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- 医学のあゆみ271巻12・13号 肺高血圧症診療最前線─これからの肺高血圧症診療に向けて
商品情報
内容
企画:瀧原圭子(大阪大学キャンパスライフ健康支援センター)
・かつて肺高血圧症(pulmonary hyperten-sion:PH)は原因不明で予後不良の難治性疾患であったが,この20年間で診断および治療法は劇的に進化している.
・当初,家族性PH症例から原因遺伝子が解明されたが,遺伝子異常だけでなくPHの病因はきわめて多彩であるとともに複雑でもあり,その発症には “multiple-hits”が関与していることが知られている.
・本特集を通じて,PH病態の理解や治療法の画期的な進歩につながる研究が,近年超速の進歩を遂げていることを感じ取っていただくとともに,PHの臨床および基礎研究の魅力を知っていただきたい.
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序文
はじめに
かつて肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)は原因不明で予後不良の難治性疾患であったが,この20年間で診断および治療法は劇的に進化している.当初,家族性PH症例から原因遺伝子が解明されたが,遺伝子異常だけでなくPHの病因はきわめて多彩であるとともに複雑でもあり,その発症には“multiple-hits”が関与していることが知られている.
2018年にニースで開催された第6回世界肺高血圧シンポジウム(WSPH)でのコンセンサスが,現在の診断と治療の中心になっている.これまでと同様に,主病態の存在部位により第1群~第5群に分類され,さらに各群は病因により詳細に分類されている.しかし,第5群にはいまだ発症機序が不明なPHが含まれており,今後のシンポジウムにおいてこれらの分類・診断基準が変わる可能性は十分にある.2005年以降,PH病態に関与する3系統に関わる治療薬がわが国で使用されるようになっているが,肺血管リモデリングに直接に関与する新規治療薬はいまだ得られていない.これらの3系統の薬剤ではまだまだ完治は困難であり,PHの病態解明につながる基礎研究がさらに推進されることが期待されている.
本特集では,これからのPH診療・研究を支える次世代の先生方に執筆をお願いしており,このなかから2023年開催予定の第7回WSPHにおいていくばくかの提言ができることを期待している.本特集を通じて,PH病態の理解や治療法の画期的な進歩につながる研究が,近年超速の進歩を遂げていることを感じ取っていただくとともに,PHの臨床および基礎研究の魅力を知っていただきたい.
最後に,この特集を企画するにあたりご多忙中にもかかわらずご協力いただいた執筆者の先生方と本誌編集部に心から感謝申し上げたい.
瀧原 圭子
大阪大学キャンパスライフ健康支援センター
目次
特集:肺高血圧症診療最前線-これからの肺高血圧症診療に向けて
肺動脈性肺高血圧症の発症原因――遺伝子関連から最近の知見まで……平出貴裕・片岡雅晴
肺高血圧症の病態制御から治療へ――炎症性サイトカインに焦点を当てて……中岡良和
肺高血圧症モデル動物からわかったこと──病理病態からみた肺高血圧症……阿部弘太郎
第6回国際肺高血圧シンポジウムでアップデートされた薬物・毒物誘発性肺動脈性肺高血圧症……大郷剛
第2群肺高血圧症の病態を理解する……木岡秀隆
III群肺高血圧症の病態と今後の展望……坂尾誠一郎
Japan PH Registry(JAPHR)からわかったこと……田村雄一
慢性血栓塞栓性肺高血圧症の治療最前線……内藤貴教・他
TOPICS
【生化学・分子生物学】
蛋白質N-ミリストイル化が関与する多彩な生命現象と疾患……内海俊彦
【細菌学・ウイルス学】
マクロファージで誘導される新規HIV-1感染抑制因子ApoE……有海康雄
【癌・腫瘍学】
腫瘍局所マクロファージの抗原提示能誘発による免疫療法抵抗性腫瘍の克服……村岡大輔・珠玖洋
連載
【地域医療の将来展望】
12.地域連携の諸展開……小谷和彦
【診療ガイドラインの作成方法と活用方法】
7.システマティックレビュー(SR)――SRの基本的なステップとメタアナリシス,さらに最新の情報……森實敏夫・佐々木祥
フォーラム
【医療社会学の冒険】
20.人工呼吸器という家電……美馬達哉
【対話―ダイアローグのはじめかた】
4.オープンダイアローグと未来語りのダイアローグ……孫大輔
【病院建築への誘い――医療者と病院建築のかかわりを考える】
特別編――病院という建物の管理を考える……亀谷佳保里
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書籍情報
- ISBN:9784006027112
- ページ数:70頁
- 書籍発行日:2019年12月
- 電子版発売日:2022年5月11日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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