すぐに使える小児輸液実践ハンドブック

  • ページ数 : 214頁
  • 書籍発行日 : 2012年9月
  • 電子版発売日 : 2013年1月19日
¥6,160(税込)
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商品情報

内容

"病棟でスグに役立つ小児の輸液ハンドブック"

多くの研修医、若手医師が苦手とする小児輸液について、現場ですぐに使えるよう平易かつ実践的に解説した。臨床編・基礎編の順番で学ぶことで、無理なく基本が身に付く一冊です。

序文

発刊にあたって

医師国家試験に合格して初期研修を始めた先生や,初期研修を終え,専門研修を始めた先生に,「苦手な分野は?」と聞くと,「輸液,特に小児の輸液」という回答が多いのは昔も今も同じです.そのわりには,わが国には,研修医向けの輸液療法に関する総説的な本や輸液に関する雑誌の特集号はよく見かけますが,臨床の現場ですぐに使える実践的な小児への輸液療法に関するハンドブックとなると,その数は少ないようです.

そこで今回,“病棟でスグに役立つ小児の輸液ハンドブック”を発刊しようと考えました.発刊に当たっては,「忙しい診療の中で,まず目の前にいる患者さんに適切な輸液療法が実施できるようになる本を作る」ことを第一の目標にしました.そのために,従来の医学書のような「Ⅰ.基礎編→Ⅱ.臨床編」ではなく「Ⅰ.臨床編→Ⅱ.基礎編」という順序にしました.つまり「このハンドブックを見れば,自分の受け持った患者さんの疾患や病態に応じた適切な輸液療法をすぐ行える」という本を目指し,まずは「Ⅰ.臨床編」で各疾患や特殊な病態における輸液療法の実践編を示し,余裕があれば,「Ⅱ.基礎編」で,基礎的事項を学習する,というコンセプトで構成しました.これは「輸液療法」が苦手だった私自身の経験に基づくものです.研修医時代,忙しい日常診療の中で,様々な病態,特殊な疾患の患者さんを受け持ち,じっくりと考える暇もなく,厳しくも優しい(?)先輩医師の指導を仰ぎながら,輸液療法を行い,その後で,じっくりと基礎的事項を勉強していきました.そうすると,「なぜそうしなければいけなかったのか?」が実際の患者さんの経験が活かされてスムーズに頭の中に入り,苦手意識は消えて行きました.

本来,医学の学習法としては,“基礎”を学びその知識を“臨床”に活かすのが理想ではありますが,一方で,医師は,まず眼前の患者を速やかに治療しなければなりません.多忙な研修医,若手医師にとって基礎を学びよく理解してから輸液療法を始める,という時間的余裕はありません.そこで本書の各項目の執筆を依頼するに当たっては,各種病態のエキスパートの先生方にお願いするだけでなく,目の前にいる研修医を指導するようなお気持ちで,実践的輸液のノウハウを解説して頂きました.完成した本書を通読してみると,編者の発刊趣旨を執筆者によくご理解頂き,小児輸液学の「いろは」がよく理解できるようなハンドブックに仕上がったと自負しております.本書が,患者を前にした若い先生方にとってのオーベンのような役割を果たせれば編者としてこの上ない喜びです.また編者として編集者の方とともに,綿密な校正を致しましたが,内容の誤りや誤字脱字などがありましたら,ご叱責,ご指摘頂ければ幸いです.


