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医学のあゆみ270巻4号 新しい高血圧ガイドライン(2017-2019)日米欧の比較

  • ページ数 : 70頁
  • 書籍発行日 : 2019年7月
  • 電子版発売日 : 2022年10月7日
¥1,430(税込)
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商品情報

内容

新しい高血圧ガイドライン(2017-2019)日米欧の比較
企画:田村功一(横浜市立大学医学部循環器・腎臓・高血圧内科学,同医学研究科病態制御内科学,同附属病院副病院長,同腎臓・高血圧内科)

・現代社会が求める健康寿命延伸の課題である,高血圧,脳心血管病,腎臓病の3つの病態は,互いに密接に連関し同一の患者に併存する場合も多い.その起点としての高血圧の克服はきわめて重要である.
・日本高血圧学会により2019年4月に改訂された「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」では,血圧値分類の名称も改訂されており,わが国の高血圧対策は非常に重要な局面であると考えられる.
・本特集では,世界的に厳格降圧が推奨されている状況下において,日本の「高血圧治療ガイドライン2019 」では何が重視され,どのように改訂されたのかについて,各領域の高血圧専門医に詳細に解説いただく.

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序文

はじめに

現在,先進諸国をはじめ世界各国で進行しつつある少子高齢化への対応が広く求められており,日本でも人生100年時代を見据えた経済・社会システムを実現するための政策のグランドデザインに係る検討が開始されるなど,今後は国全体での政策的な対応も含めた包括的な対応が重要である.このように社会が求める健康寿命の延伸にとっての緊縛の課題は,高血圧,腎臓病と,それらの病態連関機序により引き起こされる認知症や脳心血管病の克服である.とくに,高血圧,脳心血管病,腎臓病の3つの病態は,それぞれが独立して存在しているわけではけっしてなく,互いに密接に連関し共通の病態基盤を有し,また同一の患者に併存する場合も多いことが特徴である.したがって,これら3つの病態は一体的に“心血管腎臓病(病態連関病)”として捉えるべきであり,各病態に対する個別的対応とともに包括的対応による“心血管腎臓病(病態連関病)”と,その起点としての高血圧の克服がきわめて重要である1,2)

高血圧に関しては,血圧水準と脳心血管病リスクの間には段階的・連続的な正の関連があり,国内主要10コホートのメタアナリシス(EPOCH JAPAN,計約7万人)では,血圧水準と心血管病死亡リスクとの関連は,40~64歳の中年者,65~74歳の前期高齢者においてほぼ対数直線的であり,傾きは年齢が若いほど強く認められている3).また,診察室血圧120/80mmHgを超えて血圧が高くなるほど,脳心血管病・腎臓病などの罹患リスクと死亡リスクが高くなることも明らかにされている3).さらに,国内13コホートのメタアナリシス(EPOCH JAPAN,計18万人)では,男女とも40~80歳代のどの年齢階級でも,血圧レベル上昇とともに総死亡リスクの上昇が認められ,全死亡者のうちの約20%が,最も低リスクの至適血圧を超える血圧によって発生するとされている4)

一方,過去の疫学研究結果をもとにした試算では,高血圧は喫煙に次いで2番目に重要なわが国の死亡原因であり,年間約10万人が高血圧により死亡しているとされる5).また,多くの疫学研究が示すように,血圧高値による脳心血管病過剰死亡・罹患の半数以上はⅠ度高血圧以下の比較的軽度の血圧高値の範囲から発生すると報告されている6).アメリカにおいて国立衛生研究所(NIH)主導のもと,高リスク高血圧患者を対象として施行され,2017年秋に発表された大規模臨床介入研究のSPRINT試験の結果では,目標収縮期血圧<120mmHgの厳格降圧治療群では,目標収縮期血圧<140mmHgの標準降圧治療群と比較して心不全発症と心血管死亡,さらに全死亡の発生率の有意な減少が認められた7)

