ビジョンと戦略からはじまる 地域医療学のブレイクスルー

  • ISBN : 9784498049000
  • ページ数 : 250頁
  • 書籍発行日 : 2021年9月
  • 電子版発売日 : 2021年9月17日
  • 判 : A5判
  • 種別 : eBook版 → 詳細はこちら
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¥4,180 (税込)
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商品情報

これだけ地域医療を高所大所から俯瞰し綿密に詳説した書は珍しい
そして本書は単なる地域医療の解説書だけではない
地域医療に邁進した医師の人生を語る小説でもある
その夢と情熱にあふれた「地域医療」の魂に触れることができる 地域医療に従事する医療者必携の書である


地域医療とは何でしょうか.へき地や特定の地区における医療でしょうか.また,地域医療とプライマリ・ケアや総合診療との関係を明確に説明できるでしょうか.本書において展開される定義や考えは単に提案のひとつかもしれませんが,地域医療にこれからかかわる方,すでにかかわっている方,さらには興味をもつ方のすべてに地域医療の本質をみせてくれます.地域医療学の教科書であると同時に,著者の実践の具体的記録である本書は,必ずやあなたの疑問に答えてくれるでしょう.

※本製品はPCでの閲覧も可能です。
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■ 序文

はじめに

診察が始まる前にお年寄りのために玄関の雪かきをする,そんな医者になります

昭和63年1月に京都府庁で行われた自治医科大学一次試験の面接の前に読んだ本は『平静の心』だけで,親戚に医者が一人もいない私は,地域医療なんて言葉は聞いたこともなく,全く想像もできない世界で過ごしてきた片田舎の高校生でした.「地域医療をする医者ってどんな人かな?」という問いに対して,色褪せた学ランで冷や汗を拭いながら,緊張して呂律も回らなくなった私がようやく発した言葉に5人の面接官は笑みを浮かべました.

「君がそう思ってもさ,奥さんがそんな所に行くのは嫌だ,と言ったらどうする?」

時折,優しい眼差しを向けながら,書類に目を通していた一人の面接官がテーブルから大きく顔を上げながら,語りかけるように問いかけました.想定外の質問に,おそらく耳まで紅潮しながら虚を突かれたような顔をして,しばらく沈黙してしまいました.僕は,そんな人とは結婚しません,そんな人を好きになりません

面接官は顔を見合わせながら声をあげて笑い,質問をした当人も「そうか,そうか,そやねんな」と笑いながらペンを置き,面接の終了を告げました.この光景は昨日のことのように,緊張感とともに蘇り続けています.薄れない記憶の中で月日は流れ,その質問をした面接官は,医師免許証に厚生労働大臣と共に署名する厚生労働省医政局長になり,私は地域医療について語る立場になりました.

私のメインテーマは今も地域医療です.にもかかわらず,医学部入学から30年以上を経た現在でも,地域医療とはいったい何なのか,という根源的な問いに対して明確な回答を持ち合わせていない自分にもどかしさを感じ続けてきました.地域医療を確保する,という文言を聞いた時に思い浮かべるイメージは人それぞれに全く異なっている,ということを何度も反芻しながら,試行錯誤してきた日々の一端を書き留めました.

本書は将来,地域医療を担う医学生や研修医に伝えたいという思いで書き始めましたが,医療行政にたずさわる方,マスメディアの方,医療者になろうか否か迷っている高校生にも田舎で医療をしている医師が何を考えながら日々を過ごしてきたのかを理解していただけるよう推敲を重ねました.地域医療とは単に田舎で医療をすることではないし,どこかの地域で医療をすることでもない,さらにいえば医療の一部でもない,という極論の真意が皆さんに伝われば望外の喜びです.


2021年9月

前三重県立一志病院病院長
京都府山城広域振興局健康福祉部長(兼山城北保健所長)
四方 哲

■ 目次

第1部 地域医療とは

1 地域医療とは

  発言者で異なる地域医療の意味

  地域医療の定義

  そもそも,地域とは

  地域医療のリーダーは誰?

2 地域包括ケアシステムとは

  地域包括ケアシステムとは

  地域包括ケアシステム創りは進んでいるか?

