造血幹細胞移植後感染症レクチャーノート

  • ページ数 : 266頁
  • 書籍発行日 : 2023年1月
  • 電子版発売日 : 2022年12月28日
¥4,620(税込)
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商品情報

内容

今後の診療に自信がつく,珠玉の23レクチャー!

感染症専門誌『J-IDEO』の人気連載「移植後感染症レクチャーシリーズ」が最新情報を踏まえた大幅加筆を経て遂に書籍化.実際に移植後の患者を診る機会がある医師に向け,レクチャー&ケースで造血幹細胞移植後感染症の知識を解説します.

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序文

現在,日本全国の250を超える施設で造血幹細胞移植(HSCT)が行われ,その件数も右肩上がりに増えています(日本造血・免疫細胞療法学会 2021年度全国調査報告書).このため血液内科医はもちろんのこと,感染症医も何らかの形でHSCTに関与することは少なくないと思います.HSCTにおける医療技術の進歩は早く,治療成績も改善してきており,主に非再発死亡減少が移植後の予後改善に寄与しています.この非再発死亡において移植片対宿主病(GVHD)とともに感染症は大きな割合を占めています.

感染症マネージメントにおいて,新規の抗微生物薬が臨床現場に登場する一方,薬剤耐性病原体などは依然問題となっています.また,HSCT領域において広域抗菌薬の使用が腸内細菌叢を乱し,GVHDによる死亡を増加させる可能性が指摘され,HSCTにおける抗菌薬適正使用の重要性が認識されるようになってきました.また,HSCT領域での呼吸器ウイルス感染症の脅威に関する知見が増えてきていたなかで,2020年以降新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが起きました.これにより,欧米の移植センターなどで冬季に行われていた職員の就業前体調確認や面会の厳格化などが国内の一般の病院でも普及しました.また,マルチプレックスPCR検査が身近になるなかで,以前にも増して呼吸器ウイルス感染症の感染管理の重要性が問われるようになってくるかもしれません.

本書はHSCTに伴う一般的な感染症についての概要を解説しています.2017年3月に創刊されたJ—IDEOという感染症雑誌に2020年11月号まで連載された内容に追記・修正しています.主に感染症医に向けて,HSCTの感染症についての解説を行う目的で作成いたしましたが,実際HSCTを行っている血液内科の先生方にもご参考にしていただける内容を心掛けました.本書でHSCTの感染症すべてを網羅するものではありませんし,情報もどんどん新しくなってゆきます.加えて著者の主観も入っていますので,必要時は文献や成書,薬剤添付文書などを必ずご確認いただけるようお願い申し上げます.日本国内で承認されている内容と異なる記載も含まれている点もご了承ください.

本書が読者の皆様および患者様のお役に立てることがあれば幸いです.

大阪大学の忽那賢志先生よりJ—IDEOへの連載の機会を頂き,がん・感染症センター都立駒込病院の関谷紀貴先生,聖路加国際病院の森 信好先生に章立てから連載の最後まで長期にわたりご相談させていただき,ご指導頂きました.関谷先生・森先生のご協力なしには連載を続けることは不可能でした.また,主に症例に関して国立がん研究センターの造血幹細胞移植科の福田隆浩先生をはじめ金 成元先生,田中 喬先生,藤 重夫先生(現 大阪国際がんセンター),平川経晃先生(現 聖マリアンナ医科大学),久野雅智先生(現 大阪公立大学),稲本賢弘先生,伊藤 歩先生,青木 淳先生,武田 航先生にもご指導・ご協力いただきました.心より感謝申し上げます.また,連載,刊行にご尽力いただきました岩松宏典様,佐渡眞歩様,中畑 謙様をはじめとした中外医学社の方々,私を普段から支えてくださっている家族,同僚にも深謝いたします.


2023年1月

国立がん研究センター東病院感染症科
国立がん研究センター中央病院造血幹細胞移植科
冲中敬二

目次

第1章 同種造血幹細胞移植患者における感染症のオーバービュー

第2章 造血幹細胞移植における感染対策

防護環境

標準予防策・経路別予防策

その他の対策

第3章 造血幹細胞移植における移植前評価―移植前に行うべき感染症関連の準備は?―

ドナーから臓器の提供を受けるということ

ドナーの感染症スクリーニング検査

レシピエントの感染症検査

第4章 造血幹細胞移植における感染症予防対策(1) ―フルオロキノロンの予防投与,本当に必要ですか?―

好中球減少時の予防抗菌薬の効果は?

