女子医大式 腎移植ポケットマニュアル

  • ページ数 : 240頁
  • 書籍発行日 : 2023年6月
  • 電子版発売日 : 2023年6月21日
3,520
(税込)
m3.com 電子書籍ポイント: 64pt ( 2 %)
m3ポイント:1%相当 point-info
今すぐ立ち読み
今すぐ立ち読み

商品情報

内容

腎移植症例国内トップの“女子医大のノウハウ”をまとめた必携書!

●女子医大の腎臓移植は海外からも見学に来るほど自他共に認める有数の移植施設であり,腎移植症例が国内トップである.そのノウハウを1冊にまとめ,術前のレシピエント状態の把握と特に術後の免疫抑制なども含めた管理のノウハウが詰まったポケットマニュアル.
●初めて腎移植を選択する医師やスタッフでも,流れが理解でき,術前・術後管理で困ったときに参照し,対処できるようにし,女子医大でなくても同様な治療を受けることができるように臨床の場で実践的に利用できる.

※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版

序文

序文

東京女子医大は1971年に故太田和夫先生が始められた腎移植第1例以来,昨年でちょうど50年を迎えた.これまでの腎移植の総数は5,000例以上にのぼる.

半世紀の間に移植医療は完全に形を変えてきた.私が医師になった1987年は50%余りだった腎臓の生着率は最新のデータでは98%以上と大幅に改善している.これほどまでに様相を変えた医療は他の領域の医療においても例を見ないであろう.改善の礎となった要因は,(1)免疫抑制薬の開発,(2)免疫の検査機器の開発,そして,(3)ドナー手術の内視鏡手術への変換,などが挙げられる.そして何よりもの貢献は何とか腎不全で困っている患者さんを1例でも救おうと新たな薬剤や技術を駆使しそれを習得してきた先人たちの努力と情熱に他ならない.もちろんその背後には多くの患者さんの犠牲があった.1999年よりこのような技術を得ようと地域医療を担っている多くの若手医師たちが東京女子医大に研鑽に来られ,その医師の総数は200名余りにものぼる.

今回ここに出版させていただいた本マニュアルにはこれまで50年間の東京女子医大の腎移植の臨床ノウハウが1冊に詰まっている.これから移植医療を始められる医師や看護師,薬剤師など医療スタッフ全員の方々を対象に書かせていただいた.腎臓を患われた患者さんが実際に移植を希望して初診でドナーとともにわれわれの外来の扉を叩かれてから無事に手術を終了して社会復帰に戻られるまでの管理を実戦に即し,この1冊を手にしていただければわかるように書いたつもりである.

太田先生が移植を本学で開始された50年前には予想だにしなかった新型コロナウイルス感染症COVID-19が世界中で猛威を振るっている.そしてこれからの地球は日本のみならず世界中どこにおいてもCOVID-19のような恐ろしい感染症との闘いが待ち受けている.移植医療は免疫抑制薬が不可欠であり,感染症とは180度正反対の医療ということができる.臓器移植は手術の成功はさることながら,拒絶反応を起こさないように感染症にも充分に留意して管理していかなければならない.そのような意味で,少しでも本ポケットマニュアルが地域で移植医療を支えておられるスタッフの方々のお役に立てれば幸いと考えている.

最後に,これまで腎臓移植のみならず,心臓移植,肝臓移植,そして膵臓移植などすべての臓器移植に尽力されてきた東京女子医大の移植外科,移植内科の先生方に感謝しながら御礼の言葉とさせていただきたい.


2023年5月

東京女子医科大学
移植管理科
石田英樹

目次

第1章 移植準備

1.移植施設紹介までの流れ(別府寛子)

 腎代替療法についての説明,専門医紹介のタイミング

 血液透析・腹膜透析・腎移植のそれぞれの特徴

 移植施設への紹介

 先行的腎移植(preemptive kidney transplantation:PEKT)

2.レシピエントの術前評価(大木里花子)

 腎移植希望者(レシピエント)適応基準

 移植に向けての流れ

3.移植免疫検査の見方(大木里花子・古澤美由紀)

 免疫学的検査とは

 抗原検査(HLAタイピング)

 抗体検査

 nMFIと各検査法の検出感度

 ケーススタディー

第2章 入院から退院まで

1.レシピエントの入院準備(阪野太郎・石井晃太)

 入院

 移植前管理

 移植前日

2.免疫抑制薬(関戸恵麗)

 カルシニューリン阻害薬(CNI)

 代謝拮抗薬

 mTOR阻害薬

 ステロイド

 バシリキシマブ

 免疫抑制薬3薬導入プロトコル(投与量)

 術前免疫抑制プロトコル(例)

 リツキシマブ

3.脱感作(ABO不適合生体腎移植)(大木里花子)

 ABO不適合移植について

 血清中抗A,B抗体価

 輸血

 成績

4.抗ドナー特異抗体陽性腎移植の脱感作(大木里花子)

 抗ドナー抗体とは

 脱感作療法

 実際の脱感作療法

 移植後免疫抑制薬管理

5.周術期の内科系合併症(別府寛子)

 貧血

 高血圧

 耐糖能異常・糖尿病

 消化管症状(腹痛)

 電解質異常

 神経精神異常

6.手術手技(前之園良一)

 レシピエント:右腸骨窩生体腎移植術

7.周術期の輸液管理(阪野太郎・渡口 誠)

 術後の経過

 周術期の輸液

 周術期の血圧管理

 尿道カテーテル・傍膀胱窩ドレーン管理

 安静度・食事・清潔ケア

 腎機能増悪・尿量低下の鑑別とその対応方法

8.術後の腎機能障害(林 千裕)