2012年 7月

関西医科大学小児科学講座 主任教授
金子一成

目次

Ⅰ 臨床編

A.特殊な病態における輸液

1.新生児・未熟児における輸液

実践編:症例検討

解説編:新生児・未熟児の輸液の特殊性

1.体液組成の変動

2.胎児・新生児の腎機能

3.不感蒸泄の変動

4.電解質の調節

2.小児外科手術の周術期の輸液

実践編:症例検討

1.肥厚性幽門狭窄症

2.術後低ナトリウム血症

解説編:小児の術後輸液

1.小児の術後輸液に関する基本的な考え方

2.周術期の糖濃度管理

3.頭蓋内圧亢進患者での周術期の輸液療法

3.電解質異常に対する輸液:ナトリウム濃度の異常

実践編:症例検討

1.低ナトリウム血症

2.高ナトリウム血症

解説編:ナトリウム濃度の異常に対する治療

1.概念

2.病態と病因

3.症状

4.治療

4.電解質異常に対する輸液:カリウム,カルシウム,マグネシウムの異常  

実践編:症例検討

1.カリウム異常

2.カルシウム異常

解説編:カリウム,カルシウム,マグネシウム異常の治療

1.カリウム異常

2.カルシウム異常

3.マグネシウム異常

5.化学療法の際の輸液

実践編:症例検討

解説編:小児がんに対する化学療法と腫瘍崩壊症候群

1.小児がんの概念と疫学

2.小児がんの治療時における水分および電解質異常

6.敗血症ショックに対する輸液

実践編:症例検討

解説編:小児の敗血症ショックとその治療

1.概念

2.病態生理

3.診断および検査

4.治療

B.小児疾患における輸液療法

1.乳幼児の急性胃腸炎に対する輸液療法

実践編:症例検討

解説編:小児の急性胃腸炎とその治療

1.概念

2.疫学

3.病態生理・臨床症状

4.診断および検査

5.治療

2.尿崩症

実践編:症例検討

解説編:小児の尿崩症とその治療

1.概念

2.中枢性尿崩症の治療

3.高Na血症の治療と脳

3.肥厚性幽門狭窄症に対する輸液療法

実践編:症例検討

解説編:肥厚性幽門狭窄症とその治療

1.概念・疫学

2.病態と原因

3.臨床症状と理学的所見

4.診断および検査

5.治療

4.小児気管支喘息に対する輸液療法

実践編:症例検討

解説編:小児気管支喘息とその治療

1.概念

2.疫学

3.病態生理・臨床症状

4.診断および検査

5.治療

5.急性膵炎に対する輸液療法

実践編:症例検討

解説編:小児の急性膵炎とその治療

1.概念

2.疫学

3.病態生理・臨床症状

4.診断および検査

5.治療

6.熱傷―小児熱傷患者に対する初期輸液

実践編:症例検討

解説編:小児熱傷とその治療

1.小児の特殊性(特徴)

2.輸液の適応と開始時期

3.輸液の種類(組成)

4.輸液の速度(量)とその指標

5.ABLSコースにおける初期輸液の考え方

6.標準的な輸液法

7.糖尿病ケトアシドーシス

実践編:症例検討

解説編:小児の糖尿病ケトアシドーシスとその治療

1.概念

2.疫学

3.病態生理・臨床症状

4.診断および検査

5.治療

8.急性肝不全

実践編:症例検討

解説編:小児の急性肝不全とその治療

1.概念

2.原因

3.疫学

4.病態生理・臨床症状

5.診断および検査

6.治療

9.急性腎炎,急性腎不全

実践編:症例検討

解説編:小児の急性腎炎とその治療

1.概念

2.疫学

3.病態生理・臨床症状

4.診断および検査所見

5.治療

10.ネフローゼ症候群

実践編:症例検討

解説編:ネフローゼ症候群の体液管理

1.概念

2.治療

11.心不全における輸液療法

実践編:症例検討

1.急性心筋炎

2.肥大型心筋症

3.特発性肺動脈性肺高血圧症

4.心室中隔欠損症

5.拡張型心筋症

6.フォンタン術後

7.ファロー四徴症術後

解説編:小児の心不全と輸液

1.Frank―Starlingの心機能曲線から考える

2.慢性心不全の神経体液性因子

3.小児心不全患者における輸液の原則

4.心不全の型による対応

12.急性脳炎・脳症の輸液療法

実践編:症例検討

解説編:小児の急性脳症・脳炎とその治療

1.急性脳症とは

2.治療

3.急性脳炎

Ⅱ 基礎編

1.小児の輸液療法に関する基本的な考え方

1.小児の水分・電解質バランス

2.小児の水・電解質輸液の種類と対象疾患

3.最近の輸液療法における議論

2.小児の輸液療法において必要な体液・電解質調節の基礎知識

1.腎の構造と生理学

2.水代謝

3.ナトリウム代謝

4.カリウム代謝

5.カルシウム代謝

6.マグネシウム代謝

7.リン酸代謝

3.小児の輸液療法において必要な酸塩基平衡異常の基礎知識

1.酸塩基とは?

2.体内での酸の産生

3.緩衝系とは?

4.酸排泄のしくみ

5.pHの定義,血液ガスの基礎知識

6.アニオンギャップ(AG)とは?

7.酸塩基平衡理論の変遷とその問題点

8.呼吸性代償,代謝性代償とは?

9.ステップワイズ血液ガス分析

10.混合性酸塩基異常症を疑うには?

11.実践的血液ガス分析(シンプル解釈)

12.血液ガス一口メモ

13.酸塩基障害時の輸液療法での基本的事項

4.小児の輸液ベーシックガイド 小児の輸液療法において必要な検査とその解釈

1.必須検査

2.Naバランスの指標

3.水バランス―血清ナトリウム濃度異常の判断

4.カリウムバランス―血清カリウム濃度の異常に対処する

5.酸塩基平衡

5.誤った輸液療法を行わないための注意

1.不必要な輸液をしない

2.考えて輸液剤を選択する

3.なるべくシンプルな輸液を(=新たに調整しないにこしたことはない)

4.高浸透圧剤は可能な限り短期間に

5.病態改善の優先順位を考えた輸液を

6.排尿行為の意味を過大評価しない

7.輸液剤でもアレルギーに注意

8.初期治療の後も考えながら経過を診る

9.検査できない時の対処

10.検体のdeep freezer保存を

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書籍情報

  • ISBN:9784498145221
  • ページ数:214頁
  • 書籍発行日:2012年9月
  • 電子版発売日:2013年1月19日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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