小児科診療Controversy

  • ページ数 : 468頁
  • 書籍発行日 : 2022年9月
  • 電子版発売日 : 2022年8月26日
¥10,780(税込)
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商品情報

内容

小児科のサブスぺ17分野、それぞれのエキスパートがズバリ疑問にお答えします!

現時点で出ているエビデンス×エキスパートの実践的知見で日々の臨床の「どうしよう?」が「こうしよう!」に変わる! 小児科診療における,ガイドラインだけでは解決できない臨床上の問題や疑問に直面した時にベストな選択をするための1冊.小児科専門医にも,プライマリケアで小児を診る機会のある方にも役立つ1冊.

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序文

小児科診療Controversy発刊にあたって


1990年代に始まったコクランレビューの流れを受けて,エビデンスに基づく医療が世界的に重要視されるようになり,2000年代に入ると様々な疾患に対する診療ガイドラインが続々と刊行されました.小児科領域も例外ではなく,EBM普及推進事業(Minds)のホームページに掲載されている小児関連のガイドラインの数は今や88にものぼります(2022年7月時点).その結果,専門家に頼らずとも,多くの疾患や病態に対して標準的診療が行えるようになりました.

一方で,ガイドラインで取り上げられていない臨床的疑問や課題にも日常診療においてはたびたび直面します.そういった場合,私たちは迷いながらも最善と思える対応をしています.ただ真摯に診療に取り組んでいる臨床医ほどこのような“正解のない対応”をよしとせず,ストレスが溜まります.

本書は「小児科診療において結論の出ていない論争・論点について専門家に解説してもらう」という意図で企画されました.すなわち「ガイドラインの隙間を埋める」をコンセプトに,「ガイドラインには取り上げられていないが臨床の現場で遭遇する疑問」についてエキスパートはどのように対処しているのか,その秘策を伝授してもらうという趣旨で,小児科の様々なサブスペシャルティ領域で議論となっている話題,いわゆるcontroversyについて解説いただきました.

本書で取り上げたcontroversyなテーマは日本小児科学会に属する分科会の評議員や理事にお願いして,分野ごとに5~6個ずつあげてもらいました.同時にそれぞれのテーマにふさわしいエキスパートを執筆者として推薦頂きました.その結果,17の分野から89のホットなcontroversyがリストアップされました.執筆にあたっては各controversyの冒頭に“MyAnswer”として簡単に回答を述べた後,本文を,“Controversyをひも解く”,“Reasons forMy Answer”,“My Proposal”という見出しに分け,限られたエビデンスに加えてエキスパートオピニオンを織りまぜて解説いただきました.さらにスペースの許す限り,“NOTE” による補足や参考文献も列挙していただきました.

本書は各項目とも数ページで完結しています.したがってどこから読んでも,また短時間でも1つのトピックスを読み切れます.読者諸兄が本書を読破して小児科医としての臨床能力を高めて頂ければ,監修者としては望外の喜びです.また学会の主催や企画を担当される立場の先生におかれましては,本書に掲載されたcontroversyがシンポジウムやワークショップのテーマとしても活用できるものと思っております.ぜひ,ご検討ください.

最後になりましたが,各サブスペシャルティ領域の編集作業を快くお引き受けくださった分科会の評議員や理事の先生方,またエビデンスの乏しいテーマについて丁寧かつわかりやすく解説くださった執筆者の先生方にこの場を借りて厚く御礼申し上げます.

“正解のない未解決の課題”に遭遇しながら,日々,子どもたちの診療にあたっている小児科の先生方にとって,エビデンスに基づいた結論が出るまで,本書が診療の一助となることを祈念して上梓のご挨拶の言葉とさせていただきます.


2022年夏

関西医科大学小児科学講座
金子一成

目次

新生児学のControversy

1 臨床症状を呈さない,脳波上発作波を認める新生児発作(electrographic-only seizure)に対しては抗てんかん薬は投与すべきか?

2 早産児の黄疸管理にアンバウンドビリルビン測定は必要か?

