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- CT縦横無尽
商品情報
内容
撮像現場と読影現場のどちらでも役立つ記載をカラー写真とともに満載した,圧倒的なボリュームで贈るCTの新たな手引書。
序文
監修の序
CTは進化し続けている。CTは1972年に英国EMI社のHounsfieldらによって開発され,1975年には日本にも臨床機が導入された。開発当初のCTは頭部CT専用機で2断面が同時に撮影できたが,その撮影に約4分,画像再構成に2時間半ほどかかったということである。その後のCTのハードの進歩は目覚ましく,全身用CT・ヘリカルスキャン・CT透視・マルチスライスCT・デュアルエナジーCT・高精細CTなどが次々と開発され,2022年には光子計測型検出器CTも登場した。画像再構成アルゴリズムは,開発当初は逐次近似画像再構成法が使用されたが,その後,フィルター補正逆投影法・ハイブリッド型逐次近似画像再構成法・モデルベース逐次近似画像再構成法・深層学習応用画像再構成と変遷してきた。これらの進歩により,高い時間分解能で高画質の画像が得られるようになり,最近では,形態診断のみならず心臓等の動きや血流等の解析まで可能となっている。これらの結果,CTは現代医療に欠かすことのできない診断機器となった。一時期,CTは,被ばくがなく多彩なコントラストが得られるMRIにすべて置き換わるのではないかといわれたこともあるが,今のところその気配はまったくなく,CTの臨床的価値は高まる一方である。CTの欠点といえば原理的にX線被ばくが避けられないことだが,近年は低線量化が進み,通常の使用法であればX線被ばくの影響も気にならない程度までとなっている。
医師や診療放射線技師にとって,基本的にX線吸収度のみを表現するCT画像は取り組みやすい画像であったが,CTの検査や診断に必要とされる知識は膨大化しており,これらの全体を把握することが難しくなってきた。本書はCT診療のために理解すべき項目についてその領域のエキスパートが簡潔かつわかりやすく解説したものである。項目は,CTのハードウェアの解説から,疾患各領域の撮影や造影プロトコール・読影法・画像処理法・安全管理まで多岐にわたっており,本書により現代のCT診断について全体像を理解できるであろう。本書は通読してもよいし,疑問点がある場合に該当項目を読むといった辞書的に使い方もできるだろう。
編者の尾田済太郎先生,船間芳憲先生は,いずれも私が熊本大学に在籍したときの研究チームのメンバーである。尾田先生は当時大学院生であったが,抜群の業績により大学院を3年で修了した俊英である。CTに関しては循環器を中心とする臨床から造影剤の安全性・被ばくまで幅広く扱っている。船間先生は医学物理に精通しており,CT画像の物理特性・被ばくなどで多数の研究業績がある。本書の編集にこれほど適任な者は本邦には他にいないだろう。
本書がCTに携わるすべての医師,診療放射線技師に役立つことを祈っている。
2023年8月
粟井和夫
編集の序
「CTの今を知る書籍を作ってみないか」,広島大学大学院放射線診断学の粟井和夫教授からお声がけをいただいたのが2021年末のことだった。その後,メジカルビュー社編集部の苅谷竜太郎氏と打ち合わせをするなかで,書籍タイトル『CT縦横無尽』が早々に決定した。今日の診療におけるCT検査の活躍は多岐にわたっており,まさに「縦横無尽」である。この書籍タイトルは現在のCTのプレゼンスをうまく表現しており,とても気に入っている。2022年4月より『CT縦横無尽』の編集活動が始動することになる。書籍のコンセプトである「CTの今を知る」ことができるよう,現在の診療で活用されている新しい技術を中心に臨床的な視点から構成する方針とした。CTはハード面,ソフト面ともに進歩は著しく,かつ適用される技術的内容も幅広いため,書籍の編集にあたってはCT技術分野で日本をリードする熊本大学大学院医用放射線科学の船間芳憲教授に協力をお願いした。そして,粟井教授には書籍の監修を依頼した。粟井教授は私の大学院時代の恩師であり,臨床放射線診断医として,医学研究者としての礎を築いていただいた。また,船間教授は大学院生時代から現在に至るまで,15年以上にわたって研究の指導およびアドバイスをいただく間柄である。粟井教授,船間教授と共に書籍作りに携われることを大変,光栄に感じている。
本書では各メーカーのフラグシップCT装置やフォトンカウンティングCT,高精細CT,立位CTといったハード面の詳細な解説がなされており,「CT装置の今」を効果的に把握できる。また,各領域におけるスキャンテクニックを臨床診療の第一線で活躍されている放射線診断医,診療放射線技師の皆様に執筆いただいており,「CT撮影の今」を感じ取ることができる。さらに臨床現場で多用されている,アーチファクト低減技術や低管電圧撮影,デュアルエナジーCT技術,画像再構成アルゴリズム,三次元画像処理,ワークステーションについても各メーカーの特性を踏まえて詳細に解説がなされており,「CT技術の今」をつかむことができる。近年は医療安全の重要性も高まっていることから,造影剤安全管理や放射線被ばく管理のアップデートついての項目も加えており,「CT安全管理の今」についての理解も深まるだろう。
