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- 小児腎臓病学 改訂第3版
商品情報
内容
前版刊行以来,ゲノム医療の進展や新しい診断技術の登場により,小児腎臓病分野でも疾患概念を含めた病像の理解が大幅に変化してきた.本書ではこうした医療と技術の発達を背景に,小児腎臓病学の基本的な理解から,遺伝性疾患や先天性疾患に関する知見,さらには難治性の疾患への新たな治療法まで最新情報に刷新した.
小児腎臓病の超ベテランから,現場で活躍する小児科医,研修医,新たに小児腎臓病を学ぶ次世代まで,すべての専門家に必携の1冊.
序文
第3版 序文
今般,日本小児腎臓病学会(以下,小児腎)の英知を結集した『小児腎臓病学改訂第3版』を発刊する運びとなりました.今回の改訂に際しては,項目名はほぼ第2版を踏襲する一方で,著者陣は大幅に刷新いたしました.著者の選定に当たっては,各項目に精通し,最新のエビデンスを取り入れることができる専門家を厳選し,執筆を依頼しました.その結果,小児腎の中西浩一理事長が掲げる「根拠に基づく最良の医療を皆様に」というスローガンを具現化する,類を見ない傑作を作り上げることができたと自負しています.
本書の第1版は2011年,第2版は2017年に刊行され,今回が約8年ぶりの改訂となります.その間,スピンオフとして,『アルポート症候群診療ガイドライン2017』,『小児IgA腎症診療ガイドライン2020』,『小児特発性ネフローゼ症候群診療ガイドライン2020』,『小児IgA血管炎診療ガイドライン2023』を刊行して参りました.とくに小児腎臓病において重要な特発性ネフローゼ症候群やIgA腎症については,私たち小児腎が主導し,多くの医師主導治験および臨床試験を行い,世界中に最先端のエビデンスを提供してきました.また,この8年間において,腎臓病分野でもゲノム医療が大きく進展し,疾患概念も大幅に変化してきました.これらの変化を本教科書に集約し,1冊に凝縮することができました.
各分野の専門家による原稿を拝読いたしましたが,いずれも非常に丁寧かつ大変わかりやすく記述されています.また,小児腎の学術委員会の先生方には部門編集責任者として丁寧に内容や誤字をチェックしていただき,完成度がさらに向上しました.その過程一つ一つを通じ,日本刀がますます研ぎ澄まされ,最高の切れ味を備えた名刀が完成したかのような手応えを感じております.本書は小児腎臓病専門医のみならず,すべての小児科医や小児科医を志す初期研修医にとっても必携の一冊となりました.皆様の日常診療にお役立ていただければ,この上ない喜びです.
最後に,初版から一貫して細心の注意を払い編集・出版を担当してくださった診断と治療社の皆様に心より感謝申し上げます.私たちでさえも気づかないような専門用語の誤字脱字まで丁寧にチェックしてくださったり,専門外の小児科医でも読みやすいよう助言をいただいたりと,素晴らしいプロフェッショナルな働きぶりでした.誠にありがとうございました.
令和7年4月
『小児腎臓病学改訂第3版』編集委員長
野津寛大
第3版 発刊に寄せて
このたび,日本小児腎臓病学会は,学会編集による『小児腎臓病学改訂第3版』を発刊いたします.小児腎臓病学の進展を反映し,さらなる充実を目指した改訂作業を経ての発刊となります.本書が,現場で活躍する小児科医,研修医,そして新たに小児腎臓病を学ぶ医療従事者,さらには小児腎臓病を専門とする人々にとって,重要な一助となることを心から願っております.
初版の発刊から,再生医療や遺伝子診断をはじめとした新しい技術の進展や,臨床現場での治療法の革新がありました.とくに,遺伝性腎疾患に関する理解が深まり,新しい診断技術が登場する一方で,腎移植や透析療法,さらには小児期に特有の慢性腎疾患へのアプローチが進化しました.また,近年では,AI(人工知能)やビッグデータの活用による診断支援技術が発展し,より個別化された医療が提供できる時代が到来しています.
このように,医療技術の急速な発展とともに,小児腎臓病学の分野でも新たな知見が生まれ,診療におけるアプローチにおいてもそれらを反映する必要があります.最新の知識を包括的かつタイムリーに提示することは学会の使命の一つであり,本書はそうした新しい知見とともに,小児期における腎疾患の理解を深め,臨床に役立つ実践的な知識を提供することを目的としています.とくに,遺伝性疾患や先天性疾患に関する最新の情報,さらには難治性の疾患への新たな治療法をアップデートしました.
さらに,患者・家族中心の医療が求められています.小児腎疾患を有する子どもたちは,治療だけでなく,長期的なフォローアップや心理社会的支援が必要です.本書では,疾患の治療にとどまらず,患者とその家族に対するサポートについても触れています.とくに,慢性腎疾患をもつ小児患者の成長に伴う心理的なサポートや,成人期への移行における課題についても具体的に言及しています.
小児腎臓病学の分野は今後も進化し続けるとともに,社会のニーズに応じた柔軟で高度な対応が求められます.本書がその一助となり,未来の小児腎臓病医の育成に貢献できることを願っています.そして,次世代の小児腎臓病専門医が,より多くの子どもたちに最適な医療を提供できるよう,引き続き努力していく所存です.
