【動画432点 写真401点で学ぶ】肺癌CT検診読影セミナー

  • ページ数 : 460頁
  • 書籍発行日 : 2021年3月
  • 電子版発売日 : 2021年5月28日
¥4,950(税込)
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商品情報

内容

時系列の過去画像で肺癌の変化がはっきりわかる!
「東京から肺がんをなくす会」が持つ症例について、CT検診画像を時系列に提示。24の症例における432点の動画と401点の写真で読影にチャレンジ!


◆CT検診において陰影を発見することは容易ですが、「発見された陰影が癌であるか否か」の診断は決して簡単ではありません。
◆一見、炎症様に見えるものの実は癌であったり、癌病変と思った陰影が経過で縮小したり、肺線維症と判断していた陰影が実は癌であったということもあります。
◆「肺癌の初期病変がどのような画像所見であるか」「それが時間経過の中でどのように変化していくのか」、実際の症例で一緒に読影してみませんか?

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序文

はじめに


1. 「東京から肺がんをなくす会」の肺癌検診について

東京都予防医学協会「東京から肺がんをなくす会」は,1975年に発足した会員制の有料検診団体です。1970年代は米国などにおいて, 肺癌検診の有効性を問う大規模な比較試験が精力的に行われていた時期で,世界的に肺癌検診への気運が高まっていた時期でもあります。

検診内容は,胸部X線写真に,当時としては先進的な喀痰細胞診を加えた, 半年に一度の肺癌検診でした。1980年代後半になって, 胸部X線写真無所見でたまたまCTを撮影して発見される肺癌症例が報告され,CT装置のスキャン方法がらせん軌道となり(ヘリカルスキャン),1回の息止めで全肺撮影できるようになったことから,1993年に世界に先駆けてCTによる肺癌検診を実運用として開始しました。

2002年からは,マルチスライスCTを導入してより一層精度の高い検診が可能となり,現在に至っています。


2. CT検診で発見された肺癌について

筆者は恐らく世界で最も長く肺癌CT検診の読影に携わっている医師のひとりだと思いますが,読影していていつも思うことがあります。それは,CT検診は「陰影を発見する」という存在診断は容易ですが,「発見された陰影が癌であるか否か」の質的診断は,決して簡単ではないということです。

発見される限局性病変は,非癌病変のほうが圧倒的に多いですし,CTで発見される病変はそもそも小型で,精査するとしても気管支鏡等での生検も困難な場合が多いので,実際,積極的に癌を疑う病変であった場合の多くは胸腔鏡での切除となっています。CT 装置が技術的に進歩して,低線量でありながらより高分解能の画像が得られるようになりましたが,質的診断が容易になったかと言われればむしろ逆で,発見される病変がより小型になった分,より質的診断が難しくなったように思います。

当会では,CTが導入されてからすでに100名以上の会員が肺癌と診断されておりますが,原則半年に1度の検診ですので,多くの肺癌と診断された病変が, 過去CT画像にも病変として存在しています。これまでの経験で,前回画像にのみ病変が存在しているという症例はむしろ少なく,何年も前から存在していたという症例も多々ありました。

一見,炎症様に見えるものの実は癌であったり,癌病変だろうと思った陰影が経過で縮小したり,肺線維症であろうと判断していた陰影が実は癌であったという苦い経験もありました。逆に言うと,時間経過の中で,病変がどのように変化しているかを把握することは,その病変の質的診断をする上で極めて重要だとつくづく思うわけです。

本稿では,「東京から肺がんをなくす会」で発見された肺癌症例のうち,マルチスライス導入後に発見された肺癌症例で,過去のマルチスライスCT検診画像にも病変が存在する症例の画像を,なるべく冠状断や矢状断も加えて,静止画だけでなくスライス位置をできるだけ合わせた動画も作って,最大5時相時系列に提示します。

ただし,2016年3月いっぱいで筆者が地元に戻ってこの会の読影に携わらなくなったため, その頃までの症例に限られます。最終診断の病期分類も,「肺癌取扱い規約 第7版」のままですので,ご了承下さい。また,2016年に国立がん研究センター東病院を退職以降は予後調査ができていませんので,転帰までの期間が短いものも多いですが,ご容赦下さい。

肺癌の初期病変がどのような画像所見であるか,それが時間経過の中でどのように変化していくのか,実際の症例をご覧ください。


3. CT検診の撮影条件と本稿での画像表示について

2002年にマルチスライスCTが導入された当初は, スライス厚2mmの画像でしたが,2009年からスライス厚1mmに変更しています。再構成間隔はどちらも1mmとしておりますが, 時系列表示の期間がこの前後にまたがる場合,Z 軸方向(体軸方向)の空間分解能が異なります。水平断(axial image)ではあまり差異を感じないかもしれませんが, 冠状断(coronal image),矢状断(sagittal image)での画像に画質の差があります。

過去画像の中に, 一部シングルヘリカルスキャン(スライス厚10mm,10mm毎再構成)を含む場合もあります。また,冠状断/矢状断では,断層写真をご存知のご高齢の先生方にとっては,表示の向きや並べ方が異なります。特に矢状断では, 作像するビューア(OsiriX®で作成)が一律右から左に向かって画像を生成するので, 病変の存在位置が右側/左側であるかによって表示方法を区別していません。違和感を覚えることと思いますが,なるべく外側・縦隔側,背側・腹側などのオリエンテーションを,図中に示すようにしております。ただし, 水平断(axial image)は普段皆さんが読影される画像でしょうから,オリエンテーションは表示していません。