新しい装置・技術を活用することで,より低侵襲に正確な情報を効率的に得ることができ,ハイバリューな診療へとつながる。実地診療へ新しい技術を広く浸透させるには,その有用性や実用性についての情報を世の中で広く認知・共有する必要がある。本書が実地診療へ新しいCT技術を届ける一翼を担うことを期待している。
本書はすべての放射線診断医,診療放射線技師,CT技術開発者にとって役に立つ内容であると考える。放射線診断医,診療放射線技師,CT技術開発者が志を共にして,縦横無尽なCTイノベーションを切り開いていく未来を祈念する。
2023年8月
尾田済太郎
目次
I フラグシップCT装置
【キヤノンメディカルシステムズ】
Aquilion ONE / PRISM Edition (中島沙記,ほか)
【フィリップス・ジャパン】
Spectral CT 7500 (草山裕介)
【シーメンスヘルスケア】
Dual Source CT:SOMATOM Force (藤原知子)
【GEヘルスケア・ジャパン】
Revolution Apexシリーズ (松本和也)
【富士フイルムヘルスケア】
SCENARIA View Plus (池田泰隆)
Ⅱ スキャンテクニック
【頭部】
小児頭部CT (宮嵜 治)
頭部CTA (茅野伸吾
脳CTパフュージョン(320列) (大村知己)
脳CTパフュージョン(2管球) (大村知己)
手術支援画像(脳腫瘍,脳動脈瘤) (大村知己)
【胸部】
低線量肺がんCT検診 (福本 航,ほか)
肺動脈CTAおよび下肢静脈CT (坂部大介)
肺CTパフュージョン (小池玄文,ほか)
手術支援画像(肺癌) (渡邊 亮)
【心臓】
冠動脈石灰化スコア (立神史稔)
冠動脈CTA(64列MDCT) (舛田隆則)
冠動脈CTA(320列CT) (坂部大介,ほか)
冠動脈CTA(2管球) (山﨑暁夫)
冠動脈CTA 画像再構成のポイント (尾田済太郎)
冠動脈CTA 標準的造影法 (尾田済太郎)
冠動脈CTA 標準的読影法 (尾田済太郎)
CABG術後CT (坂部大介,ほか)
心房細動に対するカテーテルアブレーション術前CT (木藤雅文)
TAVI術前CT (坂部大介,ほか)
心筋遅延造影,ECV (尾田済太郎)
トリプル・ルールアウトCT (木藤雅文)
心筋CTパフュージョン (永澤直樹)
先天性心疾患CT(小児) (池野裕介,ほか)
先天性心疾患CT(成人) (書上 誠,ほか)
【大動脈・下肢動脈】
大動脈CTA(大動脈瘤) (奥山 舜,ほか)
大動脈CTA(大動脈解離) (松崎雄次,ほか)
Adamkiewicz動脈CT (上山悠太,ほか)
大動脈ステントグラフト術後CT (中嶋啓貴,ほか)
下肢動脈CT (坂部大介)
【腹部】
腹部臓器dynamic CT (中村優子,ほか)
肝脂肪定量 (兵頭朋子)
手術支援画像(肝腫瘍) (田原琢朗)
CT urography (本田有紀子,ほか)
尿路結石のCT (山口 聡)
副腎静脈サンプリング前CT (茅野伸吾,ほか)
CT colonography (林 奈留美,ほか)
CT enterography (林 奈留美,ほか)
【骨・関節】
Gemstone Spectral Imaging(GSI)を用いた痛風評価 (三崎健太)
骨髄画像 (溝尻智大)
腱・靱帯・半月板の3D-CT (西山徳深)
【その他】
外傷パンスキャン (一ノ瀬嘉明)
胎児骨格CT (宮嵜 治)
オートプシー・イメージング(autopsy imaging:Ai) (中戸研吾)
Ⅲ アーチファクト低減技術
【モーションアーチファクト低減】
心臓モーションアーチファクト低減 Adaptive Motion Correction(AMC) (千葉雄高,ほか)
Beat to beat,Precise Cardiac (山口優輝)
高度モーションアーチファクト抑制技術 SanpShot Freeze2.0 (重政理紗)
Cardio StillShot (小原亮太)
【金属アーチファクト低減】
Single Energy Metal Artifact Reduction(SEMAR) (中島沙記,ほか)
Metal Artifact Reduction for Orthopedic Implants(O-MAR) (大谷菜月)
Iterative Metal Artifact Reduction(iMAR) (藤原知子)
Smart Metal Artifact Reduction(Smart MAR) (萩原 明)
HiMAR,HiMAR Plus (寺本冬彦)
Ⅳ 低管電圧撮影
