半月板のすべて 解剖から手術,再生医療まで

  • ページ数 : 328頁
  • 書籍発行日 : 2019年9月
  • 電子版発売日 : 2019年12月23日
¥13,200(税込)
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商品情報

内容

基礎から臨床まで,半月板のすべてを網羅!

解剖,疫学から病態,治療(手術,リハ,再生治療含む)まで,半月板のすべてを網羅。基礎研究の内容はなるべく平易に,治療(手術・リハ)ではすぐに臨床に役立つよう具体的な手技を,スペシャリストの執筆陣がしっかり解説している。

序文

2000 年4 月,東京医科歯科大学に勤務していた私は,大学院重点化の波に乗り運動機能再建学講座という小さな大学院の教室を主宰することになった。教授1 人,助教1 人という最低限の人員で何をやっていくのか。何もない教室を力強く助けてくれたのが,関矢一郎だった。関節の再生医学を目指す関矢は,滑膜間葉系幹細胞を武器に目覚ましい活躍をしてくれた。教官2 人の大学院なのに,毎年複数の大学院生が入学してくれ,教室を盛り立ててくれた。

膝関節の半月板は重要な組織であり,その切除により関節症変化を確実に進める。私がメインテーマとしてきた前十字靱帯損傷膝でも合併損傷としての半月板損傷をできる限り切除せず修復することを基本として,再鏡視による治癒の判断など長年治療経験を重ねてきた。

5 年前くらいからヨーロッパを中心に"Save the Meniscus"というキャッチフレーズが広がり,半月板組織とその機能の温存が膝関節外科医にとってさらに大きく注目されている。それは私の長年のテーマでもあった。そこにMeniscus Extrusion,すなわち半月板の逸脱という,私にとって新しい事実・治療対象が出現した。早期変形性膝関節症(膝OA)の概念と早期膝OA における高頻度の半月板逸脱の存在は,私のなかで膝OA の病態と治療の方向性について新しい光を与えてくれた。半月板逸脱を何とかしたいと考えていた矢先,新しく誕生したJuggerKnotTM(Zimmer Biomet 社)を用いて,半月板のアンカー固定を"Centralization 法"として古賀英之が実用化してくれた。再生医療センターのセンター長になった関矢は,半月板の滑膜間葉系幹細胞を用いた再生医療に邁進し,多くの動物実験を経て,現在はヒトを対象とした治験を進めている。

2017 年3 月に大学を早期退職した私であるが,よりよい治療に対する情熱は治まることがない。このたび半月板についての書籍を作り上げる機会をいただいたことは,大変うれしいことだった。本書を構成するにあたり,ほとんど私自身がテーマと担当を割り当てた。2 人で始めた大学院の教室から,再生医療センター,2 つの寄付講座,二村昭元の主宰する運動器機能形態学講座まで,教室員は広く羽ばたいている。本書はあえて,つながりのある先生方にそれぞれのテーマの執筆担当をお願いした。やや偏った考え方や経験不足もあるが,編者はかえって担当者に注文を付けやすいため,それなりにまとまった,一定のレベルの書籍にできたと思う。

本書が後輩たちのさらなる研究を進める土台となり,今後の基礎・臨床を発展させる一助となれば望外の喜びである。


2019年8月

東京医科歯科大学名誉教授
国立病院機構災害医療センター院長
宗田 大

目次

1 半月板と治療の歴史

1 半月板の歴史(関矢一郎,片野尚子)

西欧での半月板の歴史

日本の半月板の歴史

2 半月板治療の歴史

最初の半月板手術(縫合術)