静止画での表示は,表示領域の関係でスライス厚を超える再構成間隔での表示となり,それぞれ画像の説明文に明記しています。水平断動画はもともとの1mm間隔再構成です。冠状断, 矢状断での画像表示は, おそらくスライス厚がFOVサイズ/512 だと思います(説明文中には計算した値を記していません)。時系列表示では, なるべくスライス位置が合うように努力したつもりですが,吸気の程度,撮影時の微妙な体位の違いなどの要因,また病変そのものが周囲構造を変化させる場合もあり,どうしても完璧に合わせることは困難ですので,ご了承下さい。

また,静止画はお見せしたいスライスのうち一部しか提示できないため,陰影全体が入っていない場合もありますが,動画ではスライス間隔も狭く範囲も病変全体をカバーしておりますので,そちらでご確認下さい。直接DICOMビューアで画像を並べて見るのが一番確実だとは思いますが, 少ない時間で多くの症例を経験するための工夫であると思って頂ければうれしいです。

再構成関数について,肺野の関数ではないことに気づかれる方もいらっしゃると思いますが,当会での読影は,CAD(computer-aided diagnosis,計算機診断支援装置)にかけることを前提にしておりますので, 縦隔の関数での再構成であることをご了承下さい。

撮影時相については,X年前,Xカ月前などと表示されていますが, 大雑把な表示です。20%くらいまでの誤差を含んでいる場合があります。また,実際のdecision makingでは多くの場合,「病変の発見」があって,その後の経過の中で「増悪傾向」を確認して,がんセンター等への「専門病院紹介」になっています。本来は,「発見時」「増悪確認時」「病院紹介前」などと記載すべきでしょうが(一部はそのような表記にしていますが),本稿の趣旨は病変の時系列での画像上の変化を理解するためのものですので,検診機関としての「東京から肺がんをなくす会」から,精密検査/治療目的に専門病院を紹介することになった撮影の時相をすべて「発見時」と表現しております。

Thin-slice CT (TSCT)が追加撮影された症例では,その画像提示もしており, 時には時系列のTSCT画像も提示しております。検診MDCT自体1-2mmスライスなのでTSCTと言えるのですが, 本稿では検診MDCTとは別に撮影されたスライス厚0.5mmの撮影をTSCTと表記しています。3D画像(surface rendering,volume rendering)も作った場合は提示していますが,あまり診断的な意味はないと思っています。立体的な位置関係を理解するのにお役立て下さい。

目次

はじめに

「東京から肺がんをなくす会」の肺癌検診について

CT検診で発見された肺癌について

CT検診の撮影条件と本稿での画像表示について

症例提示

1. 片側性の肺線維症内に出現した扁平上皮癌(IS113)

2. 血管との区別が難しかった充実性結節影(IS115)

3. 過去CT検診画像に気管支閉塞所見を認める小細胞癌(IS116)

4. 過去CT検診画像に気管支内小結節を認める小細胞癌(IS117)

5. 既存肺病変の多い肺に発生したが増大傾向で要精査とした腺癌(IS121)

6. 形態的に炎症性陰影様であったが経過から悪性を疑った腺癌(IS123)

7. 結節影というよりは索状影を呈した腺癌(IS124)

8. 新規にすりガラスが出現しサイズと濃度を増して診断された腺癌(IS128)

9. 時間経過から診断し得た1cm以下の充実性結節を呈する腺癌(IS132)

10. 微小な気腫の壁肥厚から始まったLCNEC(大細胞神経内分泌癌)(IS133)

11. CPFE病変内に発生した長い経過を有する教訓的腺癌症例(IS137)

12. 気腫肺に発生し経時的に拡大した末梢型扁平上皮癌(IS138)

13. 気腫壁肥厚から始まり徐々に末梢性集束をきたした腺癌(IS139)

14. 気腫壁に生じた結節が面状に拡大した経過から診断しえた腺癌(IS140)

15. 既存の気腫のためまとまりのない陰影にも見えた腺癌(IS141)

16. 長期の経過で徐々に増大傾向であった腺扁平上皮癌(IS147)

17. 半年前に振り返ってみれば所見あり(?)の13mm大の小細胞癌(IS148)

18. 新規すりガラス影出現から増大・濃度上昇して切除となった腺癌(IS150)

19. 索状影の集合のように見えたが経過で拡大して切除された腺癌(IS152)

20. 緩徐な増大をきたし切除して腺癌であったすりガラス結節影(IS153)

21. 緩徐な増大と濃度増加をきたしたすりガラス結節影(腺癌)(IS154)

22. 気腫肺に発生し経過で増大した充実性結節影(腺癌)(IS156)

23. 緩徐に増大する充実性結節影であった腺扁平上皮癌(IS157)

24. 高度の気腫肺内の索状影の集合のように見えた扁平上皮癌(IS158)

おわりに

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書籍情報

  • ISBN:9784005100008
  • ページ数:460頁
  • 書籍発行日:2021年3月
  • 電子版発売日:2021年5月28日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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