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- 医学のあゆみ266巻11号 エピジェネティック作用薬:現状と将来
商品情報
内容
(企画:牛島俊和/国立がん研究センター研究所エピゲノム解析分野)
エピジェネティック薬の臨床試験が進んでいる.すでに臨床導入されたDNA脱メチル化剤,HDAC阻害剤は,血液腫瘍から固形腫瘍への応用が進み,既存薬の問題点を改良した第二世代の開発も進んでいる.また,加齢や環境要因によるエピジェネティック修飾自体の異常についても,最近はがん以外の疾患でもつぎつぎと明らかになってきている.
本特集では,エピジェネティック薬の開発状況.使用法・バイオマーカーの開発について,第一線で活躍される先生方に概説いただく.
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序文
はじめに
エピジェネティック薬の臨床試験が進んでいる.すでに臨床導入されたDNA 脱メチル化剤(服部・牛島の稿),HDAC 阻害剤(曽和・酒井の稿)は,血液腫瘍から固形腫瘍への応用が進み,既存薬の問題点(体内動態,標的分子特異性など)を改良した第二世代の開発も進んでいる.免疫原性の向上など新しい作用機序もみつかってきている.がんゲノム解析により,がん細胞での突然変異が明らかになったEZH2(勝島らの稿)やIDH1/2(中川らの稿)についても,複数の阻害剤についての治験がすでに第Ⅱ相まで到達している.
これらトップランナーに続き,さらにがん以外の疾患での有効性も期待されているのが,ヒストンアセチル化の読み取りを阻害するBET 阻害剤(立石の稿),DOT1L やG9a などのヒストンメチル化酵素阻害剤(伊藤の稿),LSD1 をはじめとするヒストン脱メチル化酵素阻害剤(鈴木の稿)である.クロマチン構造を制御するSWI/SNF 複合体はさまざまながん種で変異が存在することが明らかになっており,機能喪失変異であるために合成致死からのアプローチが試みられている(荻原・河野の稿).
そもそも,エピジェネティック修飾は,同じゲノムをもつ細胞からさまざまな細胞を作り出して各臓器機能を発揮させるための仕組み,逆に,未分化な状態を保ち多能性を維持するための仕組みである.その制御に関わる分子の異常が疾患の原因にならないはずがなく,多くのがんで体細胞変異が,また,いくつもの先天性疾患で生殖細胞変異が見出されている.これらの変異を標的とする場合,いかによい薬剤を作るかが重要である.それ以上に重要なのが,加齢や環境要因によるエピジェネティック修飾自体の異常で,がんのみならず,最近はがん以外の疾患でもつぎつぎと明らかになってきている.こちらを標的にする場合,エピジェネティック修飾自体は生理的に重要なので,どのような使用法により効果を最大化していくのか戦略が必要である.
本特集により,エピジェネティック薬への大きな期待を感じていただき,新しい薬剤・使用法・バイオマーカーの開発が少しでも加速されれば望外の幸せである.
企画:牛島俊和/国立がん研究センター研究所エピゲノム解析分野
目次
特集 エピジェネティック作用薬:現状と将来
はじめに 牛島俊和
DNA 脱メチル化剤の作用機序,臨床導入および新規開発の状況 服部奈緒子・牛島俊和
HDAC 阻害剤の作動原理と臨床導入の状況(がん治療を中心に),新規薬剤開発状況 曽和義広・酒井敏行
EZH2 阻害剤の作動原理と開発現状 勝島啓佑・他
IDH 変異を標的とした分子標的治療の開発 中川 亮・他
BET 阻害剤への期待-クロマチンリーダー標的化戦略によるヒト病態制御 立石敬介
ヒストンメチル化酵素(EZH2 以外)阻害剤の開発状況 伊藤昭博
ヒストン脱メチル化酵素阻害剤の開発 鈴木孝禎
クロマチンリモデリング遺伝子欠損がんの合成致死性に基づく最適化治療 荻原秀明・河野隆志
連載
Sustainable Development を目指した予防医学(19)
健康とまちづくりI:住空間デザインの可能性 花里真道
移行期医療-成人に達する/達した患者への医療(12)
染色体異常症の移行期医療 島袋林秀・青木美紀子
TOPICS
免疫学 グルココルチコイドと免疫概日リズムが制御する生体防御機構 榛葉旭恒・生田宏一
疫学 受動喫煙と大動脈瘤・解離死亡との関連 木原朋未・他
救急・集中治療医学 カフェイン中毒-カフェインを含有する錠剤を規制すべきである 上條吉人
FORUM
医療社会学の冒険(5) 臓器移植とカニバリスム 美馬達哉
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書籍情報
- ISBN:9784006026611
- ページ数:70頁
- 書籍発行日:2018年9月
- 電子版発売日:2023年6月14日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:2
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