乳房超音波＆マンモグラフィ一問一答

序

乳癌患者は増加の一途を辿り，女性の悪性腫瘍の罹患率第1位，年間9.5万人の方が新たに乳癌と診断されています．乳癌検診受診率の向上は重要課題であり，乳癌画像診断の重要性は益々増加しています．一方で，乳癌の画像診断は難しいという声もよく耳にしてきました．そのような中で『乳房超音波＆マンモグラフィ一問一答』の編集の依頼をいただき，乳房超音波＆マンモグラフィを使いこなす仲間を増やしたいという思いで本書を作成させていただきました．「人財は宝」です．

本書は，若手医師，これから乳腺診療を始める医師・超音波技師・診療放射線技師を中心に，初めて乳癌画像診断を学ぶ，あるいは学びなおしをしたい場面で気楽に手に取っていただけるように構成されています．

初学者が知っておいたら理解が進みやすくなるのではないかという知識を，Q&A 形式で簡潔にまとめています．解剖から正常画像，装置の特徴，スキャンのコツといった基本事項から始まり，後半はよく遭遇する疾患の読影ポイントまで豊富な画像と動画付きで，各分野のエキスパートに執筆していただきました．

１冊通して読んでいただいてもよし，隙間時間にQ&A ごとに目を通してもらうという使い方もお勧めです．ちょっとした疑問が湧いた時にも，めくっていただけるようになっています．適宜コラムとして豆知識も挿入しています．

病変の見極めに役立てるエッセンスを凝集した本を作ることができたと自負しています．

最後に，ご多忙の中，最適な画像を選りすぐり，原稿を執筆していただいた分担著者の先生方，忍耐強く編集作業をしてくださった株式会社Gakkenメディカル出版事業部 編集課の皆様に心より御礼申し上げます．

2024年8月

東京女子医科大学乳腺外科
明石定子