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実験医学別冊 最強のステップUPシリーズ 空間オミクス解析スタートアップ実践ガイド~最新機器の特徴と目的に合った選び方、データ解析と応用例を学び、シングルセル解析の一歩その先へ!

  • ページ数 : 244頁
  • 書籍発行日 : 2022年12月
  • 電子版発売日 : 2022年11月30日
¥8,580(税込)
ポイント : 156 pt (2%)
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商品情報

内容

シングルセル解析の弱点「位置情報の損失」を補う新技術は,実際どこまで使えるのか?! 次々に開発される機器のそれぞれの特徴とプロトコール,さらに応用例と今後の技術展望まで,最先端の情報を凝縮した1冊.

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序文

序―配列からバイオロジーへ


本書では近年になって進展の著しいいわゆる「空間オミクス解析」特集を編集した.一連の空間オミクス解析は先行するシングルセル解析に端を発する.さらにその元を辿れば次世代シークエンサーのシークエンス能力の飛躍的な拡大と普及がある.何万,何十万人にといった規模でヒト全ゲノム解析を行えるシークエンス能力がなければ,何万,何十万細胞についての遺伝子解析を行うことは不可能であった.実際に,近年のシングルセル解析の成果としてそれまでの細胞集団を対象とした「バルク」の解析では分からなかった多くのことが明らかになっている.特にがん分野では組織内でのがん細胞の不均一性,また多様な間質細胞との相互作用が明らかになった.感染症分野では病原微生物に対応する免疫細胞の多様性への理解が今次コロナ禍を背景に一気に加速した.今なお,その応用範囲は発生,神経等さらに多くの対象へと拡大を見せている.

シングルセル解析の最大の欠点は,単一細胞の組織からの分取の必要性からそのもともとの細胞が位置する情報が失われることにあった.これに解法を与えつつあるのがいわゆる「空間オミクス解析」である.空間オミクス解析では病理切片上のその位置に遺伝子発現情報がヒートマップ上に図示される.その解像度はまだシングルセルレベルには至らないが,より直接的に細胞間相互作用,局所環境の解析が可能である.その方法論的詳細,最新の応用例は各論に譲るが,1つの見方として,今回の空間オミクス解析の登場は,ここ10年にわたって広く医学・生物学分野を席巻した次世代シークエンス時代の1つの転機となるように思う.多くの空間オミクス解析においては,次世代シークエンサーで読みとるのはバーコードタグの配列のみである.さらに直近の手法では,狭義には塩基配列の決定自体を前提としない.2010年頃の登場以降,次世代シークエンサーは,RNA-Seq,ChIPSeq,バイサルファイトシークエンスと,その鋳型を変えて多くの生物学的対象に対応できる汎用的検出機器としての地位を確立してきた.ただし,一端,核酸あるいは生体物質をその場所から単離してしまうと,元の空間情報の精密な復元が困難であることがしだいに明らかになってきた.組織内での直接的なシグナル検出の要請にはむしろ次世代シークエンサーに依存しない蛍光シグナル等の直接の検出がむしろ利点が多い.実際,空間オミクス解析から産出されるデータは,塩基配列データではなくむしろ画像情報を主とする.

要求されるデータ解析技術もむしろ病理学的なものに近い.ただ個人的には,これらの空間オミクス解析の登場によって,はじめて大規模解析技術が真の意味で生物学的解析に昇華したように思う.がんだけでなく多くの研究対象の枠を超えて,また多くの臓器を対象として急速に発展する空間オミクス解析について,本書においてその勃興期の熱狂を読者の皆様と共有できれば幸いに思う.


2022年10月

鈴木 穣

目次

序―配列からバイオロジーへ[鈴木 穣]

空間オミクス解析への期待[神原秀記]

“使う”時代がやってきた[菅野純夫]

概論 空間オミクス解析の技術レビューと機器・データ解析ツール選択ガイド[鹿島幸恵,鈴木 穣]

実践編

第1章 技術とプロトコール

1 空間トランスクリプトーム Visiumによる新鮮凍結/FFPE組織検体の解析[森 裕太郎,山本雄介,吉田康将,岡本康司]

2 空間トランスクリプトーム Visium のデータ解析ツール[永澤 慧,金井昭教,鈴木 穣]

3 空間トランスクリプトーム ロングリードシークエンスを用いたscRNA-seqおよびVisiumの全⻑cDNA解析[藤井元人,鈴木絢子,水野裕介,関 真秀,鈴木 穣]

4 空間トランスクリプトーム 深層学習を活用したVisium測定結果の超解像度化[門城 拓,小井土 大,鎌谷洋一郎]

5 空間トランスクリプトーム Xenium In Situ[大西雅也,鈴木 穣]

6 空間トランスクリプトーム HybISS(Hybridization-based in situ sequencing)[砂留一範,山本拓也]

7 空間トランスクリプトーム Stereo-Seq(STOmics)[金井昭教,鈴木 穣]

column ROI組織パンチングによる空間的遺伝子発現解析[松永浩子,細川正人,竹山春子]

column セミバルクRNA-seq[関 真秀,永澤 慧,鈴木絢子,鈴木 穣]

8 空間プロテオーム Hyperion Imaging Systemを用いた多重イメージングマスサイトメトリー[小亀敏明,平田勝啓,南 風花,椛島健治]

9 空間プロテオーム PhenoCyclerを用いた多重蛍光免疫染色[善光純子,永澤 慧,鈴木絢子,鈴木 穣]

10 空間プロテオーム(空間トランスクリプトームも可能) GeoMxを用いたがん組織のマルチタンパク質発現解析[谷口智憲]

11 空間メタボローム メタボロームと時空間オミクスの融合とイメージングマス[加藤美樹,菅谷麻希,大澤 毅]

第2章 データベース

12 バイオイメージングデータベースの現状と展望[京田耕司,大浪修一]

13 遺伝子発現データベースを活用した空間・発生解析[森 智弥,藤渕 航]

応用研究編

第1章 発展的空間オミクス解析

1 空間オミクス解析を補う1細胞トランスクリプトーム技術の最前線[二階堂 愛]

2 空間トランスクリプトームと1細胞トランスクリプトームの統合解析[飯田渓太,岡田眞里子]

3 空間トランスクリプトームに基づく細胞間相互作用ネットワークの解析技術[小嶋泰弘,島村徹平]

4 セルオミクスによる臓器・全身の空間コンテキスト解析[洲﨑悦生]

5 イメージングによるオミクス状態の推定[岡田康志]

第2章 活用例と展望

6 免疫研究と空間オミクス解析[鹿島幸恵,鈴木 穣]

7 空間トランスクリプトームを用いた感染症研究の芽生え[猪原史成,山本雅裕]

8 心臓血管疾患と空間オミクス解析[野村征太郎]

9 がん免疫研究におけるシングル細胞解析と空間解析への展開[鈴木利宙,中面哲也,関 真秀,鈴木 穣]

10 精神医学研究におけるゲノム解析と空間トランスクリプトームの現状[森 大輔,有岡祐子,久島 周,奥村啓樹,尾崎紀夫]

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書籍情報

  • ISBN:9784758122610
  • ページ数:244頁
  • 書籍発行日:2022年12月
  • 電子版発売日:2022年11月30日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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