3 日本の近代医療の歴史

  日本の医学は海外から

  ドイツ医学の採用

  免許は禁止の解除

  医師不足と医師過剰を繰り返す歴史

  若月俊一の農村医科大学構想

  日本における地域医療の萌芽

第2部 地域医療とプライマリ・ケア

4 日本のプライマリ・ケア

  日本におけるプライマリ・ケアの意味

5 WHOのプライマリ・ヘルスケア(PHC)

  WHOのプライマリ・ヘルスケア

6 英国のプライマリ・ケア

  英国の医療は政治

7 米国のプライマリ・ケア

  米国医学研究所(IOM)のプライマリ・ケア

  米国のプライマリ・ケアとPCMH

8 地域医療とプライマリ・ケア

  地域医療とプライマリ・ケアの守備領域

  はじめに近接性ありき

  地域医療を経験したメルクマール

第3部 地域医療で活躍する総合診療医とPCEN

9 総合診療医とは

  英国RCGPによるGPの定義

  総合診療医に対する英国医療界の認識

  専門医(Specialist)という言葉の誤謬

  地域医療と総合診療医

  大病院における総合診療科の役割

10 プライマリ・ケアエキスパートナース(PCEN)

  地域医療に貢献するGPとNPの育成(三重県の医療政策)

  三重県プライマリ・ケアエキスパートナース(PCEN)

  プライマリ・ケアエキスパートナース(PCEN)に込めた思い

第4部 地域医療を担う病院

11 ビジョンと戦略

  県立病院としては廃止し民間移譲する

  何から始めればよいのか?

  ビジョナリーホスピタル

  夢プロジェクト

  ビジョン策定のプロセスで得られたこと

  ビジョンを達成するために

12 地域医療を担う病院

  戦略1 医療:あらゆるニーズに対応するプライマリ・ケアの実践

  救急ホットラインと外来ホットライン

  問題には4つある

  戦略2 教育:プライマリ・ケアを担う人材の育成

  戦略3 研究:プライマリ・ケアに関するエビデンスの創出

  戦略4 地域貢献:地域住民が信頼し自慢できる病院

  多職種連携「顔のみえる会」の設立

  多職種連携とは何か

  戦略5 意欲・能力:職員の意欲と能力の向上

  日本在宅医学会地域フォーラムを主催

  戦略6 経営の健全化:継続的な医療の提供のために

  ニューパブリック・マネジメントとパブリック・インボルブメント

13 三重県におけるプライマリ・ケアの推進

  三重県プライマリ・ケアセンター

  県立一志病院の民間移譲は困難である

  鈴木知事が皇太子殿下にご説明「プライマリ・ケアの取組み」

  地域医療を担うビジョナリーホスピタル

14 取組みの成果は何か

  成果は数字で示すもの

  真の成果は数字ではない

第5部 地域医療を取り巻く考え

15 EBM(エビデンスに基づく医療)

  コロナ感染を正しく恐れる,という誤謬

  EBM

  EBMのStep 3

  EBMのStep 4

  EBMと診療ガイドライン

  「有効性が証明された」という誤謬

16 正義と幸福

  医学における正義とは何か

  医学における幸福とは何か

17 医療は何のためにあるのか

  医療はサービス業か?

  医療は何のためにあるのか?

18 日本の医療はどうあるべきか

  地域医療構想

  外来診療費と医師密度

  中小公立病院と医療費

19 へき地と医師偏在

  医学部の地域枠

  大学の地域医療学講座(寄付講座)

  地域貢献は義務ではない

20 求められる医師像と専門医制度

  医学教育の本来の価値

  求められている医師像

  求められる専門医制度

21 君たちのキャリアパス

  総合診療医という選択

  君たちのキャリアパス

第6部 地域医療を担う病院長の仕事

22 最初に決めたこと

  最初に決めたこと

23 学んだこと

  病院存続の必要条件

  病院長の仕事

  病院長は孤独

24 地域医療と志

資料編

  参考1 年表 日本の近代医療の歴史

  参考2 WHOのプライマリ・ヘルスケア(PHC)

  参考3 年表 英国プライマリ・ケアの歴史

  参考4 年表 米国プライマリ・ケアの歴史

  参考5 米国医学研究所のプライマリ・ケア

  参考6 Starfieldの4C (1998年)

  参考7 SaultzのACCCC(1999年)

  参考8 患者中心のメディカルホーム(PCMH)

  参考9 年表 三重県立一志病院の歴史

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