3 早産児症候性動脈管開存症の治療薬の選択はどのようにするか?

4 早産児の機械的人工呼吸から離脱後の呼吸補助デバイスは何がよいか?

5 早産児の生後早期の経静脈栄養に脂肪乳剤は必要か?

遺伝学のControversy

6 13トリソミー症候群,18トリソミー症候群をもつ児に対する先天性心疾患や消化管先天異常の外科手術は有用か?

7 一般小児科外来で先天異常症候群を疑う児に,どのように対応すべきか?

8 小児科領域におけるゲノム医療による診断率は40%程度が限界か?

9 成人Down症候群の診療に小児科医の関与は必要か?

10 診断不明の希少疾患に対してどこまで検査すべきか?

小児循環器病学のControversy

11 小児の肺高血圧症: upfront combination therapyは小児IPAHでも最善の治療法か?

12 境界域QT延長: いかに先天性QT延長症候群と健常を判別するか?

13 修正大血管転位症: いつ,どのように外科的介入を勧めるべきか?

14 成人先天性心疾患: 小児期心疾患の成長後はいつ,どのように循環器内科医へ移行するか?

15 川崎病の急性期治療: IVIG不応予測例に対し,シクロスポリンはステロイドより有効性が期待できるか?

小児神経学のControversy

16 神経発達症における遺伝学的検査は必要か?

17 てんかん重積状態・けいれん重積状態の初期治療の薬剤選択はどうするか?

18 経過が良好なてんかん患者の薬物治療の適切な治療期間(いつまで)や終了する際の手順(やめ方)は?

19 小児の重症筋無力症での治療選択は?

20 ペアレント・トレーニングはADHDに有効か?

21 ケトン食療法はてんかんに有効か?

小児呼吸器病学のControversy

22 小児の急性細気管支炎の治療に薬物療法・高濃度食塩水吸入療法は有効か?

23 小児のマイコプラズマ肺炎にステロイド薬を用いるタイミングとは?

24 下気道感染に鎮咳去痰薬は必要か?

25 喉頭軟化症における保存的治療と外科的介入のタイミングとは?

26 小児の嚢胞性線維症はいかに診断すべきか?

27 小児の急性呼吸不全患者の呼吸管理にNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)は有効か?

小児感染症学のControversy

28 小児細菌性腸炎を疑った時に抗菌薬の投与は必要か?

29 小児結核の診断にIGRA(インターフェロン遊離試験)は有用か?

30 乳幼児へのインフルエンザワクチンは必要か? また,必要とすればその回数は?

31 基礎疾患のない13 歳未満の小児の水痘に対してアシクロビル投与は必要か?

32 基礎疾患のない乳児のインフルエンザ患者に抗インフルエンザ薬の投与は必要か?

小児アレルギー学のControversy

33 新生児/乳児への人工栄養は牛乳アレルギーの発症を予防するか?

34 保湿剤の外用はアトピー性皮膚炎および食物アレルギーの発症を予防するか?

35 食物アレルギー児に対して経口免疫療法もしくは栄養食事指導のどちらを行うべきか?

36 アレルギー性鼻炎および気管支喘息へのアレルゲン免疫療法は有効か?

37 ビタミンD投与はアレルギー疾患の発症予防および治療に有効か?

小児リウマチ学のControversy

38 全身型若年性特発性関節炎は,他のサブタイプと異なるのか?

39 全身性エリテマトーデスではグルココルチコイドを中止できるか?

40 若年性皮膚筋炎は年長者あるいは成人になると寛解するのか?

41 小児期Sjögren症候群の腺症状治療にグルココルチコイドや免疫抑制薬は有用か?

42 家族性地中海熱において,Exon 10 領域以外のMEFVバリアントに病的意義はないのか?

小児内分泌学のControversy

43 ビタミンD欠乏症の治療は,活性型ビタミンD薬か天然型ビタミンDか?

44 脳腫瘍治療後の成長障害に成長ホルモン治療を行うか,行うとするといつからか?

45 先天性甲状腺機能低下症の病型診断は行うべきか?

