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- 橈骨遠位端骨折
商品情報
内容
橈骨遠位端骨折に対する種々の治療法をそれぞれの第一人者が紹介、解説した。橈骨遠位端骨折の歴史的趨勢、分類から、治療成績評価法や最新の治療法、リハビリテーションまで、治療者が知りたい情報を網羅した。日常診療で遭遇する橈骨遠位端骨折に対する適切な治療法の選択および実施に必携。整形外科医、外科医のみならず、コメディカルにも役立つ一冊。
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序文
編集にあたって
すべては「斎藤君,カルス骨折について調べてみませんか」から始まった。恩師田島達也先生から,昭和53年5月に盛岡で開催された第51回日本整形外科学会での発表を命じられたときのことである。そのときは,この課題がその後の私の整形外科医としての人生に常に関わり,徐々にその存在感を増して,特別な課題になろうとは夢にも思わなかった。
事実,当時の日本整形外科学会はもちろん,日本手の外科学会での橈骨遠位端骨折関係の演題は年に1題か2題と極端に少なく,学会で発表するような課題とは考えられていなかった。昭和53年10月に東京で開催された第14回国際整形外科学会(SICOT)でのround table discussionで発表した際,橈骨遠位端骨折と真剣に取り組んでいる世界の仲間達がいることを知った。その後の国際学会でFernandez,Saffar,Jupiter,Orbayら橈骨遠位端骨折の診断,治療を飛躍的に発展させた人達との出会いも,私自身のこの骨折に対する取り組み方を変えさせた。大きな発展を遂げた歴史の真っただ中に身を置いて歩んできた44年間に蓄積された貴重な資料が,今回私自身が執筆した章の内容を充実させてくれた。
橈骨遠位端骨折の治療が将来大きな課題となることを察しておられた田島先生の生前にこの本が出版できなかったのは大変残念ではあるが,掌側ロッキングプレートの開発による治療法の発展を見届けたこのタイミングでこの本を出版できる幸運に感謝している。この本の編集にあたって,橈骨遠位端骨折に対する種々の治療法のうち,発展の可能性があり,今後も使い続けられるであろう治療法を選択し,それぞれの第一人者に執筆を依頼した。執筆を快く引き受けてくださった19名の寄稿者に深謝する。一方,編集者2名を加えた総勢21名が執筆した原稿の中の用語やその表記法の統一は大きな問題であった。整形外科学用語集と手の外科学用語集に準拠し,外国語表記はできるだけ避けることを大きな方針とした。これによっていつも問題になるX線パラメータの一つradial inclinationかulnar inclinationかの問題は,用語集の日本語訳「尺側傾斜」に統一することができた。編者の斎藤の骨折型分類のうち「粉砕Colles骨折」「粉砕Smith骨折」の「粉砕」はGartland分類に準じて関節内骨折の意味で用いていたが,骨幹端部の骨皮質や遠位骨片の粉砕と混同されるので,この機会に「関節内Colles骨折」「関節内Smith骨折」に変更した。
将来,この本がもう一人の編集者である森谷浩治氏はもちろん,今回執筆を担当してくださった人達によって改訂され,この領域の仕事に飛び込んでくる次世代の医師達にとってバイブルのような本になってくれれば望外の幸せである。
2010年6月
編者 斎藤英彦
編集にあたって
「橈骨遠位端骨折―進歩と治療法の選択―」をほぼ完成させることができるにあたって何よりも,日夜ご多用な中をご執筆くださり,数度にわたる校正にも快くご協力いただいた先生方に,共同編者の斎藤英彦先生とともに心から御礼を申し上げます。
この度,本書の執筆および編集の仕事に携わる幸に恵まれましたことは,3人の先生との出会いがあったからと考えております。第1は共同編者である聖隷浜松病院顧問の斎藤英彦先生です。斎藤先生からは約10年間,橈骨遠位端骨折全般にわたってご指導いただきました。第2は本書にもご執筆いただいた済生会山形済生病院の清重佳郎先生です。2002年に偶然購入した雑誌内にあった,掌側ロッキングプレートを用いたcondylar stabilizing法についての論文を拝見したときの感激は今でも忘れられません。早々に追試させていただき,自らの治療成績を発表する機会にも幸い恵まれました。そのつど,清重先生は何も理解していない僕にお声をかけて下さいました。清重先生から掌側ロッキングプレートを使用するきっかけをいただかなかったら,これほどまでに橈骨遠位端骨折の治療に携わることはなかったと思います。第3は財団法人新潟手の外科研究所会長の吉津孝衛先生です。2002年7月から掌側ロッキングプレートの使用を開始しましたが,その当初から抜釘をするように助言を賜りました。当時は抜釘することの意味もわからず言われるがままでしたが,抜釘に併せて手関節鏡を用いて三角線維軟骨複合体の状態を確認することを始めました。これをきっかけとして手関節鏡に習熟できたこと,現在まで施行した約200の掌側ロッキングプレート固定症例中に長母指屈筋腱をはじめとした腱損傷例が存在しないことは,吉津先生の助言に従ったおかげと考えております。
