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- 救急外来でコミュニケーションに困ったとき読む本
商品情報
内容
患者の緊急性が非常に高い救急外来では,病棟と異なり経過の見通しが不透明であることが多い.しかも複数の患者に同時並行的に対応しなければならない場面も多い.そのようなマネージメントが難しい救急外来で遭遇する患者やその家族などとのコミュニケーションについて,個人できること,組織として対応することなど,実際の事例とエビデンスを基にわかりやすく解説する救急外来対応マニュアル.
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序文
序
救急外来は喜怒哀楽のあふれるドラマチックな劇場です.肘内障を瞬時に整復され骨折ではなかったと安堵する親御さん,待ち時間が長いと憤る飲酒後の頭部打撲患者,大切な人が急病となり悲嘆に暮れる家族,様々な感情が入り乱れる現場でやりがいを感じる人も多いでしょう.一方で救急外来は不確実性が多くストレスの大きい職場でもあります.夜勤での疲労や重症度の高い疾患,弱者への配慮に加え,様々な医療スタッフとの連携が求められるため「自分の思った通り」診療が進まないことも沢山あります.
医学的に正しいこと,だけでは患者に良い医療は提供できません.入院診療など医療者の裁量が大きい状況と違い,外来診療は診療後に待っている患者の日常生活などの状況を勘案して医療を提供する必要があります.そのため同じ疾患でも行うマネジメントは患者によって異なってくるでしょう.それが単一の答えを求めたがる若手にとっては患者のわがままにつきあわされている,指導医によって言うことが違う,といったストレスにつながる要素になることもあるようです.
そうした意見対立を解決するヒントがコミュニケーションなのですが残念ながらそれを学ぶ機会は限られています.そのため解決の糸口を失い救急外来が辛くやりがいのない現場に映ってしまう残念な状況を見てきました.
そうした問題を解決するヒントを提供したいと本書を企画しました.経験豊富な救急医がそれぞれの経験と既存の研究結果をブレンドしながら救急外来でよくあるコミュニケーションにまつわる問題の解決策を事例形式で回答しています.どの施設でも直面する問題には共通点があるはずなのですが,救急外来での患者や多職種とのコミュニケーションに焦点を当てた企画はこれまでほとんどなく,本書が読者の皆さまの救急外来が患者にとって,働く医療スタッフにとってより良い現場となることを願っています.
最後になりますが,中外医学社の宮崎さんには企画段階から出版に至るまで,大変長い間構成に関する助言を頂いたばかりか粘り強く原稿を推敲頂き感謝してもしきれません.この場を借りて感謝申し上げます.
2023年2月
東京ベイ・浦安市川医療センター 救急集中治療科 舩越 拓
目次
救急医療とコミュニケーション
救急医療にコミュニケーションが必要な理由? 〈舩越 拓〉
なぜうまくいかないのか
コミュニケーション技術を習得しないとどうなるのか
ではどうしたらいいのか
振り返りと質改善
モデルケース
1 診断がつかないのに帰宅させていいの? 〈東 秀律〉
〜救急外来での診断へのこだわり方 〜
#患者対応 #診療
2 症状が完全に消えていないのに帰宅させていいの? 〈内藤啓子〉
〜救急外来から自宅療養につなげる時に 〜
#患者対応 #診療
3 帰宅時の注意をうまく伝える方法と工夫 〈小野寺隆太〉
#患者対応 #診療
4 慢性症状が解決できない 〈山内素直〉
〜困っているのはわかるけど 〜
#患者対応 #診療
5 救急外来における画像検査の落とし穴 〈竹内慎哉〉
〜見落としを防ぐために 〜
#患者対応 #診療
6 診療方針で対立した時 〈内藤啓子〉
〜必要(不必要)な治療や検査を拒否(要求)されたら 〜
#患者対応 #診療
7 診療方針で対立した時 〈内藤啓子〉
〜どうしても入院(帰宅)したいといわれたら 〜
#患者対応 #診療
8 救急外来でのアンガーマネジメント 〈竹内慎哉〉
〜自分が怒りにのまれないようにするために 〜
#感情のコントロール #診療 #ウェルネス
9 救急外来における怒れる患者の対処法 〈白根翔悟〉
〜早く診ろ! といわれたら 〜
#感情のコントロール #患者対応
10 救急外来における怒れる家族の対処法 〈白根翔悟〉
〜なぜ家族が怒るのか 〜
#感情のコントロール #家族対応
Column 「あとで何かあったら責任取れるんですか?」といわれた時,あなたはどうしますか? 〈白根翔悟〉
11 救急外来におけるスタッフの怒りの鎮め方 〈竹原 慧〉
〜シフトを気持ちよく乗り切るために 〜
#感情のコントロール #患者対応 #組織文化 #ウェルネス
12 怒れるコンサルテーション先の対処法 〈東 秀律〉
〜円滑な引き継ぎとコンサルトのために 〜
#感情のコントロール #組織運営
13 LGBTQへの対応 〈舩越 拓〉
〜誰もが快適に受診できるERのために 〜
#組織運営 #診療
14 認知症患者への対応のコツ 〈小林郁絵〉
〜誰もが快適に受診できるERのために 〜
