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- ~所見を「読んで」「考える」~臨床医のための腎病理読解ロジック3 各論編;血液疾患と腎病理
商品情報
内容
腎病理の所見の背後にある病態を詳説し,メカニズムから理解できるようになる大人気シリーズの第3弾.血液疾患に伴う腎病理に焦点を当てた今回は,腎障害の背景となる血液異常にはじまり,多彩な症状をみせるM蛋白血症がそれぞれどのような腎病理像をもたらすか,そしてどのような経過を辿り予後となるのか,豊富な画像と症例を交えて解説.腎病理と血液疾患の懸け橋となり,腎病理を読むのが楽しくなること間違いなしの1冊.
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序文
推薦文
「臨床医のための腎病理読解ロジック」シリーズ待望の第3弾です.「総論編」,「膠原病とリウマチ編」に引き続き,今回「血液疾患編」が発刊されました.本シリーズでは背景にある病態を詳しく解説し,どうしてそのような病理所見になるのかを分かりやすく解き明かしています.読者より「腎病理の苦手意識がなくなった」,「腎病理を読むのが楽しみ」など好評を博しています.著者の上野智敏先生は,初期研修・腎臓内科研修の後,筑波大学の腎病理の第一人者である長田道夫教授のもとで基礎研究を行い,医学博士を取得しました.その後,虎の門病院腎センターの腎臨床医の第一人者である乳原善文部長のもとで,多くの腎病理標本を読みながら臨床経験を積まれました.こうした経歴をもとに,基礎研究者と臨床医の両者の視点よりロジカルに腎病理をとらえて,臨床的な意義もふまえて解説していることが,多くの読者に受け入れられている理由であると思います.
血液疾患に関連する腎病変としては,ALアミロイドーシスや多発骨髄腫によるアミロイド腎や骨髄腫腎が有名ですが,近年,Monoclonal Gammopathy of Renal Significance(MGRS)という概念が提唱され,注目されています.これは形質細胞の腫瘍性増殖により産生されたM蛋白を病因として,腎障害をきたす疾患群です.軽鎖沈着症,重鎖沈着症,Proliferative glomerulonephritis with monoclonal immunoglobulin deposits(PGNMID),クリオグロブリン腎症,イムノタクトイド腎症,Fibrillary腎症などがMGRSに該当します.本書では免疫グロブリンの構造から始まり,なぜM蛋白によりこのような多彩な腎病変が生じるのかを,最新の知見に基づいて,病態学的なアプローチと形態学的アプローチの両面から解説しています.また本書の特筆すべき点として,病理写真とともに多くのイラスト,図表が使われており,視覚的に大変理解しやすいことも上げられます.本書を通じて,血液疾患による腎病変を知るだけでなく,腎病理学の楽しさや面白さを味わってください.
2023年4月
群馬大学大学院医学系研究科 腎臓・リウマチ内科学教授
廣村桂樹
監修のことば
このたび,上野智敏博士より「臨床医のための腎病理読解ロジック3 血液疾患編」についての監修の依頼がきたので原稿を眺めてみた.提示された病理写真の多くは小生が当院で30有余年に経験してきた懐かしい写真であった.その評価をめぐっては当院の腎センターのメンバーと病理医で月一回開催されている腎生検カンファレンスで議論した上でまずは学会に報告して内容が正しいかどうか問うことにした.時には学会の重鎮にこっぴどく解釈の変更を指摘されることも度々あり,内容の解釈について客観性を得るには学会はありがたいものだと皆で実感したものであった.その後英語論文として投稿し,海外の専門家の意見を聴きいれて英文誌にも掲載していただくという姿勢をも貫いた.そして一例一例のたかが数枚の病理写真で示される内容の解釈をめぐっては症例の受け持ち医のみならず多くの関係者の目が通ってきていたのである.そんな足跡を上野博士はストーリーをつけてまとめあげ,腎病理を中心とした一大叙事詩に仕上げた,そんなことを考えました.この内容が虎の門病院腎センターの歴史の紹介の習得に終わらずに,これを踏み台にして読者諸君が新事実を発見をして腎臓病学を科学として発展させる出発点になることを希望したい.
小生の娘が1年前より初期研修医を開始した.そして腎臓内科研修にあたり指導医に基礎知識の習得にはどの入門書がよいかを聞いたところ,臨床医のための腎病理読解ロジック1,2を推薦された.手にとると,腎臓病の内容がスーと頭にはいり研修が楽しくなったとのことであった.
2023年春
虎の門病院腎センターリウマチ膠原病科
日本腎臓学会元理事,日本リウマチ学会評議員指導医
乳原善文
監修のことば
上野智敏先生の腎病理ロジック,シリーズの第3弾が出版されました.
