地域とつながる 高齢者救急実践ガイド

  • ページ数 : 431頁
  • 書籍発行日 : 2016年12月
  • 電子版発売日 : 2019年4月10日
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

救急の現場で高齢者を診る研修医・若手医師必読!

研修医・若手医師らが救急医療の現場で高齢者の対応をするときに知っておくべき,高齢者によくみられる症状・疾患や診療のポイント,専門医へのコンサルトのタイミング,地域医療との連携,看取りについて,各領域の専門家が基礎知識や診療の実際を示した症例を解説.臨床ですぐに活用できる「高齢者救急」の実践的なガイドブック.

序文

生老病死の「老」と「病」について,山上憶良が万葉集の「世間のとどまり難きを哀しびたる歌」(巻5-804)と「沈痾自哀の文」(巻5-897)で優れた論述を展開しています.憶良は,年を重ねると人は身体の不都合を多く経験すると言います.このうち「致し方なし」と受入れ可能なのが「老」に由来し,受入れがたく不条理極まりない身体の不都合こそが「病」によるものです.そして「病」は,その重さに応じて人生の可能性を制限し,重篤な場合,これまでの予想とは全く違う人生を人に迫ります.若ければ新しい人生のシナリオの選択も可能かもしれません.しかし,「老」に「病」が重なった場合,身体の不都合の相乗的悪化による制限の増大だけでなく,もはや新たな人生を選び取る時間的余裕もありません.74 歳の憶良は「老」と「病」に苦しみ,「死」の影に心が萎えます.すべての可能性が絶たれる「死」の恐ろしさもさることながら,「老」に「病」が重なる耐えがたい不条理を彼は切々とそして身悶えする激しさで訴えます.医学/医療が進歩した現代でも,憶良のこの訴えはその力を失っていません.

さて,21世紀前半のわが国では,少子高齢化を契機に社会・経済の土台が大きく組み変わります.あらゆる制度や体制が,すみやかな変革を迫られており,医療も例外ではありません.むしろ,医療こそがこの変革の先駆けとなるべきかもしれません.このような状況の中で本書は編纂されました.本書は,高齢者の救急診療において各論的対応から総合的なものまで,いかにすれば必要かつ十分な対応が可能か,その理論と実際がまとめられています.これまでに先行する類書はなく,本書は臨床医に重要で必要な情報を提供しうると思います.本書で紹介されるような洗練された救急診療が提供されるとしても,高齢者の救急現場では,1,300 年前に山上憶良が記した「老」に「病」が重なるときにその人が体験する不条理感を忘れてはなりません.この不条理感を解く妙法・妙薬がないとしても,否,ないからこそ,これが重要だと思います.

本書が高齢者の救急診療を担当する臨床医に活用され,その診療の一助となることを祈りつつ,皆さんの手元に本書をお届けします.

2016年10月

行岡哲男

目次

第Ⅰ章 高齢者救急の基礎知識

1.救急医療と高齢者

1)救急医学概論

2)高齢医学概論

3)高齢者医療のこれから--地域包括ケアシステムの重要性

2.高齢者に起こりやすい急性症状,疾患と診断・治療

1)めまい

2)神経所見の診かた

3)不整脈

4)大動脈瘤・解離,肺塞栓症

5)深部静脈血栓症(DVT)

6)貧血

7)腹痛(腸管虚血,腸管穿孔)

8)排尿障害

9)慢性腎臓病

10)皮膚病変

11)重症外傷への挑戦

12)骨折・骨粗鬆症

13)変形性関節症

14)精神科救急─せん妄の診断と治療

15)認知症

16)心肺停止

17)鎮痛薬の使い方

18)高齢者のポリファーマシー

19)高齢者への処方の注意

3.高齢者救急診療のポイント

1) 高齢者救急診療総論─見落としなく元の生活に戻ることを目標としたよりよい高齢者救急対応のために

2)救急初期対応

3)検査のポイント

4.感染制御総論

5.リハビリテーション総論

1)リハビリテーション総論

2)高齢者救急とリハビリテーション

3)評価のしかたとリハビリテーションの実際

6.高齢者医療と地域包括ケア

1) 地域の医療機関・施設との連携と介護者のかかわり

2) 高齢者をとりまく状況と救急医療とのかかわり

3)介護保険・訪問看護のしくみ

7.集中治療の限界

8.End-of-Life Care

1)End-of-Life Care概論

2)高齢者救急とEnd-of-Life Care

9.看取り

1)オプション提示(移植医療に関する情報提供)

2)最期の診察(死亡確認)

3)死後の対応

STEP UP Column 死後の処置とマナー

第Ⅱ章 症例からみる高齢者救急の実際

症例1 てんかん

症例2 失神

症例3 脳血管障害

症例4 心不全

症例5 肺炎,誤嚥性肺炎

症例6 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

症例7 特発性肺線維症(IPF)

症例8 気胸

症例9 尿路感染敗血症

症例10 血流障害

症例11 中毒

症例11 虐待

症例12 神経難病の看取り

症例13 積極的な救命救急診療後の看取り─救急・集中治療における終末期対応から

第Ⅲ章 高齢者救急のこれから


索引

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 10.0 以降

    外部メモリ:26.5MB以上(インストール時:61.6MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:106.0MB以上

  • android icon

    AndroidOS 5.0 以降

    外部メモリ:56.9MB以上(インストール時:121.0MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:227.6MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784525410919
  • ページ数:431頁
  • 書籍発行日:2016年12月
  • 電子版発売日:2019年4月10日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。


※コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcher(iOS/iPhoneOS/AndroidOS)が必要です。


※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。