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- 医学のあゆみ277巻13号 自律神経と免疫―ここまでわかった神経-免疫相互作用のメカニズム
商品情報
内容
・“病は気から”ということわざにも示されるように,神経系と免疫系がなんらかの形で影響を及ぼし合っていることが古くから経験的に知られていた.
・神経-免疫相互作用のメカニズムが分子レベルで解明されるようになったのは,今世紀に入ってからのことである.今日に至るまで自律神経系と免疫系の相互作用のメカニズムに関する知見が蓄積されてきた.
・本特集が,自律神経系と免疫系の機能連関についての最新の知見を読者の先生方と共有する機会を提供し,わが国における研究者コミュニティーの裾野を広げる一助となれば幸いである.
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序文
はじめに
Introduction
鈴木一博
Kazuhiro SUZUKI
大阪大学免疫学フロンティア研究センター免疫応答動態学研究室,同微生物病研究所免疫応答動態分野
神経系と免疫系は,内的・外的環境の変化を感知し,それに適応するための応答を惹起することによって,生体の恒常性維持を担う2大生体システムである.“病は気から”ということわざにも示されるように,神経系と免疫系がなんらかの形で影響を及ぼし合っていることが古くから経験的に知られていた.文献上でも,前世紀の初頭から免疫機能が神経系に制御されていること,逆に免疫系が神経機能に影響を及ぼしていることが報告されてきた.しかし,神経系と免疫系の相互作用についての研究は長らく現象の記述に終始しており,そのメカニズムについては手付かずのままであった.
神経-免疫相互作用のメカニズムが分子レベルで解明されるようになったのは,今世紀に入ってからのことである.そのパイオニアであるKevin Tracey 博士らは,いまだに議論の余地はあるものの,副交感神経から放出されるアセチルコリンがマクロファージに発現するアセチルコリン受容体を介して炎症性サイトカインの産生を抑制することによって,炎症反応を鎮静化することを見出した1).
Tracey博士らの発見以来,今日に至るまで自律神経系と免疫系の相互作用のメカニズムに関する知見が蓄積されてきた.わが国においても,今回ご寄稿いただいた先生方の研究を中心として,重要な発見が相次いでなされている.しかし,現時点においてわが国で神経-免疫相互作用に関して実績のある研究者は数が限られており,このままでは急速に発展を遂げるこの研究領域において,わが国が世界の後塵を拝することになりかねない.本特集が,自律神経系と免疫系の機能連関についての最新の知見を読者の先生方と共有する機会を提供し,わが国における研究者コミュニティーの裾野を広げる一助となれば幸いである.
文献
1)Wang et al. Nature 2003;421(6921):384-8.
目次
特集 自律神経と免疫─ ここまでわかった神経-免疫相互作用のメカニズム
はじめに/鈴木一博
ゲートウェイ反射による組織特異的な炎症の制御/村上 薫・他
交感神経による免疫細胞動態の制御/中井晶子
自律神経による自然リンパ球の制御/森山彩野
中枢神経障害による免疫系の変容/上野将紀
心臓恒常性と心疾患における自律神経─ 免疫連携/真鍋一郎
腸-肝臓-脳相関による炎症制御/寺谷俊昭
連載
この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症11 旋毛虫症(食歴を尋ねよう)/鈴木広道
いま知っておきたい最新の臨床検査 ─ 身近な疾患を先端技術で診断10 造血器腫瘍の遺伝子検査:臨床的意義と測定原理/西野貴大・松下弘道
TOPICS
血液内科学 炎症性微小環境から迫る骨髄異形成症候群の病態/武藤朋也
アレルギー学 脳内報酬系の活性化はアレルギーを緩和する/中尾篤人
医用工学・医療情報学 医療機関における勤務環境改善・働き方改革とIT/酒井一博
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日本におけるワクチン不信を巡る謎❸ 1950~1980年代の日本における信頼の動き─ ポリオ,百日咳,MMR/アンドリュー ゴードン・マイケル ライシュ
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書籍情報
- ISBN:9784006027713
- ページ数:71頁
- 書籍発行日:2021年6月
- 電子版発売日:2021年6月23日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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