#組織運営 #診療
15 外国人患者への対応のコツ 〈大前奈菜〉
〜誰もが快適に受診できるERのために 〜
#組織運営 #診療
16 配慮の必要な宗教をもった患者対応のコツ 〈大前奈菜〉
〜誰もが快適に受診できるERのために 〜
#組織運営 #診療
17 救急外来での治療の無益性は判断できるのか 〈石上雄一郎〉
〜救急外来における患者中心のケアのために 〜
#終末期 #患者対応
18 救急外来におけるアドバンスケアプラニング 〈石上雄一郎〉
〜救急外来における患者中心のケアのために 〜
#終末期 #患者対応
19 救急外来でどこまでやるか迷った 〈飯尾純一郎〉
〜この状態でやるのがいいことなの? 〜
#終末期 #患者対応
Column Time Limited Trialの概念が認められない施設ではどう考えるか 〈飯尾純一郎〉
20 患者の予後が悪い 〈石上雄一郎〉
〜救命できない時に救急医ができること 〜
#終末期 #患者対応 #診療
21 できることはすべてして欲しい,といわれたら 〈飯尾純一郎〉
#終末期 #患者対応 #診療
22 患者に予期せぬ急変が起きた時家族にどう伝えるか 〈中澤太一〉
〜救急外来における事故開示 〜
#患者対応 #家族対応
23 救急外来における事故開示の姿勢 〈横山和久〉
〜法律的な観点から 〜
#家族対応 #患者対応 #組織文化
24 心肺停止,家族が来ないが看取って良いのか 〈石垣佳織〉
〜slow codeに関するジレンマ 〜
#家族対応 #診療
25 小児のCPA,親への対応は? 〈田中 駿〉
〜小児の看取りは特殊なのか 〜
#家族対応 #診療
26 悲嘆の強い家族への対応は? 〈中澤太一〉
#家族対応
27 経過が悪い患者を担当した医療スタッフのケアをどうするか 〈中澤太一〉
〜グリーフケアが必要なのは家族だけではない 〜
#メディカルスタッフ #ウェルネス
28 誰も教えてくれなかった? 標準的な死亡確認のやり方 〈石垣佳織〉
#家族対応
29 頻回受診者への対応 〈菅谷明彦〉
〜あの人また来てますよ 〜
#患者対応
30 虐待を疑った時のコミュニケーション 〈茂野綾美〉
〜小児編 〜
#患者対応 #家族対応
31 虐待を疑った時のコミュニケーション 〈茂野綾美〉
〜高齢者編 〜
#患者対応 #家族対応
32 施設からの受診をスムーズに進めるためのコツ 〈東 秀律〉
#患者対応 #組織文化 #院外対応
33 患者からのクレームがきた時のコミュニケーション 〈白根翔悟〉
#組織文化 #患者対応
34 苦手な指導医との付き合い方 〈梁 豪晟〉
〜破壊的指導医の対処法 〜
#組織文化 #ウェルネス
35 ホウレンソウ(報告・連絡・相談)をしてくれない研修医への対応 〈井上敦人〉
#組織文化 #ウェルネス
36 救急隊との上手な付き合い方 〈松本大賀〉
〜ヒエラルキーでなく専門家同士の関係を 〜
#組織文化 #院外対応 #ウェルネス
37 救急外来における墜落産対応 〈田中 駿〉
#患者対応 #家族対応 #組織文化
38 臓器提供の意思を確認するか,提案されたらどうすればよい? 〈小野寺隆太〉
〜移植施設ではない場合 〜
#家族対応 #組織文化
39 臓器提供の意思を確認するか,提案されたらどうすればよい? 〈森 浩介〉
〜移植施設の場合 〜
#家族対応 #組織文化
40 暴れる患者,警察はいつ呼ぶ? 〈飯塚祐基〉
〜警察との上手な付き合い方 〜
#組織文化 #院外対応
41 患者や家族が録音録画をしている 〈本間洋輔〉
#患者対応 #家族対応
42 家族が次々と現れて何度も同じ話を…… 〈本間洋輔〉
#家族対応 #組織文化
43 救急外来と訴訟 〈岩田耕生〉
〜気をつけるべき疾患や患者とは 〜
#家族対応
44 救急医が知っておくべき法律 〈岩田耕生〉
〜無駄な心配をしないために 〜
#警察
45 警察が関わっている患者対応の仕方 〈沼田賢治〉
〜留置人診察 〜
#警察 #院外対応
46 警察が関わっている患者対応の仕方 〈沼田賢治〉
〜違法薬物疑い 〜
#警察
47 警察が関わっている患者対応の仕方 〈沼田賢治〉
〜交通事故 〜
#警察
48 良いERの組織文化を醸成するために 〈嘉村洋志 舩越 拓〉
〜平等主義のマインドを育むには 〜
#組織運営
49 忙しい救急勤務を乗り切るコンディション作りのコツ 〈嘉村洋志 舩越 拓〉
#組織運営 #ウェルネス
50 医療職だけでない救急外来のスタッフ 〈瀬田宏哉〉
〜隠れた最前線との連携 〜
#組織運営
51 地域の救急部門となるために 〈瀬田宏哉〉
〜行政や他院との連携 〜
#組織運営 #院外対応
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書籍情報
- ISBN:9784498166486
- ページ数:356頁
- 書籍発行日:2023年3月
- 電子版発売日:2023年3月10日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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