今回は血液疾患の腎病変がテーマとなっています.
私は医師になり30年が経ちますが,監修(実際には一番最初に勉強させて頂いたというのが正直な所ですが)作業の中,かなり学ぶことが多く,昔上司に言われたLife is a learning processという言葉を噛み締めています.
ただ,この歳になると学ぶ物は何でも良いというものでなく,本質かつ実践的なものを効率良く学ぶことが大切でありますが,上野先生の本は正に本質的な知識で構成され,日常臨床にすぐに生かせる学びを提供するもので,“監修”という役目は正に役得だと感じています.
この第3弾も読者の皆様の知的好奇心を満たしたいという期待を裏切らないものとなっていることを保証します.
是非,一読頂き,患者さんの診療に還元して頂ければと思います.
2023年春
聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科教授
柴垣有吾
目次
CHAPTER 1 総 論〜血液疾患と腎合併症〜
腎障害の背景となる血液異常
血液細胞の分化
免疫グロブリンの基本構造
免疫グロブリンの種類と性質
M蛋白血症とは
M蛋白血症と血液内科的治療適応
CRAB criteria
SLiM(Sixty, Light chains, MRI);病態進行リスク因子
形質細胞腫以外の血液疾患における治療適応
意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(Monoclonal gammopathy of undetermined significance:MGUS)とは
MGUSの診断基準
Monoclonal gammopathy of renal significance(MGRS)という概念の登場
MGRSにはどんな腎疾患が含まれるか
MGRSの臨床上の定義
MGRSを2つの視点で整理する
CHAPTER 2 異常軽鎖が関与する腎疾患(1)〜AL Amyloidosisの腎病理〜
AL-アミロイドーシスの腎病理
AL-アミロイドーシスの背景病態
ALアミロイドーシスの腎病理像
光顕,電顕
IF
CHAPTER 3 異常軽鎖が関与する腎疾患(2)〜単クローン性免疫グロブリン沈着症の腎病理〜
単クローン性免疫グロブリン沈着症(monoclonal immunoglobulin deposition disease:MIDD)の分類と背景病態
MIDDの病変形成メカニズム
LCDDの腎病理
光顕
IF
電顕
重鎖沈着症(heavy chain deposition disease:HCDD)のメカニズム
HCDDの予後に関わる因子
MIDDの予後不良因子
異常軽鎖が関与する糸球体疾患;まとめ
CHAPTER 4 異常軽鎖が関与する腎疾患?〜Light chain proximal tubulopathyの腎病理〜
LCPTの背景病態と臨床像
LCPTの背景病態
LCPTの臨床像
LCPTの臓器障害メカニズム
LCPTの尿細管障害メカニズム
LCPTの腎病理
光顕
電顕
LCPTの腎予後
CHAPTER 5 異常免疫グロブリンが形成する腎病変(1)〜PGNMIDの腎病理〜
PGNMIDの腎病理
PGNMIDの疫学と臨床像
PGNMIDのメカニズム
PGNMIDの病理
MPGN型
光顕
IF
電顕
膜性腎病型
光顕
IF
電顕
欧米と日本人におけるPGNMIDの組織像の比較
PGNMIDの予後不良因子
CHAPTER 6 異常免疫グロブリンが形成する腎病変(2)〜クリオグロブリン血症による腎障害の病理〜
クリオグロブリン血症と腎障害の背景病態
クリオグロブリンの成因と臨床的分類
クリオグロブリンの組織障害メカニズム
クリオグロブリン腎症の病理
症例1
光顕
IF
電顕
症例2
光顕
IF
電顕
MGRSにおけるクリオグロブリン腎症の治療と予後
CHAPTER 7 異常免疫グロブリンが関与する腎病変(3)〜イムノタクトイド腎症とFibrillary腎炎の病理〜
イムノタクトイド腎症の背景病態と臨床像
ITG腎症のメカニズム
ITGの病理
光顕
IF
電顕
ITGの治療と腎予後
Fibrillary腎炎の病理
Fibrillary腎炎の疫学と臨床像
FGNの病変形成メカニズム
FGNの病理
光顕
IF
電顕
FGNの腎予後
ITGとFGNのまとめ
CHAPTER 8 骨髄腫腎(Cast Nephropathy:CN)の腎病理〜Cast Nephropathyの疫学と病変形成メカニズム〜
Cast nephropathyの病理
光顕
電顕,IF
Cast nephropathyとLPCTの違い
Cast Nephropathyの腎予後
【コラム】SpiculaとSpikeの違いは?
あとがきにかえて
謝辞
虎の門病院から発表された血液疾患+腎病理の論文
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書籍情報
- ISBN:9784498224865
- ページ数:128頁
- 書籍発行日:2023年6月
- 電子版発売日:2023年5月31日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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