現在,橈骨遠位端骨折に対しては画一かつ標準的な治療法を模索していかなければならない状況であることは周知の事実であります。しかし,外科医という個々の人間が,徒手整復や手術といった必ずしも100%の再現性が得られない操作を行わざるを得ないなかで,エビデンスが不十分であっても先達が培ってきた今までの経験や最新の治療法に関する情報は必要不可欠なものと考えます。治療者が知りたい情報を網羅した本書を通じて,橈骨遠位端骨折の歴史的変遷を十分理解するきっかけや,個々の治療法に精通した先生方が綴られた記述を参考として日常診療で遭遇される橈骨遠位端骨折に対し適切な治療法の選択および実施が行えたならば,編者らの喜びはこれに優るものはありません。
2010年6月
編者 森谷浩治
目次
第I章 総論
1.橈骨遠位端骨折治療の歴史的変遷
a 橈骨遠位端骨折が認知されるまで
b 多様な骨折型
c 金属製・木製副子による古典的治療
d RontgenによるX線の発見以降
e Mathijsenによるギプス包帯の発明以降
f 経皮鋼線刺入
g 上肢への創外固定器の導入
h ブームを引き起こしたnon-bridging型創外固定器
i 36年前に日本で開発されたロッキングプレート
j AOグループによる強固な内固定材の開発
k 短命に終わった背側プレート
l fragment specific fixation(骨片特定固定法)
m 関節鏡視下整復術
n 変革をもたらした掌側ロッキングプレート
o さらなる発展への模索
2.橈骨遠位端骨折の疫学
a 発生率
b 受傷背景
c 危険因子
d その他
3.橈骨遠位端部の解剖学的特徴と骨折
a 解剖学的特徴
b X線学的解剖
c 手関節の生体力学
4.橈骨遠位端骨折の画像所見
a 単純X線撮影、CT撮影の指示のポイント
b 単純X線像読影のポイント
c CT撮影の目的と読影のポイント
d MRIの目的とその限界
5.橈骨遠位端骨折の分類
a 文献に基づく冠名骨折の定義
b 古典的な分類法
c 代表的な分類法
d 関節外骨折に有用な分類法
e 関節内骨折に有用な分類法
f 小児の骨折の分類
g 日常診療でどの分類法を用いるべきか
6.合併する軟部組織損傷(TFCC損傷、SL靱帯損傷)の診断
a 橈骨周囲の軟部組織
b TFCC損傷
c 舟状月状骨靱帯損傷
d 月状三角骨靱帯損傷
第II章 治療法
A.治療法の選択
1 生活スタイル・年齢による治療法の選択方針
2 骨折型別の治療法の適応
3 橈骨遠位端開放骨折
4 多発外傷、多発骨折に伴う橈骨遠位端骨折
B.治療原則
C.保存療法
1 保存療法の適応と禁忌
2 保存療法での整復・固定法
3 固定肢位の考え方と実際
4 保存療法の限界
5 小児の橈骨遠位端骨折の治療
6 緊急避難的治療としてのpins & plaster法
D.観血的治療法
1 保存的治療法の延長線上の治療法としての鋼線固定法
2 鏡視下整復固定術
3 創外固定
4 プレート固定
5 髄内釘などの新しい方法(Micronail)
6 高齢者に対する骨セメントによるinstant bone fixation
7 橈骨遠位端骨折に合併する三角線維軟骨複合体損傷および手根骨間靱帯損傷に対する治療
第III章 特殊な骨折型別の治療法
1.Barton・chauffeur合併骨折
2.AO分類C3のような高度粉砕橈骨遠位端骨折治療
第IV章 橈骨遠位端骨折のリハビリテーション
a 必要な情報および評価
b 患部以外の訓練
c 浮腫への対応
d 手関節・前腕の訓練
e 治療成績
第V章 治療中に発生する合併症とその対策
a 皮膚合併症
b 腱合併症
c 神経・血管合併症
第VI章 変形治癒例に対する治療
a 変形治癒に対する治療法の歴史的変遷
b 手術適応
c 手術時期
d 手術方法
第VII章 治療成績評価法
a 医師側からの評価法
b 患者側からの評価
c 医師側からの評価法と患者側からの評価法の相関
d X線評価と機能評価との相関
e 評価時期
f 2010年森谷・斎藤評価法(MS-2010)
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書籍情報
- ISBN:9784307251471
- ページ数:308頁
- 書籍発行日:2010年7月
- 電子版発売日:2023年2月15日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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