46 男性性腺機能低下症の治療はテストステロンで開始するのがよいのか?

47 小児2 型糖尿病にインスリン療法は適応となるのか?

小児血液悪性腫瘍学のControversy

48 小児がんは遺伝するか?

49 AYA世代急性リンパ性白血病に対して小児型治療をするべきか?

50 乳児神経芽腫の中には無治療経過観察してよい例があるのか?

51 小児グリオーマに対して分子標的治療は有効か?

52 未治療血友病患者に対してバイスペシフィック抗体(エミシズマブ)を使用してよいか?

先天代謝異常学のControversy

53 新生児マススクリーニングの対象疾患は多い方がよいのか?

54 先天性代謝異常症はどの程度治療可能なのか?

55 先天性代謝異常症の診断は困難なのか?

56 先天代謝異常症の診断において遺伝子検査は必須か?

57 ライソゾーム病は欠損している酵素補充療法で根本的な治療が可能なのか?

小児栄養消化器肝臓学のControversy

58 小児の炎症性腸疾患患児にトップダウン治療は必要か?

59 中学生のヘリコバクター・ピロリ感染に対するtest & treatは有効か?

60 乳児に対しての便秘の治療薬は何を使用すべきか?

61 原因不明の反復性膵炎に対する内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)検査は必要か?

62 胆道閉鎖症のスクリーニングに便色カラーカードは有効か?

63 小児胆汁うっ滞性疾患の治療にウルソデオキシコール酸は有効か?

小児腎泌尿器病学のControversy

64 典型的溶血性尿毒症症候群の乳幼児に対する抗菌薬や止痢薬の投与は有用か?

65 小児のIgA腎症に対する扁桃腺摘出術は有効か?

66 Alport症候群の小児に対するアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)は有効か?

67 膀胱尿管逆流の乳幼児に予防的抗菌薬の内服は必要か?

68 小児の夜尿症に対して三環系抗うつ薬の適応はあるか?

小児輸液学のControversy

69 初期急速輸液は生理食塩液がよいのか?

70 維持輸液は等張液がよいのか?

71 低Na血症,高Na血症は急速に補正してはいけないのか?

72 典型的溶血性尿毒症症候群発症早期の積極的な等張液の輸液は有用か?

73 高度の浮腫を呈するネフローゼ症候群にアルブミン投与は必要か?

小児救急医学のControversy

74 クループ症候群の診断にX線撮影はすべきか?

75 腹痛の救急患者に鎮痛薬を使ってよいか?

76 医療従事者による蘇生はABC(気道→呼吸→胸骨圧迫)かCAB(胸骨圧迫→気道→呼吸)か?

77 敗血症性ショックに対する急速輸液には,何をどれくらい使うべきか?

78 胃内のボタン電池は緊急で摘出すべきか?

外来小児科学のControversy

79 ポリエチレングリコールは小児慢性機能性便秘症ガイドラインの中でどう位置付けられるか?

80 乳児の鉄欠乏のスクリーニング検査,鉄剤の予防投与は必要か?

81 乳児のくる病予防にビタミンD投与は有効か?

82 「離乳の開始はお粥から始める」は正しいか?

83 小児科医による1 か月健診は母乳栄養児の割合を増やせるか?

84 子どもの貧困に対して小児科医にできることはあるか?

小児心身医学のControversy

85 新型コロナウイルス感染拡大下で小児の摂食障害のどのタイプが増えたのか?

86 ロックダウン・休校は発達障害児のメンタルヘルスにどのような影響を及ぼしたのか?

87 新型コロナウイルス感染症拡大,そしてアフターコロナの時代に子どもの心身の健康に何が起こる?

88 休校措置・外出自粛下の密室の子ども虐待をどう防ぐのか?

89 緊急事態宣言による休校で不登校児は増えたのか減ったのか?

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書籍情報

  • ISBN:9784498145740
  • ページ数:468頁
  • 書籍発行日:2022年9月
  • 電子版発売日:2022年8月26日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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