医学のあゆみ280巻1号 小児・AYAがんの最前線

  • ページ数 : 120頁
  • 書籍発行日 : 2022年1月
  • 電子版発売日 : 2021年12月22日
¥2,860(税込)
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商品情報

内容

企画:滝田順子(京都大学大学院医学研究科発達小児科学)
・昨今,小児・AYAがんにおける診断,治療はめざましい変化を遂げている.次世代シーケンサーの台頭により治療標的の同定が急速に進み,小児・AYAがんにおいてもがん遺伝子パネル検査として実装される時代となった.
・近年開発されたCAR-T細胞療法や二重特異性T細胞誘導抗体薬,抗GD2抗体薬などが導入され,再発・難治の急性リンパ性白血病,神経芽腫の治療において革新的な効果を発揮し,治療の選択肢が各段に広がった.
・本特集では,小児・AYAがんを取り巻く医療の最近の展開を踏まえて,基礎的研究,臨床研究および実地診療に携わっていらっしゃる最前線でご活躍の先生方に,最新の成果,現状についてわかりやすくご解説いただく.

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序文

はじめに

小児期からadolescents and young adult=“AYA”世代と称される15~29 歳に発生するがん(小児・AYA がん)は,成人がんと比較するとまれではあるものの,わが国における若年者の主要な死亡原因となっている.とりわけ,遠隔転移を伴うものや再発をきたす小児・AYA がんは,依然としてきわめて予後不良である.また大部分の小児・AYA 世代のがんに対して,現行では高用量の抗がん剤による化学療法,放射線療法,外科的治療を組み合わせた集学的治療が行われているが,たとえ救命しえたとしても治療の影響による成長障害,不妊,二次がんといったQOL(quality of life)を著しく損なう晩期障害が深刻な問題となっている.

一方,昨今の基礎研究と臨床研究の進歩を背景に,小児・AYA がんにおける診断,治療はめざましい変化を遂げている.次世代シーケンサーの台頭により,この数年で治療標的の同定が急速に進み,その成果は小児・AYA がんにおいてもがん遺伝子パネル検査として実地診療に実装される時代となった.治療に関しては,近年開発された遺伝子導入T細胞療法(CAR-T 細胞療法)や二重特異性T 細胞誘導抗体薬,抗GD2 抗体薬などが導入され,再発・難治の急性リンパ性白血病,神経芽腫の治療において革新的な効果を発揮し,治療の選択肢が各段に広がった.このような現状から,小児・AYA がんの診療においては以前にも増して幅広い知識と情報の整理,そして理解が進んだ疾患病態や患者背景を統括する柔軟な思考力が必要となっている.

本特集では,こうした小児・AYA がんを取り巻く医療の最近の展開を踏まえて,基礎的研究,臨床研究および実地診療に携わっていらっしゃる最前線でご活躍の先生方に,最新の成果,現状についてわかりやすくご解説いただいた.本特集が,小児・AYA がんの研究,臨床に関わる先生方はもとより,幅広い領域の先生方にお役立ていただければ幸いである.


滝田順子(京都大学大学院医学研究科発達小児科学)

目次

特集 小児・AYA がんの最前線

はじめに 滝田順子

乳児急性リンパ性白血病に対する治療の現状と展望 宮村能子

難治性急性リンパ性白血病の治療の新展開 後藤裕明

小児T-ALLの分子遺伝学的特徴 磯部清孝

T細胞性急性リンパ性白血病における新規治療の展望─ダサチニブ高感受性T細胞性急性リンパ性白血病の病態解析を通じて 牛腸義宏

AYA・成人B細胞性急性リンパ性白血病の分子基盤の最前線 安田貴彦

AYA 急性リンパ性白血病に対する臨床試験の課題 康 勝好

急性骨髄性白血病における分子基盤の最前線 柴 徳生

小児・AYA 世代急性白血病に対する造血細胞移植の現状と展望 梅田雄嗣

神経芽腫に対する抗GD2抗体免疫療法 原 純一

横紋筋肉腫治療の現状と将来展望─欧州EpSSG臨床研究からみた日本の横紋筋肉腫治療体系 宮地 充

小児肝腫瘍の分子基盤と新規治療法の将来展望 関口昌央・滝田順子

肝芽腫の多施設共同研究─国際共同臨床試験を含めて 菱木知郎

骨肉腫の分子基盤の探求と標的治療の開発 渡邉健太郎

脳腫瘍の分子診断の現状と展望 寺島慶太

造血器腫瘍のパネル検査の課題と展望 村松秀城

小児・AYA がんの遺伝性素因と二次がん 加藤元博

小児・AYA がんに対する陽子線治療 副島俊典・他

小児・AYA がん患者のトータルケアの現状と今後の展望 岩本彰太郎

小児・AYA がんの長期フォローアップ 今井 剛・石田也寸志

小児・AYA がんの妊孕性温存 中村健太郎・鈴木 直

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書籍情報

  • ISBN:9784006028001
  • ページ数:120頁
  • 書籍発行日:2022年1月
  • 電子版発売日:2021年12月22日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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