認知症の排泄ケア ベッドサイドマニュアル

  • ページ数 : 218頁
  • 書籍発行日 : 2020年9月
  • 電子版発売日 : 2020年9月7日
¥4,180(税込)
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商品情報

内容

認知症の方の排泄(排尿と排便の働き)の困りごとについて解説する唯一無二の書!

最近まで対処法がないものと考えられてきた認知症の排泄障害だが,その背景が明らかになるにつれて効果的な治療も可能となってきた.現場の「なまの声」への対処法を,医師・看護師などの医療者,家族会・介護支援専門員などの支援者たるエキスパートが実践的に説く.

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序文

巻頭言


このたび,中外医学社から本書『認知症の排泄ケア ベッドサイドマニュアル』が発刊されることになりました.排泄(はいせつ)とは,排尿(膀胱)と排便(腸管)の働きをまとめた言葉です.本書は,認知症の方の排泄の困りごとについて解説したものです.

泌尿器科,消化器科の先生方に知られておりますように,認知症の方の,内視鏡で異常がない機能性の排泄障害は,以前は,「認知症によるもので,対処のしようがないもの」と考えられがちでした.ところが最近,認知症がごく軽度またはほとんどない年配の方にも,排泄障害(過活動膀胱と便秘)が高頻度にみられることが明らかとなってきました.その背後にあるものがある程度明らかにされ,メカニズムに応じた,効果的な治療ができるようになってきました.

以下のことが明らかとなってきています.

・若年性アルツハイマー病では,認知症が目立ちますが,過活動膀胱・便秘や歩行障害が目立たないこと.

・高齢の方では,かくれ脳梗塞とアルツハイマー病の2 疾患の合併が多く,このうちかくれ脳梗塞が,過活動膀胱と歩行障害(ちょこちょこ歩き・左右に足が開いている)を早くからきたすこと.

・最近注目されているレビー小体型認知症は,脳だけでなく末梢神経(腸管壁内神経叢)にも病気が及ぶために,便秘・イレウスを早くからきたし,溢流性便失禁もみられること.

・高齢の方は,脳の病気の他に,全身(各診療科)の合併症も多いものです.おなかの手術後の癒着性イレウス,前立腺肥大症(男性),糖尿病・腰椎症による残尿(便秘),腹圧性尿失禁(女性),夜間多尿,薬の効きすぎによる残尿便秘,廃用性萎縮(椅子から立ち上がれない,サルコペニアともいいます),整形外科の病気(膝関節症・腰椎症)による痛み,発熱/ 脱水/ 手術後や悪性腫瘍の方にみられるせん妄(脳症ともいいます)など.

・一方,認知症が進行すると(認知の物差しであるミニメンタルテストが10点以下など),トイレの場所がわからない,トイレで排尿排便する意思がない,尿便失禁をしても教えず平気でいる,などの認知機能・意欲の低下のため失禁をしてしまいます.さらに,1時間に10回以上ナースコールを呼ぶなどのいらいら症状(膀胱のBPSD[認知症の行動・心理症状]ともいいます)がみられることもあります.

これらの,認知症の方の排泄の困りごとに対して,ケアと治療の試みがされてきています.本書は3 章からなります.

第1章「どんなパターンがあるの?」は症例提示です.排泄の困りごとがあった時,似たパターンを探しますと,その背後にあるものと,具体的な方策を知ることができるように思います.

第2章「もうちょっと知りたい!」は質問と答えです.まとまった答えを得ることができるように思います.

第3章「もっと詳しく知りたい!」は総論編です.認知症・高齢者・排泄をもっと知りたい方のために,第1・2 章のもとになる考え方・研究について知ることができるように思います.

本書は,認知症の方と共に歩んでおられる家族会,介護支援専門員,医療社会福祉士,市の高齢者福祉課,認知症専門看護師,理学療法士,臨床心理士,脳神経内科,精神科,老年内科,泌尿器科,婦人科,消化器内科外科その他の皆様方に,直接ご執筆を依頼して,完成したものです.すなわち,認知症の方の排泄の困りごとの「なまの声」に対して,対処法を,エキスパートの立場からわかりやすく解説する実践の書です.ぜひ,手に取ってお役立ていただけますと幸いです.なお本書は,中外医学社から出版されました『神経因性膀胱ベッドサイドマニュアル』『神経・精神疾患による消化管障害ベッドサイドマニュアル』の姉妹編でもあります.併せて御覧いただけますと幸いです.最後に,編集発刊に向け終始ご助言を賜りました,中外医学社 五月女謙一さん・中畑 謙さんに心より深謝申し上げます.


2020年8月


編著者
東邦大学医療センター佐倉病院脳神経内科教授 榊原隆次
東邦大学医療センター大橋病院泌尿器科教授 関戸哲利
コンチネンスジャパン株式会社専務取締役 西村かおる

目次

1章 どんなパターンがあるの?

