物理・化学・数理から理解する生命科学

  • ページ数 : 175頁
  • 書籍発行日 : 2024年2月
  • 電子版発売日 : 2024年3月12日
¥3,850(税込)
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商品情報

内容

ユニークな観点から生命の原点を見つめる東大理一必修テキスト
基本トピックを7章にわけ,法則・理論を重視したミニマムな解説と,具体的な問いから構成.厳選された45の問いと生物学的な意義を「少しずつ学ぶ」ことを通して,可能性や広がりに気づく教養としての生命科学

序文

「生物学は面白い」「生命は不思議だ」研究で、教育で日常的に生き物に向き合っている私たちはそう感じる瞬間がたくさんある。一方で「生物学は暗記中心だろう」「生命科学に興味はあるが、どう勉強したらいいのかわからない」という声をあげる学生も多い。私たち教員は、自分たちが感じている生物学、生命科学の面白さをどうにかして伝えたいと、「東京大学生命科学教科書編集委員会」を立ち上げ、さまざまなタイプの教科書を刊行してきた。2006 年に最初の教科書『生命科学』を出版して以来、学生や教員からのフィードバックと生命科学の進展を考慮しながら、異なる学習背景や目的をもつ学生に向けた新たな教科書や数年おきの大幅改訂または後継本として、『理系総合のための生命科学』『文系のための生命科学』『現代生命科学』『演習で学ぶ生命科学』を発行してきた。

本書『物理・化学・数理から理解する生命科学』は、2016 年に発行した『演習で学ぶ生命科学』の後継である。『演習で学ぶ生命科学』は、生物学のハードルを高く感じてしまう、物理・化学・数理を主として勉強してきた学生を念頭においてつくられた。当然ではあるが、生物は物理と化学の法則の下に生命活動を行っている。また、ゲノムや転写産物など大量データの解析は数理科学や情報科学を用いている。こうした例示からも明らかなように、物理・化学・数理の基礎知識は生命科学の理解にも活きる。このことを出発点とし、暗記からではなく、定理や法則から生命科学の理解を目指した、まったく新しい教科書であった。

本書では、教養としての生命科学、教養の生命科学教育を提示する。その観点で手応えのあった、生命現象に関する知識の説明は限定的にして問題を解きながら理解を深めていくスタイルを継承しつつ、理科一類での講義経験をもとに、より理解しやすく、教えやすい構成の7 章立てとした。問題については学習効果の高い45題(19 の例題、17 の演習、9 つの課題)に厳選し、生物学的な意義につながる解説を充実させた。本書で幅広い範囲を少しずつ学ぶことによって、物理・化学選択受験による入学者が生命科学に興味を持ち、「もう少し生物学的なことを深く学んでみたい」と思ってもらえたら嬉しい。

さらに本書は、ダイバーシティとインクルージョンを一層推進していく、という東京大学の基本方針に則り、図表への代替テキスト設定、読み上げ可能なテキストの提供、ユニバーサルカラーに配慮した着色など、アクセシビリティの大幅な向上に取り組んだ。不足の点もあると思われるが、アクセシビリティ対応についても利用者からのフィードバックを受けて改善していきたい。また、本書の取り組みを先例として、アクセシビリティに配慮した専門教科書が増えていくことを期待する。


