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- 小児科診療 2023年 Vol.86 No.11【特集】成長曲線を書こう
商品情報
内容
作成は比較的簡単ですが奥行きが深く広い「成長曲線」に慣れ親しみ,疾患の早期発見に役立てていただけば幸いです.
序文
序文
成長曲線を書こう
「小児期」の定義の一つとして,「成長し,発達する時期」とすることに大きな異論をもつ人は少ないでしょう.成長は小児にとって本質的な現象であり,また小児の医療を専門にする小児科医にとってだれもが精通すべきことです.「成長」の本質は,「増加」であり,定量的変化を意味する言葉です.ギリシャ語で「成長学」に対応する「Auxology」の接頭語「Auxo」は増加を意味します.成長の評価は「増加」という定量的な変化を評価することであり,その最も大切な道具として利用されるのが「成長曲線」です.
一方,ある一時期の身長や体重を測定し,それを平均値や標準偏差に基づくSDスコアを算出することで評価されるのは「体格」であり,「成長」ではありません.「体格」の評価は,横断的な評価に基づきます.「成長の評価」は連続した横断的評価のつながりであり,時間の積み重ねが必要です.その区別は重要です.
筆者が小児内分泌科医として成長曲線を深く学んだ当時,最も驚いたのは,その「検査」としての有用性と精度の高さです.早期に乳房腫大を発症した女児を診察するうえで,思春期早発症と正常バリアントの区別が必要となります.この場合,たとえ血清中の性ホルモンの基礎値が測定感度以下であっても,成長率の明らかな増加があれば,「疑わしい」,と判断します.また過去に遡って発症時期を推定できることも成長曲線の特徴です.Basedow病や,下垂体の腫瘍性病変に起因する後天性の成長ホルモン分泌不全症ではそれぞれの成長率増加,あるいは低下が始まる時期を確認することで,発症時期をおおむね推定可能です.大切なことは,日常的な成長のデータの蓄積であり,疾患の早期発見につなげることです.成長データは,医療現場のみならず,学校など日常の生活の場で集積,評価されるべきです.成育基本法に基づき,学校健診などで成長曲線の使用が推奨されるようになったことは大変有意義なことです.
成長曲線は作成するのは比較的簡単です.しかし,その奥行きは深く広く,まずは慣れ親しむことが肝要です.今回,成長曲線に親しむことを目的に,「成長曲線を書こう」と題し,様々な角度から成長曲線を捉え,より身近なものとすることを試みました.構成は3 部からなります.まず「成長曲線 改めて考える,い,ろ,は」と題し,その「つくり」「みかた」「しくみ」をそれぞれ解説しました.成長曲線の「見極め」を目指し,さらにその理解で重要な「性徴」と「肥満ややせ」の理解をはかりました.第II章ではより有効な活用を目指しました.それぞれ成長発育の時期や,場での使用の方法についてそれぞれの専門家に執筆いただきました.最後は,成長曲線が診療において不可欠と思われる代表的な疾患の解説を行いました.厳選した疾患は小児主要疾患のごく一部です.ただし,これらの疾患における成長曲線の理解は,自ずと他疾患の成長曲線の理解と活用につながります.
最後に,まずはこの場を借りて,多忙な中,原稿を執筆いただいた先生方に深謝申し上げます.いずれも,国内を代表する先生方であり,質の高い原稿は筆者自身,多くのことを改めて学ぶ機会となりました.本特集が,ベテランの小児科の先生には知識の整理に,これから小児科学を勉強される若手の先生方には成長曲線の面白さを知っていただく機会にと考えています.参考になれば,幸甚です.
鹿島田健一
東京医科歯科大学発生発達病態学分野(小児科)
目次
特集 成長曲線を書こう
序文 /鹿島田健一
Ⅰ.成長曲線 改めて考える,い,ろ,は
成長曲線の“つくり” /伊藤善也
成長の“みかた” /濱田淳平
成長の“しくみ” /鹿島田健一
成長と“性徴” /大戸佑二
身長だけではない,成長曲線からみる“肥満とやせ” /香川礼子
正常と異常な成長の“見極め” /矢ヶ崎英晃
Ⅱ.成長曲線 さまざまな活用を!
新生児の成長をみる /河井昌彦
乳児の成長をみる(乳児健診) /森丘千夏子
幼児の成長をみる(幼児健診) /河野智敬
学童の成長をみる(学校健診) /鈴木美枝子
Ⅲ.成長曲線は すぐれた検査法!
脳腫瘍 /佐藤武志
甲状腺疾患 /山内 建
思春期早発症 /田嶋華子
グルココルチコイド過剰 /糸永知代
消化管疾患 /和田珠希・他
心疾患 /小山裕太郎
心理社会的問題 /菅原大輔
付録 成長評価用チャート(標準身長・体重曲線)
症例報告
腹部CTでの胃前庭部bird beak様所見が診断に有用と考えた
胃短軸捻転の2例 /須藤祐司・他
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書籍情報
- ISBN:9784015108612
- ページ数:130頁
- 書籍発行日:2023年10月
- 電子版発売日:2023年10月20日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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