 1 [在宅]前立腺肥大症と過活動膀胱の治療中,薬を頻回になくす患者と付き添い(認知症の疑い 軽度認知障害) 82歳

 2 [在宅]骨盤臓器脱の治療中,説明と了解が難しい患者(認知症と神経症の合併の疑い) 78歳

 3 [在宅]若年性レビー小体型認知症(パーキンソン病が広がった形)初期男性の過活動膀胱 63歳

 4 [在宅]若年性アルツハイマー病女性の夜間のおむつふとん漏れ 61 歳

 5 [入院急性期]前立腺がん精査中,尿閉・有熱性尿路感染症と同時に歩けなくなり,せん妄が出現した男性 71 歳

 6 [入院急性期]大腿骨頸部骨折で整形外科入院中,頻尿と認知症の両方で相談があった女性 85歳

 7 [入院急性期]脳梗塞急性期で入院中,尿失禁と認知症/高次脳機能障害の両方で相談があった男性 70歳

 8 [在宅]レビー小体型認知症(パーキンソン病が広がった形)で頻尿・尿失禁の相談があった男性 75歳

 9 [在宅]尿道留置カテーテルと認知症の両方で相談があった膀胱がんの男性 90歳

 10 [グループホーム]子宮頸がん手術後の尿道留置カテーテルと認知症の両方で相談があった女性 85歳

 11 [老人保健施設]頻尿とトイレ・おむつの使用がうまくできない男性 85歳

 12 [ショートステイ]夜間頻尿と認知症の両方で相談があった男性 95歳

 13 [特別養護老人ホーム]強い尿意と認知症の両方で相談があった女性 100歳

 14 [特別養護老人ホーム]失禁による皮膚びらんと認知症の両方で相談があった女性 95歳

2章 もうちょっと知りたい!

[A.認知症の全般的事項]

 1 認知症の人と家族の会は,どのような会ですか?

 2 認知症の方に対する接し方とケアはどのようにするとよいでしょうか?

 3 地域での認知症の気づきと,それに続く医療・介護の施策にはどのようなものがありますか?

 4 クリニック・病院内での認知症の気づきと,それに続く医療の窓口にはどのようなものがありますか?

 5 認知症のものさし(簡易認知症評価表)にはどのようなものがありますか?

 6 歩行障害の評価にはどのようなものがありますか?

 7 急性せん妄/脳症の対処,認知症の行動・心理症状(BPSD: 不眠,不穏,大声,妄想幻覚)の対処を行うべきでしょうか?

 8 せん妄/脳症・認知症の行動異常に対する抑制手技(ミトン,抑制帯)を減らすことはできますか?

[B.下部尿路機能障害]

 9 下部尿路機能障害の入院・外来診療上のケアにはどのようなものがありますか?

 10 排尿日誌を用いた評価とはどのようなものでしょうか?

 11 残尿測定とはどのようなものでしょうか?

 12 「排せつ支援加算」(介護保険)のためにどのような評価・支援がよいでしょうか?

 13 過活動膀胱とはどのようなものでしょうか?

 14 認知症の方(ごく軽度のものも含む)で過活動膀胱のあるとき,薬物治療はどのように対処したらよいでしょうか?

 15 前立腺肥大症とはどのようなものでしょうか?

 16 認知症の方(ごく軽度のものも含む)で前立腺肥大症があるとき,薬物治療はどのように対処したらよいでしょうか?

 17 認知症の方(ごく軽度のものも含む)で前立腺肥大症があるとき,手術治療はどのように対処したらよいでしょうか?

 18 低活動膀胱とはどのようなものでしょうか?

 19 認知症の方(ごく軽度のものも含む)で低活動膀胱(UAB)があるとき,どのように対処したらよいでしょうか?

 20 腹圧性尿失禁とはどのようなものでしょうか?

 21 認知症の方(ごく軽度のものも含む)で腹圧性尿失禁があるとき,どのように対処したらよいでしょうか?

 22 骨盤臓器脱とはどのようなものでしょうか?

 23 認知症の方(ごく軽度のものも含む)で骨盤臓器脱があるとき,どのように対処したらよいでしょうか?

 24 夜間多尿とはどのようなものでしょうか?

 25 認知症の方(ごく軽度のものも含む)で夜間多尿があるとき,どのように対処したらよいでしょうか?

 26 認知症とその排泄障害(排尿・排便)について漢方は有効でしょうか?

[C.下部消化管機能障害]

 27 排便日誌・ブリストル便形態を用いた評価はどのようなものですか?

 28 便秘・溢流性便失禁はなぜ起きるのでしょうか?

 29 認知症の方(ごく軽度のものも含む)で,便秘・溢流性便失禁があるとき,どのように対処したらよいでしょうか?

[D.機能性尿(便)失禁への対処]30 認知症に対する認知行動療法は尿・便失禁にも有効でしょうか?

 31 認知症の薬物療法は尿(便)失禁に有効でしょうか?

 32 身体機能改善目的のリハビリテーションは尿(便)失禁に有効でしょうか?

 33 レビー小体型認知症(ごく軽度のものも含む)の方で,歩行障害の薬物療法は尿失禁にも有効でしょうか?

 34 尿・便失禁に対する行動療法は有効でしょうか?

 35 尿・便失禁に対するおむつはどのようなものが有効でしょうか?

3章 もっと詳しく知りたい!

[A.認知症とは?]

 1 認知症の症状

 2 認知症をきたす疾患

 3 認知症の検査

 4 認知症の治療の進め方

 5 歩行障害の治療

 6 認知症患者と家族の心のケア

[B.下部尿路機能障害とは?]

 7 下部尿路機能障害の症状

 8 下部尿路機能障害をきたす疾患と病態

 9 下部尿路機能障害の検査

 10 下部尿路機能障害の治療

[C.下部消化管機能障害とは?]

 11 下部消化管機能障害の症状

 12 下部消化管機能障害をきたす疾患

 13 下部消化管機能障害の検査

 14 下部消化管機能障害の治療~内科的治療を中心に~

 15 肛門括約筋障害による排便困難・便失禁

[D.高齢認知症患者の排泄障害の治療]

 16 要介護高齢者の排泄障害に対する薬物治療の基本的方針

 17 高齢認知症患者の排泄障害の考え方~非薬物療法を中心に~

索引

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書籍情報

  • ISBN:9784498064386
  • ページ数:218頁
  • 書籍発行日:2020年9月
  • 電子版発売日:2020年9月7日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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