2024 年早春

編者一同

目次

序章 物理・化学・数理的な生命のみかた

1章 生体分子:細胞をつくりあげる物質群

1.1 細胞を構成する有機化合物

1.2 タンパク質

 タンパク質は複雑な立体構造を形成して機能を発揮する

 例題1-1:タンパク質の分子量と等電点

[Biological Insights] なぜ分子量や等電点に注目するのか

 電気泳動という実験方法

 例題1-2:タンパク質の電気泳動パターンと分子量

1.3 脂質

 例題1-3:生体膜を構成する脂質分子の個数

[Biological Insights] 生体膜とリポソーム

1.4 糖

1.5 核酸

 演習 生体分子が情報を伝達する

 演習1:情報伝達物質と受容体の結合定数

1章 まとめ

 課題 タンパク質の構造表示

 課題1:プリオンの構造をウェブ上で観察する

 立体構造ビューア

[Biological Insights] タンパク質の立体構造の変化と線維化

2章 生命活動の駆動力:代謝と自由エネルギー

2.1 生命活動と自由エネルギー

 例題2-1:ATPの自由エネルギー

[Biological Insights] 生体内におけるATP

 例題2-2:代謝反応の自由エネルギーと平衡定数

[Biological Insights] 解糖系・糖新生・光合成で機能するGAPDH反応

2.2 自由エネルギーの保持物質としてのATPとNAD(P)H

 例題2-3:酸化還元電位

[Biological Insights] 代謝のエネルギー効率は非常によい

2.3 基本的な代謝系

 解糖系

 クエン酸回路

 光合成の炭素固定回路(カルビン-ベンソン回路)

2.4 酵素

 酵素は2種類の特異性をもつ

 酵素反応の特徴

2.5 酵素活性の調節

 アロステリック制御

 リン酸化による酵素活性の調節

 演習 酵素反応のキネティクス

 演習2-1:ミカエリス-メンテンの式の導出と実験データへの適用

[Biological Insights] 地球上で最も多い酵素RubisCO

 演習 代謝系のキネティクス

 演習2-2:一定の基質供給がある酵素反応

2章 まとめ

 課題 酵素反応のシミュレーション

 課題2:一定の基質供給がある酵素反応のシミュレーション

3章 遺伝情報

3.1 情報分子としての核酸

 遺伝情報を担うDNAの特性

3.2 遺伝子

 ゲノムと染色体と遺伝子

 遺伝子型と表現型を区別して考える

3.3 DNAの複製

 複製には鋳型とプライマーが必要である

 複製とポリメラーゼ連鎖反応(PCR)

 例題3-1:複製のしくみ―PCRを例に

[Biological Insights]遺伝子解析に欠かせない実験技術

 複製はきわめて正確

 例題3-2:DNAの情報量と複製のエラー率

[Biological Insights]ゲノム情報は最適化されているか

3.4 RNAへの転写

 セントラルドグマ

DNA上には、転写の始まりと終わりの位置を指定する領域がある

3.5 真核生物のmRNAプロセシング

 スプライシングの意義

3.6 リボソームはタンパク質合成(翻訳)の場

 例題3-3:遺伝子とタンパク質の関係

 演習 細胞分裂の回数

 演習3-1:細胞分裂とテロメア

[Biological Insights]直鎖状DNAか環状DNAか?

 演習 逆転写酵素をつかった検査法

 演習3-2:遺伝子発現量の測定

[Biological Insights]新型コロナウイルスの検出方法(RT-PCR検査)