最後に,この改訂作業にご尽力いただいた執筆者の皆様,編集を担当された方々,そして本書の制作をサポートしてくださった診断と治療社の皆様に,深く感謝申し上げます.今回の改訂版が,医療現場で働く皆様にとって有益なリソースとなり,次世代の小児腎臓病学を牽引する礎となることを願っています.
令和7年4月
日本小児腎臓病学会 理事長
中西浩一
目次
口絵カラー
第3版 発刊に寄せて
第3版 序文
第2版 発刊に寄せて
第2版 序文
初版 発刊に寄せて
初版 序文
執筆者一覧
Ⅰ 総論
第1章 腎の発生,構造と機能
1 腎の発生・分化 神田祥一郎
2 糸球体の構造と機能 張田 豊
3 尿細管の構造と機能 森本哲司
第2章 腎とホメオスタシス
1 水とナトリウム代謝 三浦健一郎
2 カリウム代謝 野津寛大
3 酸塩基平衡 寺野千香子
4 カルシウム,リン代謝とその異常 窪田拓生
第3章 検査・診断法
1 小児腎疾患の診断 荒木義則
2 腎外症状を伴う小児腎疾患の診断 石森真吾
3 尿検査 小林靖子
4 糸球体機能検査 山本かずな,坂井智行
5 尿細管機能検査 南川将吾
6 腎疾患の画像診断 宮坂実木子
7 腎生検の実際 元吉八重子
8 腎生検病理診断 井藤奈央子
9 遺伝子診断 長野智那
第4章 治療
1 輸液療法 堀之内智子
2 薬物療法①ステロイド・免疫抑制薬 田中征治
3 薬物療法②生物学的製剤(リツキシマブ,エクリツマブ) 藤永周一郎
4 薬物療法③RAS阻害薬,SGLT2阻害薬 藤岡啓介,漆原真樹
5 腎機能障害時の薬物療法 藤田直也
6 腹膜透析 西 健太朗
7 血液透析とアフェレシス療法 原田涼子,濱田 陸
8 腎移植 石塚喜世伸,三浦健一郎
第5章 小児の腎疾患の早期診断と管理
1 胎児診断とその対応 小澤克典
2 乳幼児腎臓検診 山田剛史
3 学校検尿の意義および検診有所見者に対する指導と対応 大塚泰史
4 慢性腎疾患の小児に対する予防接種 亀井宏一
5 移行期医療 寺野千香子
II 各論
第1章 糸球体疾患
1 先天性ネフローゼ症候群 岡本孝之
2 遺伝性糸球体疾患 山村智彦
3 特発性ネフローゼ症候群 菊永佳織,石倉健司
4 急性感染後糸球体腎炎 田中絵里子
5 IgA腎症 島 友子
6 膜性増殖性糸球体腎炎・C3腎症 大島真衣,澤井俊宏
7 膜性腎症 滝澤慶一
第2章 尿細管間質性疾患
1 ネフロン癆・ADTKD 森貞直哉
2 多発性囊胞腎 藤丸拓也
3 Dent病・Lowe症候群・CUBN腎症 榊原菜々
4 Bartter症候群・Gitelman症候群―遺伝性塩類喪失性尿細管機能異常症 近藤 淳
5 偽性低アルドステロン症 仲川真由
6 尿細管性アシドーシス 櫻谷浩志
7 腎性尿崩症 宮井貴之
8 シスチン尿症およびその他のアミノ酸輸送体異常症 藤丸季可
9 Fanconi症候群 梶保祐子
10 原発性高シュウ酸尿症 玉村宗一
11 尿細管間質性腎炎 辻 章志
第3章 全身性疾患に伴う腎障害
1 血管炎症候群に伴う腎炎・腎障害 伊藤秀一
2 紫斑病性腎炎 清水正樹
3 ループス腎炎 小椋雅夫
4 先天性代謝異常症に伴う腎障害 平野大志
5 感染症に伴う腎障害 敦賀和志
6 薬剤性腎障害・腎毒性物質 松村英樹
第4章 尿路疾患(泌尿器科関連疾患)
1 下部尿路機能の発達と生理 佐藤裕之
2 尿路感染症 西山 慶
3 先天性腎尿路異常(CAKUT) 木全貴久
4 小児の排尿・排便異常 池田裕一
5 尿路結石 横山忠史
6 夜尿症 西﨑直人
第5章 高血圧症
1 小児の高血圧―測定方法,基準値,疫学 菊池 透
2 一次性高血圧(本態性高血圧)の病態,診断,治療 池住洋平
3 二次性高血圧の病態,診断,治療 諸橋 環
第6章 急性腎障害(急性腎不全)
1 小児急性腎障害(急性腎不全)の発症機序と疫学 貝藤裕史
2 小児急性腎障害(急性腎不全)の診断と治療 濱田 陸
第7章 慢性腎臓病(とくに末期腎不全)
1 小児慢性腎臓病(とくに末期腎不全)診療の動向 此元隆雄
2 小児慢性腎臓病の診断と治療 日比野 聡
3 小児慢性腎臓病と成長障害 濱崎祐子
4 小児慢性腎臓病と骨代謝 幡谷浩史
5 小児慢性腎臓病と腎性貧血 久野正貴
付録 わが国の小児に頻用される薬物の腎機能低下時の投与量,投与法 岡 政史
略語一覧
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書籍情報
- ISBN:9784787882257
- ページ数:456頁
- 書籍発行日:2025年4月
- 電子版発売日:2025年5月16日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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