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- 泌尿器外科 2023年10月号(Vol.36 No.10)【特集】バイプレーヤーズ! 転移性癌治療における外科治療の役割,徹底解明
商品情報
内容
転移性腎癌の局所治療─コツと最新の臨床アプローチ─/転移性尿路上皮癌の原発巣切除は勧められるか?/転移性前立腺癌に対する原発巣摘除の意義と有用性について ほか
序文
序文
近年,転移性泌尿器癌の薬物療法の開発は目覚ましいものがあります。腎細胞癌に対するIO+TKI やIO+IO 療法,mCSPC/CRPC に対する新規AR 阻害薬やPARP 阻害薬,尿路上皮癌に対するIO 治療やエンホルツマブ ベドチンなど,次々と薬物療法が登場しております。時代の潮流の中で,転移巣・原発巣切除の臨床的意義もまた変化しつつあります。薬物療法が驚異的な進歩を遂げている昨今,われわれ泌尿器科医にとって最大の武器である外科治療にあえてスポットライトをあてることで,転移性泌尿器癌の理解がさらに深まるのではと考え,本企画を立案しました。
Part 1 は“転移性癌に対する原発巣切除の意義” であります。われわれは,新規薬物療法という武器を得たことで,新たな治療戦略を立てる必要がでてまいりました。本企画の中で安部崇重先生(北海道大学)は「さまざまな癌腫で全身治療が強化される現状では,従来の無作為化試験で示された局所治療の予後改善効果に関しても注意して解釈をすべきであろう」と述べられております。一方で,薬物療法と手術技術の進歩が相まり,原発巣切除の新たな可能性もでてまいりました。古家琢也先生 (岐阜大学)はRARPを施行したmCSPC の自験例12 例の成績を示されております。一定の割合で原発巣切除が転移性癌の予後向上に寄与することは事実でありますが,そのタイミングもまた重要な論点であります。城武卓先生(埼玉医科大学国際医療センター)には腎細胞癌におけるupfront/immediate とdeferred cytoreductivenephrectomy に関して詳しくまとめていただきました。
Part 2 は“転移巣切除の意義” であります。転移性癌の正確な診断は重要であり,診断ツールの精度も着実に向上しております。それを万人が享受できることが理想であり,実例として柳澤孝文先生(東京慈恵会医科大学)が述べられているように,転移性前立腺癌診断におけるPSMA-PET/CT の普及が待たれるところであります。転移巣切除には侵襲の高いものも多く,手術に踏み切ることは容易ではありません。岸田健先生(神奈川県立がんセンター)には精巣腫瘍における化学療法後の腫瘍マーカー陽性手術(desperationsurgery)を中心に概説いただきましたが,desperation surgery を「やけっぱち手術」ではなく「起死回生の手術」と解釈される先生の,揺るぎない信念を感じました。さらに「患者の真の希望は,生存期間の延長ではなく,「根治(Cure)」であろう。…「根治を目指した切除」の適応がある症例では,手術をためらうべきではない」との中川徹先生(帝京大学)のメッセージに強く賛同するものであります。転移性癌治療における薬物療法と外科治療の共闘の可能性と重要性を示したという点において,福田洋典先生(東京女子医科大学)が触れられているように,転移巣完全切除症例を含めた再発高リスク腎細胞癌におけるぺムブロリズマブ術後補助療法の効果が立証されたKEYNOTE-564 試験は注目に値すると考えます。
アカデミー賞をみると,主役は英語でleading role といい,それ以外の役はsupporting role というようです。実は,バイプレイヤーは和製英語です。転移性癌治療という舞台で,lead するのは薬物療法でありますが,外科治療はこれをsupport ではなく寄り添う(“by”)ものとして,お互いの力を最大限に引き出しあうことが重要ではないでしょうか。
改めまして本企画が皆様の転移性泌尿器癌診療の知識の整理の一助となり,日々の臨床に少しでもお役に立てば,企画者にとりまして望外の喜びです。
聖マリアンナ医科大学腎泌尿器外科
菊地 栄次
目次
特集 バイプレーヤーズ! 転移性癌治療における外科治療の役割,徹底解明
序文
聖マリアンナ医科大学腎泌尿器外科 菊地 栄次
Part 1:薬物治療が進歩した今,転移性癌の原発巣切除は勧められるか!?
転移性腎癌の局所治療─コツと最新の臨床アプローチ─
埼玉医科大学国際医療センター泌尿器腫瘍科 城武 卓
転移性尿路上皮癌の原発巣切除は勧められるか?
北海道大学大学院医学研究院腎泌尿器外科学教室 安部 崇重,他
転移性前立腺癌に対する原発巣摘除の意義と有用性について
岐阜大学医学部医学科生体管理医学講座泌尿器科学分野 古家 琢也,他
Part 2:薬物治療が進歩した今,転移巣切除は勧められるか!?
分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬時代の腎細胞がん転移巣切除のエビデンス
東京女子医科大学医学部泌尿器科学 福田 洋典,他
尿路上皮癌,転移巣切除は勧められるか?
帝京大学医学部泌尿器科学講座 中川 徹
前立腺癌,転移巣切除は勧められるか?
東京慈恵会医科大学泌尿器科 柳澤 孝文,他
治療抵抗性精巣腫瘍における救済手術の意義
神奈川県立がんセンター泌尿器科 岸田 健
第110回 日本泌尿器科学会総会 ランチョンセミナー 39
UroLift®による BPH 治療の新たな展望
座長 髙橋 悟
演者 古田 昭 舛森 直哉
連載
第151回 泌尿器科領域におけるトラブルシューティング
5- アミノレブリン酸を使用した経尿道的手術中に心停止した1例
産業医科大学医学部泌尿器科学講座 谷川堅太郎,他
臨床研究
当院における TURis システムを用いた経尿道的前立腺蒸散術(TURisV)の臨床的検討
横浜市立市民病院泌尿器科 米澤 光祐,他
尿閉を生じ TUR-P 手術を行った55症例の検討
多摩丘陵病院泌尿器科 福島 岳志,他
症例報告
真菌性眼内炎を併発した左腎盂腎炎の1例
伊勢崎市民病院泌尿器科 清水 孝倫,他
腎癌術後多発転移に対して,腸骨転移への放射線治療で肺転移が自然消失した 1例
東京逓信病院泌尿器科 佐々木正比古,他
両側停留精巣を契機に判明したKallmann症候群の1例
国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部泌尿器科 友政 直也,他
短報
タダラフィルで効果不十分な前立腺肥大症におけるシロドシンによる交替療法の有用性
中山会宇都宮記念病院泌尿器科 小林 実,他
地方会
第266回 日本泌尿器科学会東北地方会
第637~639回 日本泌尿器科学会東京地方会
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書籍情報
- ISBN:9784019203610
- ページ数:108頁
- 書籍発行日:2023年10月
- 電子版発売日:2023年11月21日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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