 演習 ORFと制御にかかわる配列の関係

 演習3-3:塩基配列の情報量

[Biological Insights]遺伝子と発現制御配列の並びは偶然(ランダム)ではない

3章 まとめ

 課題 ゲノム情報の表示

 課題3:遺伝情報データベースの利用

4章 細胞の構造と増殖

4.1 細胞の構造と細胞小器官

 細胞小器官が存在する

 例題4-1:細胞小器官の形態と物理的性質

[Biological Insights]膜系から関連を推定する

 細胞骨格とモータータンパク質

4.2 細胞の分裂と増殖

 細胞分裂の準備には4段階ある

 細胞周期はサイクリンとCDKが制御する

 細胞周期を進めてよいかのチェックポイント機構がある

 細胞増殖は個体群成長などにもつながる概念である

 例題4-2:細胞の増殖と競合

[Biological Insights]培養細胞集団の増殖におけるふるまい

4.3 細胞内小胞輸送

 演習 空間・時間・エネルギーの階層性

 演習4-1:生命の階層性

[Biological Insights]さまざまな階層、スケールを超えて共通する法則がある

 演習 細胞内の反応と試験管内の反応は異なる

 演習4-2:細胞内の混み合い

[Biological Insights]水溶液中とは異なる反応がみられる

 演習 細胞内における生体分子の拡散と輸送

 演習4-3:細胞内における生体分子の拡散と輸送

[Biological Insights]さまざまな伝達速度を使い分けている

4章 まとめ

 課題 細胞内反応のモデル化

 課題4:細胞周期のシミュレーション

 考え方:細胞内反応を微分方程式で表す

5章 システムとしての生命の特性

5.1 生命のシステムにおけるネットワーク

5.2 遺伝子発現制御が形作るネットワークの基本形

 例題5-1:転写の自己制御

 例題5-2:2遺伝子の相互制御

[Biological Insights]バクテリオファージの溶原サイクルと溶菌サイクル

[Biological Insights]合成生物学

5.3 代謝制御とホメオスタシス

 考え方:ネットワークモチーフ

 例題5-3:転写ネットワークのモチーフ

 演習 転写ネットワークとフィードバック回路

 演習5-1 正と負のフィードバック回路

 演習 分解を考慮した転写制御

 演習5-2:転写制御のモデル

[Biological Insights]生体分子の分解

 演習 分解を考慮した転写のフィードバック制御

 演習5-3:転写のフィードバック制御

[Biological Insights]大腸菌は40個の自己制御の転写ネットワークをもつ

 連続的な濃度効果を記述するためのヒル関数

5章 まとめ

 課題 応答が早まる制御回路

 課題5:インコヒーレントフィードフォワード回路による制御

6章 生命のダイナミクスとパターン形成

6.1 正のフィードバック回路を含むシステム

 例題6-1:相互促進と相互抑制がつくる定常状態

 考え方:アイソクライン分析

 例題6-2:正のフィードバック回路のアイソクライン分析

[Biological Insights]隣接細胞間で相互抑制がみられるとどうなるか

6.2 要素の空間内移動を伴うシステム

6.3 反応拡散系

[Biological Insights]体表模様

6.4 高次の形態パターンの形成

[Biological Insights]モルフォゲンによる形態形成

 演習 相互抑制の正のフォードバック回路例

 演習6-1:Notch-Delta系による側方抑制

[Biological Insights]Notch-Delta系による側方抑制

 演習 細胞における反応拡散系

 演習6-2:2細胞のチューリングモデル

 演習 初期発生におけるパターニング

 演習6-3:胚のパターン形成

[Biological Insights]ショウジョウバエの体節形成原理

 演習 植物ホルモンと発生・成長の調節

 演習6-4:オーキシンの極性輸送と形態形成

[Biological Insights]葉や花の位置はどう決まるか

6章 まとめ

 課題 ダイナミクスをシミュレーションする

 課題6:チューリングパターン形成のシミュレーション

7章 マクロスケールのダイナミクス

7.1 生物間相互作用と生物群集

 個体群の成長

 ロトカ・ボルテラの競争系

 例題7-1:競争関係の結末

[Biological Insights]共存できる条件

 ロトカ・ボルテラの捕食系

 現実的な捕食系

7.2 進化と系統

 自然選択と適応進化

 例題7-2:最適成長スケジュール

[Biological Insights]最適成長スケジュールの進化

 発展:事前知識なしでの最適解探索

 自然選択によらない進化:遺伝的浮動

 例題7-3:ハーディ・ワインベルグ則の導出

[Biological Insights]お酒に弱い体質が証明する血縁関係

 分子進化の中立説

 分子系統樹

 演習 変異の固定・消失

 演習7:遺伝的浮動のシミュレーション

7章 まとめ

 課題 数理モデルや最適化計算と生物学のさまざまな接点

 課題7-1:海洋で見られるバイオマスの逆転

 課題7-2:ポントリャーギンの最大化原理や動的計画法について調べてみよう

 課題7-3:配列アラインメントと系統樹の作成

[Biological Insights]さまざまな系統樹作成法

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書籍情報

  • ISBN:9784758121712
  • ページ数:175頁
  • 書籍発行日:2024年2月
  • 電子版発売日:2024年3月12日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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