 脱水(体液・血圧の不適)

 腎血流不全

 薬剤毒性,内服薬

 急性尿細管壊死

 尿瘻,下部尿路機能障害

9.急性拒絶反応の診断と治療(林 千裕)

 発症時期による分類

 臨床所見

 検査所見

 治療

10.腎移植後二次性TMAとaHUS(別府寛子)

 TMA

 aHUSの本邦での定義

 原因

 実臨床での診断~治療の流れ

11.術後合併症(血腫・リンパ瘻・尿漏)(北島和樹)

 術後血腫

 リンパ瘻・尿漏

12.腎エコーの見方(前之園良一)

 移植腎エコーのポイント

 通常の波形

 拒絶の波形

 エコーのコツ

 見るべきポイント

13.術直後の排尿障害(北島和樹)

14.術後発熱時の対処(永久知佳・石井晃太)

 発熱の鑑別診断

15.退院準備(林 千裕)

 退院許可条件

 チェック項目

 当科におけるサマリーの一例

16.移植後の生活(関戸恵麗・岡部 祥・越田里美)

 食事

 運動

 就労制限

第3章 移植後

1.外来通院(大木里花子・別府寛子・渡口 誠)

 移植後外来

 外来でみるべきポイント

2.腎移植後の内科系合併症(維持期)(別府寛子)

 移植後高血圧(posttransplant hypertension:PTHT)

 移植後糖尿病(posttransplant diabetes mellitus:PTDM)

 移植後脂質代謝異常(posttransplant dyslipidemia)

 移植後貧血(post transplantation anemia:PTA)

 CKD-MBD

3.移植後数ヵ月での腎機能障害(前之園良一)

 移植後3カ月未満

 移植後3~6カ月

4.血尿(阪野太郎・渡口 誠)

 血尿の鑑別診断

 血尿の診断の進め方

 泌尿器科悪性腫瘍・尿路結石症

 尿路感染症

 拒絶反応,再発性腎炎,de novo腎炎

 腎動静脈瘻

5.BKウイルス腎症(阪野太郎・渡口 誠)

 BKウイルス

 疫学

 症状

 診断

 治療

6.結核(前之園良一)

 疫学

 診断

 潜伏感染(LTBI)

 ドナー由来のTB

 移植患者での活動性結核病変に対する治療(Active TB)

7.サイトメガロウイルス感染症(林 千裕)

 はじめに

 CMV感染・CMV感染症の診断

 CMV感染症の治療

 高リスク群における対策

 難治性CMV感染症

8.ニューモシスチス肺炎(PCP)・抗真菌薬(永久知佳・宮坂 嶺)

 はじめに

 予防

 症状

 診断

 治療

 その他の真菌感染症

 抗真菌薬

9.移植腎生検(大木里花子)

 移植腎生検の種類

 概要

 生検準備

10.移植腎病理(北島和樹・大木里花子・山下倫史)

 病理診断の役割

 生検標本の種類

 適切な診断のための標本条件

 病理から考える拒絶の鑑別

 活動性による分類

 Banff score

 Banff分類病変スコア表

 Banff診断カテゴリーとクライテリアグループ

第4章 移植後後期(術後6~12カ月以降)

1.維持期の移植腎機能障害(北島和樹)

2.再発腎炎(別府寛子)

 各疾患の再発率および臨床経過

 所見および検査

 再発リスクと管理

3.悪性腫瘍およびPTLD(永久知佳・宮坂 嶺)

 移植と悪性腫瘍

 移植後スクリーニングと治療

 移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)

4.移植腎機能不全の進行(別府寛子)

 透析導入の準備と判断

 二次移植に向けて

 移植片不耐性症候群(graft intolerance syndrome:GIS)と移植片切除の予防

 移植腎摘出術の適応

5.腎移植後の妊娠・出産(大木里花子)

 はじめに

 妊娠準備

 移植腎への影響

 分娩方法と授乳

第5章 生体腎移植ドナーの流れ

1.ドナーになるための条件(大木里花子)

 倫理的問題

 ドナーの術前評価

2.ドナーに対する術前評価(大木里花子)

 検査の流れ

3.ドナーに対する手術手技(前之園良一・阪野太郎・神澤太一)

 ドナー(生体):後腹膜鏡下ドナー腎採取術

4.退院後のドナーに対する内科的管理(大木里花子)

 ドナーの腎予後

 フォローアップ

第6章 その他

1.献腎移植の流れ(大木里花子・前之園良一)

 JOT(日本臓器移植ネットワーク)における腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準

 献腎移植の流れ

 臓器摘出

 移植~移植後

2.腎移植に関わる医療費(大木里花子)

 レシピエント

 ドナー


索引

便利機能

  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応
便利機能アイコン説明
  • 全文・
    串刺検索
  • 目次・
    索引リンク
  • PCブラウザ閲覧
  • メモ・付箋
  • PubMed
    リンク
  • 動画再生
  • 音声再生
  • 今日の治療薬リンク
  • イヤーノートリンク
  • 南山堂医学
    大辞典
    リンク
  • 対応
  • 一部対応
  • 未対応

対応機種

  • ios icon

    iOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:18.1MB以上(インストール時:191.1MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:72.5MB以上

  • android icon

    AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください

    外部メモリ:18.1MB以上(インストール時:191.1MB以上)

    ダウンロード時に必要なメモリ:72.5MB以上

  • コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
  • コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784263732137
  • ページ数:240頁
  • 書籍発行日:2023年6月
  • 電子版発売日:2023年6月21日
  • 判:B6変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

まだ投稿されていません

特記事項

※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。

※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍が必要です。

※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。