低管電圧撮影の概要 (尾田済太郎)
被ばく線量低減撮影 (尾田済太郎)
造影剤減量撮影 (尾田済太郎)
Ⅴ 高精細CT
ハードウェア概要 (津島 総)
高精細CTの特徴 (津島 総)
スキャンテクニック (白坂 崇,ほか)
Ⅵ デュアルエナジーCT(DECT)
ハードウェア概要と特徴 キヤノン (千葉雄高,ほか)
ハードウェア概要と特徴 フィリップス (草山裕介)
ハードウェア概要と特徴 シーメンスヘルスケア (藤原知子)
ハードウェア概要と特徴 GEヘルスケア (緒形研太郎)
ハードウェア概要と特徴 富士フィルムヘルスケア (工藤正寿)
仮想単色X線画像の臨床応用 (片平和博)
物質弁別画像の臨床応用 (片平和博)
実効原子番号の臨床応用 (片平和博)
電子密度画像の臨床応用 (片平和博)
Ⅶ フォトンカウンティングCT(PCD-CT)
PCD-CTとEID-CTとの違い (田口克行)
ハードウェア概要と特徴 シーメンスヘルスケア (藤原知子)
PCD-CTの特徴と課題 (田口克行)
Ⅷ 立位CT
ハードウェア概要 (山田 稔,ほか)
立位CTの臨床応用 (山田祥岳,ほか)
Ⅸ 画像再構成アルゴリズム
画像再構成アルゴリズムの活用法 造影剤減量撮影 (尾田済太郎)
【逐次近似画像再構成】
Adaptive Iterative Dose Reduction 3D(AIDR 3D),Forward projected model-based Iterative Reconstruction SoluTion(FIRST) (伊藤雄也,ほか)
iDose4,IMR (菅原 崇)
Sinogram Affirmed Iterative Reconstruction(SAFIRE),Advanced Modeled Iterative Reconstruction(ADMIRE) (藤原知子)
Adaptive Statistical iterative Reconstruction(ASiR), ASiR-V (貫井正健)
Intelli IP Advanced,Iterative Progressive reconstruction with Visual modeling(IPV) (後藤大雅)
【ディープラーニング再構成】
Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE) (伊藤雄也,ほか)
Precise IQ Engine(PIQE) (伊藤雄也,ほか)
Precise Image (菅原 崇)
Deep Learning Image Reconstruction(DLIR)−TrueFidelity (今井靖浩)
Ⅹ 三次元画像処理
ボリュームデータ (下宮大和)
Multi planner reconstruction(reformation)(MPR):多断面再構成法 (下宮大和)
Curved planner reconstruction(reformation)(CPR):曲面任意断面再構成法 (下宮大和)
Maximum intensity projection(MIP):最大値投影法,slab MIP,minimum intensity projection(MinIP):最小値投影法 (下宮大和)
Ray summation(Ray Sum):総和投影 (下宮大和)
Volume rendering(VR) (下宮大和)
Surface rendering(SR),shaded surface display(SSD):表面表示法 (下宮大和)
Virtual endoscopy(VE):仮想内視鏡像 (下宮大和)
Cinematic rendering:シネマティックレンダリング (下宮大和)
Augmented reality(AR):拡張現実 (下宮大和)
Ⅺ ワークステーション
Vitrea (水嶋一星)
AZE Virtual Place (水嶋一星)
Ziostation REVORAS (下宮大和)
SYNAPSE VINCENTS (板井善則)
IntelliSpace Portal(ISP) (平久保 拓)
画像診断支援システム syngo.via (藤原知子)
Advantage Workstation(AW) (鈴木香織,ほか)
Ⅻ CT安全管理
造影剤安全管理 (尾田済太郎)
放射線被ばく管理 (尾田済太郎)
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書籍情報
- ISBN:9784758321068
- ページ数:552頁
- 書籍発行日:2023年10月
- 電子版発売日:2023年9月15日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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