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言語の認知神経心理学
商品情報
内容
本書では、第1章「理論的観点と方法」で、認知心理学と神経心理学との関係、
従来のロゴジェン・モデルから、コネクショニスト・アプローチを代表するトライアングル・モデルまで、わかりやすく解説。
続く第2章「各種神経心理症状の認知神経心理学的分析」で、失語症、読みの障害、発達性ディスレクシア、文と動詞について解説します。
さいごに、「認知神経心理学的アプローチによる言語訓練」として、失語症、失読・失書、発達性ディレスレクシアへの指導方法を紹介。
失語症臨床に新しい視点をプラスする1冊。
序文
序文
言語情報処理のモデルが提唱され,モデルに基づいて深層失読と表層失読の区分が提唱されてから半世紀を経た。わが国でも失読失書および失語症の認知神経心理学的分析が発表されるようになって40年以上が経過した。そのような中,日本高次脳機能障害学会(現 日本高次脳機能学会)のサテライトセミナーでは,言語の認知神経心理学を振り返り,現時点でその意義を評価することをテーマとして選び,その後さらに新たな執筆者にもお願いして本書の出版に至ることができた。
認知神経心理学の方法を用いることで言語症状の分析が詳細になり,認知心理学の理論に基づいて障害の理論的分析が行われるようになった。先の深層失読と表層失読の区分を例に挙げれば,その背景には視覚-意味的処理と音韻処理の相違が仮定されていた。認知神経心理学的モデルは古典的失語症候群や失語症検査成績の理論的分析を可能にし,言語訓練に仮説演繹的な展開をもたらした。古典的失語症候群は臨床解剖学的モデルであり,臨床症状の組み合わせによって分類され,失語症検査における聴く,話す,読む,書くの言語モダリティ別の検査成績によっては分類できない。認知神経心理学的モデルは臨床症状の背景にある言語機能を明らかにすることができ,また言語モダリティ別の言語成績を説明することができる。この点で,失語症の症候学と失語症検査,さらに言語訓練の関連性を理論的に明らかにすることができ,失語症リハビリテーションの学問的発展に大きく寄与した。本書の各章にこれらの具体的展開が紹介されている。
第Ⅰ部は理論的観点と分析法に関して,古典的アプローチとコネクショニスト・アプローチ,神経心理学および認知心理学との関係について取り上げた。また,分析法に関して語彙特性の利用法と語彙性判断にかかわる統計的分析法が紹介されている。第Ⅱ部は失語症,失読失書および発達性読み書き障害に関する認知神経心理学的理論の発展,SALA失語症検査による言語症状の分析法を紹介した。第Ⅲ部では認知神経心理学の立場から言語訓練法を取り上げ,失語症,失読失書,発達性読み書き障害とともにsemantic feature analysisを紹介した。執筆者にはわが国の認知神経心理学の発展を担ってきた先生方にお願いすることができた。本書はわが国における斯界の記念碑的出版の一つとなるのではないか,と考える次第である。
本書が言語障害の認知神経心理学的分析と介入に利用されることを願っている。本分野の用語が特殊であるが,新興医学出版社編集部宮澤 咲氏と,林峰子社長の極めて丁寧な編集で読みやすくしていただいた。ここに記して感謝申し上げる。
びわこリハビリテーション専門職大学 教授
種村 純
目次
序文 種村 純
Chapter1 理論的観点と方法
1. 認知神経心理学とその発展 辰巳 格
2. モジュール型モデルを仮定する従来のアプローチとコネクショニスト・アプローチ 三盃 亜美
3. 認知心理学との関係 日野 泰志
4. 神経心理学との関係 松田 実
コラム 意味失語について 松田 実
5. 刺激選択法:語彙特性,データベース,利用法 近藤 公久
6. 分析法:線形混合効果モデル 玉岡賀津雄
Chapter2 各種神経心理症状の認知神経心理学的分析
1. 失語症 種村 純
2. 読みの障害 伊集院睦雄
3. 発達性読み書き障害(発達性dyslexia) 宇野 彰
4. 文と動詞の認知神経心理学 渡辺 眞澄
Topics 認知神経心理学的評価法─SALA失語症検査─ 吉田 敬,長塚 紀子
Chapter3 認知神経心理学的アプローチによる言語訓練
1. 失語症 新貝 尚子
2. 失読と失書のセラピー 橋本 幸成
3. 発達性ディスレクシアの読み書きに対する認知神経心理学的指導 春原 則子
Topics Semantic Feature Analysis Treatment 石井 由起
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書籍情報
- ISBN:9784880029177
- ページ数:248頁
- 書籍発行日:2025年1月
- 電子版発売日:2024年11月26日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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