予防投与と耐性菌の選択との関連性

好中球減少が予測される患者において,一般的に抗菌薬予防投与が推奨される対象は?

実際のところ予防投与はどうなっている?

第5章 造血幹細胞移植における感染症予防対策(2) ―漠然と真菌感染症予防……ではなく,ちゃんと狙うべき対象真菌を念頭に予防戦略を―

抗真菌薬予防

カンジダ

アスペルギルス

第6章 造血幹細胞移植における感染症予防対策(3) ―ヘルペスウイルス科の予防を中心に―

ヘルペスウイルス科

B型肝炎

第7章 造血幹細胞移植における感染症予防対策(4) ―移植後ワクチン接種―

移植後のワクチン:本当に効果があるの?

インフルエンザ

肺炎球菌

水痘・帯状疱疹

麻疹

第8章 発熱性好中球減少症への対応(1) ―発熱性好中球減少症=感染症ではありません.発熱の原因精査を!―

―好中球回復まで本当に抗菌薬はde-escalationできない?―

発熱性好中球減少症(febrile neutropenia, FN)

FNにおいて臓器・微生物を突き詰める理由

カバーすべき細菌を念頭に抗菌薬を選択する

原因不明のFNにおける初期抗菌薬選択の実際

原因不明のFNにおける初期抗菌薬変更,終了の実際

第9章 発熱性好中球減少症への対応(2) ―発熱性好中球減少症時の深在性真菌症の考えかた―

今回の対象患者:原因不明の遷延する発熱+好中球減少

移植症例や急性白血病の寛解導入症例のような好中球減少が長期間続く症例が“遷延するFN”を起こしうる

好中球減少時に侵襲性アスペルギルス症を鑑別にあげるのはどのような患者群か?

ガイドラインで推奨される,遷延するFNに対する抗真菌薬のマネージメント

カンジダ予防のみ→経験的治療もしくは早期治療(pre-emptive/biomarker-driven治療)

アスペルギルス予防あり→臨床経過,身体所見などを参考に1例ごとに方針を検討

第10章 同種移植後の中枢神経障害 ―意識障害が出てきたのですが,感染症でしょうか?―

生着前後の意識障害

感染症

感染症以外の主な鑑別

診断のマネージメント

症例の続き

第11章 同種移植後早期の肺野浸潤影 ―生着前の移植患者の肺に影があります.治療はどうしましょう?―

移植後の肺合併症

症例の続き

第12章 同種移植後晩期の肺野浸潤影 ―移植後しばらく経過した患者の肺に影があります.感染症でしょうか?―

移植後の肺合併症:やはり移植後の時間経過が重要

感染性合併症

非感染性合併症

症例の続き

第13章 同種移植後の下痢

移植後の下痢

症例の経過

第14章 移植後細菌感染症

総論

各論

第15章 移植後真菌感染症(1):酵母様真菌

移植後の深在性真菌症

深在性真菌症の発症時期

カンジダ

その他の酵母様真菌感染症

第16章 移植後真菌感染症(2):糸状菌(アスペルギルス)

疫学

診断

治療

第17章 移植後真菌感染症(3):糸状菌(アスペルギルス以外)

疫学:アスペルギルス以外の糸状菌ではムーコル,フザリウムが多い

ムーコル症

フザリウム感染症

スケドスポリウム感染症

第18章 サイトメガロウイルス感染症

CMV感染症の定義・疫学

CMV感染症による影響

CMV感染症の治療

第19章 HHV-6感染症

HHV-6とは?

HHV-6脳炎

第20章 アデノウイルス感染症

定義

疫学

発症時期,リスク因子

スクリーニング,モニタリング

治療

感染対策

第21章 呼吸器ウイルス感染症

疫学

臨床的特徴,診断

各論

第22章 トキソプラズマ症

疫学

臨床的特徴

診断

予防

治療

第23章 結核

日本は長い間,結核の中蔓延国であったため注意が必要

疫学

結核の臨床的特徴

結核発症のリスク

潜在性結核への対応

治療

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書籍情報

  • ISBN:9784498050501
  • ページ数:266頁
  • 書籍発行日:2023年1月
  • 電子版発売日:2022年12月28日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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