんどん読める研究デザインの知識を教えます。

最短ルートで効率的に勉強してEBMの実践力をアップしましょう!

【誰でも論文を診療や研究に役立てられる最短ルートを提供する東大康永研が送る最強シリーズ!】
本書は大好評 『膨大な医学論文から最適な情報に最短でたどり着くテクニック』に続くシリーズ続編となります。
統計手法のしくみを理解して医学論文を読めるようになる本』も同時刊行!

※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版

序文

はじめに


本書を手に取っていただいた方のなかには,医学論文を読むことに苦手意識があり,論文の読み方を初歩から学びたいと考えられている方もいるでしょう.そもそも医学部医学科をはじめとする医療系の学部において,医学論文の読み方に関する教育は十分に行われていません.先輩や上司から医学論文の読み方を丁寧に教わった経験があるという人も,あまりいないでしょう.

若手の臨床家はときに,医学論文を読む必要に迫られることがあります.論文抄読会の担当になれば,否応なしに論文を読み,内容をプレゼンテーションしなければなりません.本文を読んでもよく理解できず,abstractと図表だけを眺めて,何とか発表をやり過ごす,といった経験はないでしょうか.

医学論文を読みこなす上で,以下の3つのハードルがあると言われます.

1つ目は,「英語」というハードルです.しかし実際のところ,医学論文は平易な英語で書かれています.高校卒業レベルの英文法の知識があれば,文章そのものの理解に苦しむことはありません.英語をハードルと考える必要はないでしょう.

2つ目は,「専門知識」というハードルです.英語は読めても,医学の専門知識がなければ,医学論文の読解はままなりません.医学の専門知識は,教科書や専門書で身に付ける必要があります.しかし,臨床家はそもそもその専門領域の知識がなければ務まらない職業です.それをハードルと考えるべきではないでしょう.

3つ目は,「疫学・統計学の知識」というハードルです.臨床家にとっては,これが正真正銘のハードルと言っていいでしょう.医学教育においては,主に公衆衛生学の講義の一部で,疫学・統計学のさわりだけを学びます.「ランダム化比較試験」「コホート研究」「症例対照研究」などの研究デザインの概略は,学部で習ったはずです.しかしほとんどの学生は,国家試験が終われば,疫学・統計学の知識などほとんど忘れてしまいます.医療従事者になって何年か経った後,医学論文を読む必要に迫られて初めて,疫学・統計学の知識の重要性を思い知ることになります.

疫学・統計学の知識をある程度身に付けないと,自力で医学論文を読みこなすことはおぼつきません.かといって,難解な疫学・統計学の成書を読み通し,それらを理解することは,多忙な臨床家にとって容易なことではありません.

本書は,すべての臨床家や医療系の学生を対象として,基本的な臨床疫学(clinical epidemiology) の知識,とりわけ研究デザインに関する知識を伝授することを目的としています.姉妹書の『統計手法のしくみを理解して医学論文を読めるようになる本』と併せて読むことで,臨床論文を読みこなすために必要不可欠である疫学・統計学の基礎的な素養を身に付けられます.

本書は理論編と実践編の二部構成となっています.「第I編 理論編」では,「研究デザイン」と「誤差」について,わかりやすく解説しています.研究デザインには,ランダム化比較試験・コホート研究・症例対照研究・横断研究などがあります.これらのしくみをよく理解し,それぞれの利点・欠点を理解することは,論文の内容を把握し批判的に吟味する上で必須と言えるでしょう.

交絡・選択バイアス・情報バイアスといった系統誤差に関する知識は,研究の限界を理解する上で不可欠です.

「第II編 実践編」では,理論編で身に付けた知識をベースに,臨床論文におけるIntroductionとMethodsを読解する上での注意点を詳述しています.

読者の皆さんが本書を通じて,論文を読む際のハードルを乗り越え,論文を楽に読みこなし,論文から得られる知見を実臨床に役立てることを日常化し,より良い診療に結びつけられるようになれば幸いです.


2021年9月

麻生将太郎,森田光治良,康永秀生

目次

第I編 医学論文における研究デザインの理解:理論編

第1章 研究デザイン

1.臨床研究・疫学研究・看護研究などのデザイン

(1)研究デザインとは

(2)エビデンスのレベル

2.ランダム化比較試験

(1)並行群間ランダム化比較試験

(2)クラスターランダム化比較試験

(3)非劣勢試験と同等試験

(4)ランダム化比較試験の欠点

3.コホート研究

(1)コホート研究とは

(2)前向きコホート研究

(3)後向きコホート研究

【発展学習】臨床予測モデル

4.症例対照研究

(1)症例対照研究とは

(2)症例対照研究の利点

(3)症例対照研究の欠点

(4)マッチング

(5)コホート内症例対照研究

5.自己対照研究デザイン

(1)自己対照ケース・シリーズ

(2)ケース・クロスオーバー・デザイン

6.横断研究

(1)横断研究とは

(2)横断研究の利点と欠点

(3)診断研究

【発展学習】生態学的研究

7.システマティック・レビュー

(1)システマティック・レビューとは

(2)メタ・アナリシスの読み方

(3)メタ・アナリシスの応用

第2章 誤差

1.誤差の分類

(1)誤差とは

(2)系統誤差の区分

2.交絡

(1)交絡とは

(2)交絡を起こす3つの条件

(3)交絡への対処~ランダム化

(4)交絡への対処~統計解析による制御

3.選択バイアス

(1)ランダム化比較試験で生じやすい選択バイアス

(2)コホート研究で生じやすい選択バイアス

(3)症例対照研究で生じやすい選択バイアス

4.情報バイアス

(1)ランダム化比較試験で生じやすい情報バイアス

(2)観察研究で生じやすい情報バイアス

5.偶然誤差

(1)偶然誤差とその対処法

(2)内的妥当性と外的妥当性

第II編 医学論文における研究デザインの理解:実践編

第3章 PE

(I)COと研究目的

1.PE

(I)CO

(1)PE(I)COとは

(2)PE(I)COの例

(3)PE(I)COが当てはまらない研究

2.研究目的

(1)論文のIntroductionに記載される内容

(2)Introduction読解のポイント

(3)研究目的から読み解く研究デザインの選択

第4章 研究対象者の選択

1.研究のセッティングとデータ源

(1)研究のセッティングとデータ源の記載

(2)1次データと2次データ

2.組み入れ基準と除外基準

(1)組み入れ基準

(2)除外基準

3.データ源と対象者に関する記載のチェックポイント

(1)データ源が研究目的に合致しているか

(2)組み入れ基準・除外基準が明記されているか

(3)最終的に選ばれる研究対象者が適切か

第5章 アウトカムの設定

1.評価者の視点によるアウトカムの分類

(1)医療者の視点に立ったアウトカム

(2)患者の視点に立ったアウトカム

2.アウトカムの形式による分類

(1)1次アウトカムと2次アウトカム

(2)真のアウトカムと代理アウトカム

(3)ハードアウトカムとソフトアウトカム

(4)複合アウトカム

3.アウトカムについて論文を読む際に留意すべきポイント

(1)重要で評価すべきアウトカムか?

(2)アウトカムの測定方法は妥当か?

(3)バイアスの影響はないか?

(4)2次アウトカムが多すぎないか?

(5)代理アウトカム利用の問題点

(6)複合アウトカム利用の問題点

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:4.6MB以上(インストール時:11.1MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:18.3MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:4.6MB以上(インストール時:11.1MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:18.3MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784880029146
  • ページ数:140頁
  • 書籍発行日:2021年10月
  • 電子版発売日:2021年10月27日
  • 判:A5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。