最初の半月板切除術

半月板全切除術の降盛と衰退

関節鏡の開発

鏡視下半月板縫合術

2 半月板の解剖

はじめに

外側半月板の解剖

内側半月板の解剖

3 半月板損傷のメカニズム

はじめに

内側半月板損傷

外側半月板損傷

おわりに

4 半月板のバイオメカニクス

1 in vitro -その構成細胞の物理・生化学的性質を含めて-

バイオメカニクスとは

半月板に関するバイオメカニクスの背景

半月板の構造のバイオメカニクス

半月板の細胞のバイオメカニクス

半月板の実験的なバイオメカニクス

数値シミュレーションにおける半月板のバイオメカニクス

半月板の足場のバイオメカニクス

筆者らの取り組み

最後に

2 in vivo  -臨床経過および生体での研究から-

はじめに

半月板損傷

半月板逸脱

半月板切除術

半月板温存手術

生体における半月板の研究

まとめ

5 半月板損傷の評価・診断

1 診察法

はじめに

病歴の聴取

診察におけるポイント

半月板異常に対する徒手検査法

総合的な半月板損傷の診断と注意点

2 画像診断

はじめに

半月板損傷におけるMRI

円板状半月板:X 線検査・MRI

新しいMRI 技術

超音波

おわりに

6 前十字靱帯損傷との関係および変形性膝関節症における

位置づけと治療方針

はじめに

単独で生じる半月板損傷と膝関節に及ぼす影響

膝関節捻挫の部分症である半月板損傷の扱いとその影響

膝OA における半月板損傷の進行と膝OA への相互作用

おわりに

7 半月板手術の統計情報

はじめに

レセプト情報・特定健診等情報データベース

NDB オープンデータを活用した日本の半月板単独手術統計

その他の国内の統計情報

海外の統計情報

おわりに

8 外側円板状半月板とその問題

はじめに

円板状半月板とは

DLM の発生

DLM の組織

DLM の診断

DLM の治療

DLM の予後因子

DLM とOCD

まとめ

9 半月板切除とその問題

はじめに

半月板切除術後の膝OA 進行について

変性を伴う半月板断裂の切除例と無処置例の比較

内側・外側半月板切除術の違い

半月板単独損傷例における縫合術と切除術の比較試験

ACL 損傷を伴う半月板損傷における縫合術と切除術の比較

おわりに

10 半月板温存とその残された問題

はじめに

内側半月板縦断裂修復後

内側半月板の変性・逸脱を伴う変化

外側半月板縦断裂修復後

円板状半月板と小児期の半月板障害

11 私たちの半月板機能温存の取り組み・手術法のすべて

1 外側半月板逸脱に対するcentralization 法

2 外側半月板修復術

3 内側半月板修復術

4 内側半月板後根断裂

5 外側半月板後根断裂

6 変性半月板に対する半月板修復術

7 内側型膝OA に対する骨切り術と半月板修復

8 外側型膝OA に対するcentralization 法を応用した半月板形成術

12 半月板温存術の短期成績と課題

はじめに

外側半月板centralization 法の2 年成績

高位脛骨骨切り術と内側半月板centralization 法の併用術の1 年成績

外側型膝OA に対するcentralization 法を応用した半月板形成術の1 年成績

13 半月板の再生医療と基礎研究

はじめに

基礎

組織工学による半月板再生

新しい半月板再生医療:3D プリンターを用いた半月板足場材

おわりに

14 半月板修復と滑膜幹細胞を組み合わせた関節機能改善法

滑膜幹細胞の概要

滑膜幹細胞の内側半月板変性断裂への応用

滑膜幹細胞の外側型膝OA への応用

15 半月板損傷の保存治療

はじめに

診断の進め方と保存治療の選択

保存治療が選択される例

保存治療の基本的な流れ

16 半月板温存術後のリハビリテーション

はじめに

内側半月板後内側を中心としたフラップ断裂の切除後

内側半月板後根断裂(MMPRT)修復術後

ロッキング半月板の修復術後(内側・外側)

外側半月板後節縦断裂修復術後

外側中節放射状断裂修復術後

外側円板状半月板(DLM)形成修復術後

スポーツ復帰時期の適正化

17 ケーススタディ

1 ケーススタディ:トップアスリート

症例1:24 歳男性,社会人ラグビー選手

症例2:20 歳女性,大学2 年バレーボール選手

2 ケーススタディ:小児〜高齢者

症例1:親子(母と娘)外側半月板損傷例

症例2:サッカー復帰を目指す外側半月板の複雑損傷

症例3:76 歳女性

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  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784758318693
  • ページ数:328頁
  • 書籍発行日:2019年9月
  • 電子版発売日:2019年12月23日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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