総合診療専門研修 公式テキストブック

  • ページ数 : 407頁
  • 書籍発行日 : 2020年12月
  • 電子版発売日 : 2021年1月29日
¥10,780(税込)
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商品情報

内容

総合診療専門医認定試験を受験する専攻医、専門医養成を担当する指導医は必携の書!

2018年から養成が始まっている総合診療専門医について、制度の運用を統括する日本専門医機構が専門研修プログラム整備基準に沿う形でまとめた初の公式テキストブック。

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序文

巻頭言


一般社団法人日本専門医機構(以下専門医機構)は厚生労働省(以下厚労省)に設置された「専門医の在り方に関する検討会」の報告書(2013年)にのっとり、2014年5月に発足した。その基本像は「①学会ではなく第三者機関として、制度の統一化・標準化を図る。②基本19領域を取得してからサブスペシャルティ領域を取得。③総合診療専門医を創り、基本領域に位置づける。④プロフェッショナルオートノミーを基本とする」とされた。この中で総合診療専門医は、他の18領域とは別の項目として「創り、基本領域に位置づける」とされている。つまり、他の18の基本領域には、母体となる基本領域学会がすでに存在して活動もしており、多くの学会員の教育、学会認定専門医の養成経験があるのに対し、「総合診療専門医」にはいわゆる母体となる領域学会が確定されず、これまでに専門医の養成経験もないことから、専門医機構自体が領域学会の役割を担い、専門医を養成する必要があると認識している。


アメリカやイギリスでは総合診療医と呼ばれる初期診療を担う分野は以前より存在していたが、医療事情や国のサイズ、仕組みの異なる我が国では独自の総合診療医の育成が試みられてきた。1978年に当時の厚生省・文部省の肝煎りで佐賀医科大学(現佐賀大学医学部)に最初の総合診療部という診療部が創設された。その後も、多くの大学病院などで総合診療科もしくは総合診療部が設立されていったが、これまで十分な共通理念に基づく「総合診療専門医」が輩出されていないのが現状である。


一般的に、専門医を目指す若い医師は、先端的な専門性の高い分野を上り詰めるという希望があるし、専門医機構の任務としても、その要求に応えるべきであると考える。一方、あまりに専門性にとらわれていくと、他の専門領域には対応できない、もしくはしないという事態もあると聞いている。患者からすると、どの診療科にもとらわれずに、患者自身を取り巻く医療的諸問題に取り組む医師を希望していることも事実である。とくに近年高齢社会を迎え、我が国の高齢者(65歳以上)は、すでに人口の28%以上(2018年)に達している。当然のことながら、高齢になるに従い、個人の抱える疾病の数も増えていくし(スコットランドの調査では高齢者の約半数が複数の疾病を抱えているという)、場合によっては大病院に通院することもままならない「疾病を抱えている高齢者」が増えているのも事実である。従って、疾病自体でなく患者個人の治療・ケアを重視するpatient-orientedな医療を望む方向も増えてきており、専門医機構の一つの任務として、いわゆる“専門性の高い”総合診療専門医を養成することがあると認識している。


総合診療専門医の方向性は多岐にわたり、日本プライマリ・ケア連合学会が掲げる「家庭医」もそうであろう。また、病院総合専門医学会が掲げる医師像もそうであろう。地域密着型の医師にもそのような姿が求められている。専門医機構には、このようなキャリアパスを見極めつつ、あらかじめ定められた教育理念に基づいて教育された専門医を輩出することが求められているものと考える。


総合診療専門医を希望される専攻医は、このようなミッションを背負って、これまで我が国になかった新たな医師像を築き上げていく気構えで立ち向かっていただきたいと考えている。本テキストが、このような「総合診療専門医」を望む医師の礎となり、国民が期待するような総合診療専門医が育つことを心から期待するものである。


2020年12月
一般社団法人日本専門医機構
理事長 寺本民生

目次

巻頭言

第1章 総論

日本の医療の現況と将来

海外の総合診療医の状況、提唱されている理念・理論

 海外の総合診療医―家庭医療系

 海外の総合診療医―病院総合診療医系

我が国で目指す総合診療医とは?

