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胆と膵 2021年10月号(Vol.42 No.10)【特集】 膵と胆道の先天性形成異常 〜発生から臨床まで〜

  • ページ数 : 116頁
  • 書籍発行日 : 2021年10月
  • 電子版発売日 : 2022年6月29日
¥3,300(税込)
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商品情報

内容

特集 膵と胆道の先天性形成異常 〜発生から臨床まで〜
膵臓の発生/膵管癒合不全の発生論/胆道の発生 ほか

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序文

序文:膵と胆道の先天性形成異常の発生学的検討


膵臓と胆道は,複雑な発生経過をとり,種々の先天性の形成異常を生じます。これらの形成異常はある一定の頻度で発生し,臨床的に問題となる疾患を誘発し,それに苦しむ患者も少なくありません。まさに,膵と胆道の先天性形成異常は,膵胆道の炎症や発がんの生体モデルであると言って過言ではありません。合併症に対する治療や予防を推進するには,病態の解明が必須です。しかし,その正常でない発生がどうやって起こるのか解明されていない膵胆道の形成異常が多くあります。

膵臓や胆道の発生過程を見た人は誰もいません。膵臓や胆道の発生に関しては,発生学の成書においてもわずかに述べられているに過ぎず,しかもそれらの多くは1900年代初めのものです。腹側膵など胎生早期に形成される部位の発生に関しては,検索対象となる胎児が限られ,とくに議論の多いところです。形成異常の発生過程を明らかにするには,実際の胎児を検索して異常を証明すればよいのですが,これはまず不可能です。よって,形成異常の発生を調べるには,現在のところ,実際の形成異常の症例を詳細に検討し,胎児期の臓器の形成過程をもとに論理的に推論するしか方法はないと思われます。

膵胆道の先天性形成異常の中で臨床的に問題が多い疾患の一つが先天性胆道拡張症と膵・胆管合流異常です。1969年にBabbittは,胆道拡張症3例の術中造影所見から膵管と胆道系の異常な合流形態に注目し,膵液の胆管内への逆流が胆管拡張の原因とする病因論を発表しました1)。その後膵・胆管合流異常と先天性胆道拡張症の関係が注目されるようになり,ERCPの普及とともに両疾患の認知度と研究は加速化していきました。

ERCPを1969年に開発した大井 至先生が2021年4月21日にご逝去されました。長年にわたり大井先生からいただいた多くの温かいご指導に感謝するとともに,心からご冥福をお祈り申し上げます。大井先生は1970年代から膵・胆管合流異常の研究を始められ,とくにその発生学的検討において大きな功績を残されました。私は,2014年に日本消化器病学会雑誌の「膵・胆管合流異常の最前線」の座談会で司会として,大井先生とご一緒する機会をもちました2)。その際の大井先生のご発言をいくつかご紹介したいと思います。

「1969年に内視鏡的に膵管と胆管を造影する方法を開発し,その3年後に最初に合流異常に気が付いた症例に遭遇しました。先天性総胆管囊腫といわれている疾患だから,何か発生的に問題があるのではないかということで,まだ,Medlineなどという便利なものはありませんでしたので,Index Medicusを何年分か1週間ぐらいかけて1枚ずつめくりました。そうしたらOdgersという解剖学者が,人間の胚では腹側膵が二つできて,それらが癒合する過程で2本の膵管が結合すると書いている論文3)を見つけたのです。そこで,先天性総胆管囊腫の症例を集めて,胆管と膵管の合流形態について1972年7月に日本消化器病学会関東地方会に発表したのです。」

「合流異常は,合流形態の異常というよりも,私は,腹側膵の形成異常があって,それが引き金になってこういう合流形態をとるのではないかと思っています。」

大井先生の膵・胆管合流異常の発生学的私見は,1977年に発刊された「小児外科」に掲載され4),1982年の「胆と膵」に「膵・胆管合流異常の発生学的考察」として詳しく述べられています5)。先生の説は,その後の膵胆道の形成異常の発生学的研究において参考にされました。。

1990年代は,学会や研究会でも膵胆管形成異常の発生学的研究が主題に取り上げられ,侃々諤々の議論は大変興味深く,勉強になりました。しかし,残念ながら最近は発生学的な研究はほとんどみられません。結論はなかなか出ませんが,若い人が先人の教えを引きついで,この分野の研究に取り組んでくれることを望みます。


神澤 輝実
がん・感染症センター都立駒込病院


参考文献

1) Babbitt DP:Congenital choledochal cysts:new etiological concept based on anomalous relationships of the common bile duct and pancreatic bulb. Ann Radiol( Paris) 12:231‒240, 1969.

2) 神澤輝実,大井 至,糸井隆夫,ほか:膵・胆管合流異常の最前線.日消誌111:718‒736,2014.

3) Odgers PNB:Some observations on the development of the ventral pancreas in man. J Anat 65:1‒7, 1930.

4) 大井 至,原 俊明:EPCGからみた膵・胆管合流異常.小児外科9:1121‒1129,1977.

5) 大井 至,大橋正樹:膵・胆管合流異常の発生学的考察.胆と膵3:463‒476,1982.

目次

特集:膵と胆道の先天性形成異常 ~発生から臨床まで~ 企画:神澤 輝実

序文:膵と胆道の先天性形成異常の発生学的検討  神澤 輝実

膵臓の発生  福村 由紀ほか

膵管癒合不全の発生論  神澤 輝実ほか

胆道の発生  中沼 安二

膵・胆管合流異常の発生論  藤井 秀樹ほか

先天性胆道拡張症の発生論  安藤 久實

先天性膵形成不全  桐山 勢生

膵管走行異常  五ノ井 渉

膵管癒合不全  西野 隆義ほか

輪状膵の病態と臨床  三宅 啓ほか

膵囊胞線維症(囊胞性線維症)  成瀬 達ほか

異所性膵の診断  蓑田 洋介ほか

膵動静脈奇形  堂地 大輔ほか

膵・胆管合流異常  高屋敷 吏ほか

先天性胆道拡張症の病態と臨床  金子健一朗ほか

Caroli病と Caroli症候群  加藤 宏之ほか

胆道閉鎖症  大久保龍二ほか

アラジール症候群  今川 和生

肝外胆道走向異常  倉田 昌直ほか

重複胆管  内藤 格ほか

胆囊の先天性異常  岡本 友好

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書籍情報

  • ISBN:9784865174403
  • ページ数:116頁
  • 書籍発行日:2021年10月
  • 電子版発売日:2022年6月29日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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