今後,高齢心不全患者が大幅に増加する“心不全パンデミック”も懸念されているなか,NIH主導で行われたSPRINT試験の結果が重視され,アメリカでの改訂された高血圧ガイドライン(ACC/AHA Guideline 2017)では,高血圧の定義のための基準値をこれまでの診察室血圧140/90mmHg(収縮期血圧140mmHg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上)から130/80mmHg(収縮期血圧130mmHg以上かつ/または拡張期血圧80mmHg以上)へと厳格化することとなった8).このように,高齢化の進行による“心血管腎臓病(病態連関病)”の抑制のための課題や欧米の取り組みに鑑みると,高血圧に至らなくとも正常血圧を超えている“高血圧前期”からの高血圧性疾患の重症化抑制策の構築は正しく喫緊の最重要課題であり,関連学会と連携してこれに取り組むべきであると考えられる.

以上のような状況下において,日本高血圧学会により2019年4月に改訂された最新の高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)では,血圧値分類の名称も改訂されており,たとえばこれまでの至適血圧(診察室血圧での収縮期血圧120mmHg未満かつ拡張期血圧80mmHg未満)は“正常血圧”とされるように変更されるなど,わが国の高血圧対策は非常に重要な局面であると考えられる9)

本特集では,世界的に厳格降圧が推奨されている状況下において,日本の「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」では何が重視され,どのように推奨される血圧管理のあり方が改訂されたのかについて,各領域の高血圧専門医に詳細に解説いただいた.


企画:田村功一(横浜市立大学医学部循環器・腎臓・高血圧内科学,同医学研究科病態制御内科学,同附属病院副病院長,同腎臓・高血圧内科)


文献

1)Poulter NR et al. Hypertension. Lancet, 386:801-12, 2015.

2)田村功一.血圧2018;25:462-5.

3)Fujiyoshi A et al. Hypertens Res 2012;35:947-53.

4)Murakami Y et al. Hypertension 2008;51:1483-91.

5)Ikeda N et al. Lancet 2011;378:1094-105.

6)Arima H et al. J Hypertens 2009;27:2437-43.

7)SPRINT Research Group et al. N Engl J Med 2015;373:2103-16.

8)Whelton PK et al. J Am Coll Cardiol 2018;71:e127-248.

9)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン2019 作成委員会編.高血圧治療ガイドライン2019.ライフサイエンス出版;2019,p.12,304.

目次

特集 新しい高血圧ガイドライン(2017-2019)日米欧の比較

日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)の概要──JSH2014からの変更点を中心に 平和伸仁・梅村敏

高血圧の疫学,血圧測定と臨床評価 浅山敬

高血圧の管理と治療――生活習慣の修正,降圧薬治療 石光俊彦・横山翔平

脳血管障害・心疾患を合併する高血圧 甲斐久史

腎疾患を合併する高血圧の管理 柏原直樹

ほかの疾患を合併する高血圧(糖尿病・メタボリックシンドローム・脂質異常症・高尿酸血症)――JSH2019における糖尿病など代謝疾患の管理 斎藤重幸

高齢者高血圧と認知症 鷹見洋一・樂木宏実

MR拮抗薬および新規降圧薬への期待 工藤正孝

新規・高血圧デバイス治療への期待──腎デナベーションの最新成績と臨床への展望 苅尾七臣

高血圧治療におけるSGLT2阻害薬の意義 加藤徹・野出孝一

高血圧診療のこれからと日本高血圧学会みらい医療計画 伊藤裕・宮下和季

TOPICS

【腎臓内科学】

巣状分節性糸球体硬化症に関わる遺伝子異常 佐藤芳憲・塚口裕康 

【消化器内科学】

家族性地中海熱遺伝子関連腸炎 仲瀬裕志 

【呼吸器内科学】

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病態における好塩基球の役割 柴田翔・烏山一 

連載

【医学・医療におけるシミュレータの進歩と普及】

26.高機能患者シミュレータHPSとSimMan3G 大友康裕 

【健康寿命延伸に寄与する体力医学】

14.高血圧治療における運動療法の有効性と実臨床への展開 廣岡良隆 

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書籍情報

  • ISBN:9784006027004
  • ページ数:70頁
  • 書籍発行日:2019年7月
  • 電子版発売日:2022年10月7日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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