地域のニーズに応える総合診療医の働き方

 地域医療構想とデータ分析―データによる地域マネジメント

 地域のニーズに合った医療提供体制

 離島およびへき地

 地方都市

 都会

医療機関の類型とそこで求められる総合診療医の働き方

 在宅・訪問

 診療所

小~中規模病院

 大病院(固有病床10床未満)

 大病院(固有病床10床以上)

第2章 専門医制度

日本における専門医制度の経緯

総合診療専門医制度の理念と使命、そしてアウトカム

総合診療専門医専門医制度整備指針、プログラム整備基準、認定基準

指導医要件、指導医講習会

プログラム審査および研修の中断、変更

日本専門医機構

第3章 学習理論と技法

学習に関する基本的理論

成果基盤型学習

自己主導型学習

地域基盤型学習

プロフェッショナリズム

省察(経験学習と反省的実践)

シームレスな医師養成

指導指針

研修運営

第4章 専門研修の目標 専門研修後の成果、到達目標

専門研修後の成果7 つの資質・能力

 1. 包括的統合アプローチ

 2. 一般的な健康問題に対する診療能力

 3. 患者中心の医療・ケア

 4. 連携重視のマネジメント

 5. 地域包括ケアを含む地域志向アプローチ

 6. 公益に資する職業規範

 7. 多様な診療の場に対応する能力

専門知識6 領域

専門技能5 領域

学問的姿勢

医師としての倫理性、社会性など

経験すべき疾患・病態一覧

経験すべき疾患・病態症候

経験すべき疾患・病態疾患・病態

経験すべき診察・検査など身体診察

 小児

 高齢者

 成人

経験すべき診察・検査など検査

経験すべき手術・処置

地域医療の経験

 医療介護連携

 地域包括ケア、保健・予防活動

 在宅医療

 学術活動

第5章 研修方略

総論

研修現場の設定

 外来医療

 在宅医療

 病棟医療

 地域ケア

 総合診療専門研修Ⅰ

 総合診療専門研修Ⅱ

 内科研修

 小児科研修

 救急科研修

 選択研修

臨床現場を離れた学習(Off-the-Job Training)

教育・学術的活動

研修とフィードバック

自己学習

教育指導体制・プロセス

第6章 研修評価

評価目的

 専門医認定試験

評価方法

 J-GOAL(経験省察研修録の領域別要約を含む)

 短縮版臨床評価テスト(Mini-CEX)

 ケースに基づくディスカッション(Case-Based Discussion)

 総合診療版J-OSLER

第7章 キャリア形成・生涯学習

専門医更新

専門医共通講習情報

サブスペシャルティについて

総合診療専門医のキャリア・デザイン

ダブルボート関連情報

カリキュラム制(単位制)とプログラム制

生涯学習

第8章 考慮すべき社会情勢制度

総合診療に従事する医師と社会との関わり

総合診療に従事する医師の役割

 産業医

 日本医師会認定健康スポーツ医

 予防医療

 学校医

 乳幼児健診

 感染症対策

 医療的ケア児の成人期の対応

 災害医療

 医療倫理

 医療安全・医療の質

社会保障制度とは

医療経済の基本的な考え方

社会保険①

 医療保険制度1

 医療保険制度2

社会保険②

 介護保険制度

社会保険③

 労災保険、年金保険、雇用保険

地域包括ケアシステム

地域共生社会

SDH/ソーシャルキャピタル/社会的処方

 患者会・家族会

 地域の多用なNPO活動

社会福祉

 高齢者福祉

 児童福祉

 障がい者福祉

 生活困窮者福祉

公的扶助

 生活保護

外国人医療

 在日外国人の医療

多職種連携

 総論

 医師会

 看護師の資格認定制度と特定行為研修制度

 診療所看護

 訪問看護ステーション

 保健師

 歯科医師・口腔ケア

 薬剤師

 リハビリテーション概説

 理学療法士

 言語聴覚士

 作業療法士

 総合診療医とリハビリテーション専門職種の連携

 栄養士

 鍼灸など東洋医療(補完・代替医療を含む)

 介護支援専門員

 社会福祉士

 医療ソーシャルワーカー

 精神保健福祉士

 介護福祉士

第9章 研修参考情報

総合診療専門研修プログラム運用の工夫例

参考図書、ジャーナル、参考サイト、e-learning、学習コンテンツ

FAQ

おわりに

付録総合診療専門研修プログラム整備基準

執筆者一覧

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書籍情報

  • ISBN:9784296108664
  • ページ数:407頁
  • 書籍発行日:2020年12月
  • 電子版発売日:2021年1月29日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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