医学のあゆみ292巻13号 脳科学研究が推進する うつ病の病態・診断・治療の発展

  • ページ数 : 196頁
  • 書籍発行日 : 2025年3月
  • 電子版発売日 : 2025年3月26日
¥6,820(税込)
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商品情報

内容

・うつ病は,生物学的要因,心理社会的要因,そして個々の人格や発達の特性が相互作用して発症する複雑な疾患である.働き盛りでの発症が多く,2030年代には社会的損失の最大要因になると推測されている.
・診断は精神科医の主観に頼り,治療は十分な効果を示さない抗うつ薬に依存する現状.いまだ解明されない病態メカニズムという大きな壁が立ちはだかるが,客観的な診断法と確実な治療法の確立は切実な課題である.
・そうしたなかでも,脳科学研究の着実な進歩が新たな光明を投げかけている.『医学のあゆみ』第5土曜特集として14年ぶりにうつ病を大特集.病態・診断・治療の3つの側面から,第一線の研究者らが最先端の知見を余すところなく解説する.

序文

はじめに


うつ病は最も主要な精神疾患であり,生物学的要因と心理社会的要因と元来の人格・発達の特性の複雑な相互作用により発症する多因子疾患である.また,ストレスに強く関連する疾患である.ますます複雑化・非寛容化している現代社会は高ストレス社会であり,今後,うつ病の患者数は増加の一途をたどると考えられる.また,うつ病は働き盛りの世代に多く発症するため社会的損失が非常に大きく,おそらく2030年代には最も社会的損失が大きい疾患になると推測されている.そのため,現代社会におけるうつ病診療の重要性は,今後,ますます高まっていくと考えられる.

しかし,うつ病診断はいまだに精神科医の主観に基づいてなされており,確立した客観的な診断法は存在しない.また,うつ病治療の主役はいまだに1950~1960年代に確立された古典的なモノアミン仮説に基づく抗うつ薬であり,その有効性は決して十分ではない.そのため,うつ病の病態解明による新たな診断・治療の確立が,うつ病が大きな社会問題となっている現代社会において急務である.ところが,長年にわたって数多くの研究が行われているにもかかわらず,うつ病の病態は残念ながらいまだに解明されていない.

前回,『医学のあゆみ』の第5土曜特集号でうつ病が取り上げられたのは14年前の2010年である.その号では「最新 うつ病のすべて」というタイトル通りに,うつ病のあらゆる側面の当時の最新の話題が取り上げられていた.その後の14年間で著しく進歩した脳科学研究に基づき,うつ病の病態・診断・治療の研究は当時よりも大きく発展しており,客観的な診断法やより有効性の高い治療法の開発が現実のものになるのではないかと期待を抱くことが可能な状況になってきている.

そこで本特集では,最新の脳科学研究の進歩に基づくうつ病の病態・診断・治療研究の発展に焦点を当て,それぞれの分野におけるわが国での現代の第一人者に執筆していただいた.本特集は現在までのうつ病の病態・診断・治療研究の集大成であり,今後のうつ病研究のさらなる発展に寄与すると筆者は期待している.


朴 秀賢
熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学講座

目次

はじめに  朴 秀賢

病態

うつ病のゲノム研究とその臨床応用  藤野淳也・他

うつ病の内分泌的研究─コルチゾールを中心に  中川 伸

古くて新しいうつ病の病態仮説:モノアミン仮説  山脇洋輔・山脇成人

うつ病の神経可塑性仮説─海馬の組織学的変化を中心に  森信 繁

うつ病の神経細胞新生仮説  朴 秀賢

うつ病の炎症仮説  岩田正明

うつ病の病態におけるエピジェネティクス  宮城達博・淵上 学

うつ病とアストロサイト  梶谷直人

脳の免疫細胞ミクログリア─うつ病の鍵を握る隠れた存在?  古賀農人

逆境的養育体験のうつ病に与える影響とそのメカニズム  戸田裕之

慢性ストレスによる行動変容の個体差を創発する分子・神経回路メカニズム  内田周作

高齢者のうつ病─老化・認知症との関連性  馬場 元

診断

うつ病における構造MRI研究  原田 舟・松尾幸治

うつ病治療のバイオマーカーとしてのガンマオシレーション  田村俊介・他

fNIRSとうつ病  金沢徹文

うつ病の血液バイオマーカー:mRNA  伊賀淳一

うつ病におけるmicroRNAの役割,バイオマーカーの可能性  吉野祐太

DNAメチル化に着目したうつ病の治療反応バイオマーカー研究  吉田朋広・沼田周助

うつ病の血液バイオマーカー:テロメア越智紳一郎

うつ病の病態における脳由来神経栄養因子(BDNF)とインターロイキン6(IL-6)  吉村玲児

うつ病の血液バイオマーカーを探索する─メタボロミクス  松島敏夫・他

うつ病の音声バイオマーカー  徳野慎一・他

治療

抗うつ薬の歴史と最近の進歩  竹林 実

うつ病のプレシジョンメディスンの実現に向けて  島本優太郎・加藤正樹

うつ病治療における補完代替療法の可能性  清水雄一郎・他

うつ病治療における電気痙攣療法(ECT):歴史・作用機序・有効性と安全性  青木宣篤・他

高出力ECT機器をどのように使うか  安田和幸・野田隆政

うつ病におけるrTMS療法  髙橋 隼

経頭蓋直流電気刺激(tDCS)によるうつ病治療の現状と展望  西田圭一郎

脳科学研究が指し示すうつ病の認知行動療法の未来  大久保 亮

うつ病治療における栄養学的配慮  功刀 浩

睡眠障害に着目したうつ病治療  新里輔鷹・高江洲義和

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書籍情報

  • ISBN:9784006029213
  • ページ数:196頁
  • 書籍発行日:2025年3月
  • 電子版発売日:2025年3月26日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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