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臨牀消化器内科 2023 Vol.38 No.4 あなたの知らないIBD診療の世界

  • ページ数 : 128頁
  • 書籍発行日 : 2023年3月
  • 電子版発売日 : 2023年3月16日
¥3,300(税込)
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商品情報

内容

特集「あなたの知らないIBD診療の世界」

「あなたの知らないIBD診療の世界」という特集名をつけたけれども,いまだに「だれも知らないIBD診療の世界」というのがあることも各著者の先生方の原稿から読み取ることができた.新規薬剤やモニタリング法の使い分けやUCでの手術のタイミング,CAP維持療法の適切なやり方など,これからも解決していかなければならない問題はたくさんある.

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序文

巻頭言


いまどきの若い先生に,抗TNFα抗体のなかった時代のクローン病診療の話をしても,あまりピンときてもらえません.昔は,消化器内科の病棟には,中心静脈栄養の点滴を引きずりながら長期に入院している若いクローン病患者が1人や2人は必ずいるものでしたが,もはやそのような風景は見られなくなりました.それくらいIBD診療は劇的に変わったということでしょう.しかしながら,以前からある栄養療法に完全に使い道がなくなったわけでもありません.新しい治療薬の知識は,製薬メーカーが宣伝しに来たりしてなんとなく得られるかもしれませんが,IBD診療はそのようなメーカーの戦略薬だけで行うものではありません.メーカーが宣伝に来ないけれど,有用かつ必要な治療法〔ステロイド,血球成分除去療法(CAP),チオプリン製剤,栄養療法など〕の知識は,だれも教えてくれることがないため,新しくIBD診療を始められた若い世代の先生方は,もはやうまく使えなくなっているかもしれません.

そのことを端的に示すのが,本邦のクローン病診療における抗体薬の使用率の異常な高さでしょう.その使用率は70%とも80%ともいわれ,間違いなく世界一高率となっています.これは,日本独自の難病助成制度により高価な抗体薬を比較的安い自己負担で使用できることがおもな理由です.もちろん,抗体薬は非常に有用な薬剤なので必要な患者に使用するのは問題ないのですが,抗体薬を使用しなくても治療できる患者も一定数います.抗体薬も完璧ではないですから,抗体薬を使用しない治療法についての知識も当然知っていなければなりませんが,もはや,それはだれも教えてくれないものとなりつつあります.そのため,抗体薬以外の治療法がわからず,結局抗体薬を使わざるをえない,という悪(?)循環となっています.

一方で,比較的古くからIBD診療に取り組まれている先生方にとっては,新しい治療薬がどんどん開発されて,今度はその知識をupdateするのも大変になってきているのではないかと推察します.小生のように毎日IBDだけを診察していればよい,というような贅沢(?)な診療をしている医師以外の先生方は,もはや「……マブ」「……ニブ」とか言われても何が何だかわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか.新しい薬の知識だけでなく,この世代の先生がよくご存知の古くからある治療法も実は少しずつupdateされてきています.たとえば,ステロイドの副作用対策法は以前よりかなり進歩しましたし,CAP療法は維持治療にも使用可能となりました.チオプリン製剤もNUDT15遺伝子多型検査ができるようになって格段に使いやすくなっています.

つまり,若い世代の先生方は古くからある有効な治療法についての知識をそもそも教わっていない可能性があり,古くからIBDに取り組まれている先生方は最近の治療薬の進歩,古くからある治療法の改良などについての知識が不足している可能性があるのです.そう,いずれの世代の先生方にも「あなたの知らないIBD診療の世界」があるのです.IBD患者がますます増加し,これからも増加する消化器内科診療において,これは由々しき事態だと勝手に考えました.

そこで本号では,若手の医師の方には,古くからある治療法についての知識が過不足なく伝わるように,古くから診療に取り組まれている先生方には,新しい知識がupdateされるように,と考えて特集を組みました.とくに重点をおいたのは,① 古くからあるけれどもIBD診療医がきちんと使えないといけない薬剤についての整理とその最近のupdate,② 最近いろいろ出てくる新しい薬剤の使い方とそれに伴って変化したIBD診療についての知識,③ 最近増えてきた新しい検査法,バイオマーカーの使い方,という3点です.それらについて各領域の専門の先生に執筆を依頼しました.

本特集のそれぞれの章のなかには,「そんなこと知ってるよ」という項目もあれば,「最近はそうなってるのか……」と思われるような項目もあると思います.読者の先生方一人ひとり,すでに知っている項目,あまり知らない項目が異なっていると思います.知っている,と思っていることでも,それに関する項を読んでいただくと,以前とは少し変わったところがあることを発見されるかもしれません.

本号に目を通していただくことで,読者の皆様が自分の知らなかったIBD診療の知識を補完することができ,より幅の広いIBD診療ができるようになることを確信しています.


千葉大学消化器内科
加藤  順

目次

特集:臨牀消化器内科 2023 Vol.38 No.4あなたの知らないIBD診療の世界

巻頭言 /加藤 順(Guest editor)

1.既存治療のupdate

(1)UCに対する5-ASA製剤とステロイドの使い方/髙尾 政輝 他

(2)バイオ製剤を用いない場合のクローン病の治療法―治療前評価の重要性, および栄養療法, ステロイド(ブデソニド含む), チオプリン製剤の活用法/久能 宣昭,平井 郁仁 他

(3)UCにおけるCAP療法の位置づけ/山本 隆行 他

(4)UCにおけるバイオ製剤を回避する方法-サラゾスルファピリジン,局所製剤およびチオプリン製剤の上手な使い方/黒川 憲 他

(5)腸内細菌とIBDのトピックスを探る/筋野 智久

2.新規治療法・検査法

(1)UCにおけるバイオ製剤の選択/佐野 泰樹,長沼 誠 他

(2)UCに対する経口分子標的薬-JAK阻害薬,カロテグラストメチルはUCのどの場面で使うのか?(JAK 3剤の使い分けも含め)/横山 佳浩,仲瀬 裕志

(3)クローン病に対するウステキヌマブ,ベドリズマブの治療効果および薬剤選択/内山 和彦,髙木 智久

(4)IBDに対するバイオマーカーの使い方-血中マーカーと便中マーカー/井口 俊博,平岡佐規子 他

(5)IBD診療における体外式超音波の有用性/畠 二郎

3.合併症と内視鏡・外科的アプローチ

(1)IBD腸管外合併症の診断と治療/松浦 稔

(2)小腸検査法とバルーン拡張術/對田 尚 他

(3)UC関連腫瘍に対する内視鏡的アプローチ/西尾 匡史 他

(4)UCに対する治療薬の進歩と手術の変遷/内野 基

(5)クローン病肛門病変への対処法/葛岡健太郎 他

連載

「胃炎の京都分類」の使い方 第10回 腸上皮化生の診断(組織)/小刀 崇弘 他

大腸ポリープに挑む 第11回 大腸ポリポーシス患者のマネジメント/鈴木 桂悟,千野 晶子

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書籍情報

  • ISBN:9784004003804
  • ページ数:128頁
  • 書籍発行日:2023年3月
  • 電子版発売日:2023年3月16日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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