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いつもの服薬指導が劇的に変わる!添付文書の本当の読み方 統計学×臨床論文でここまでわかる

  • ページ数 : 303頁
  • 書籍発行日 : 2024年4月
  • 電子版発売日 : 2024年5月17日
4,180
(税込)
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商品情報

内容

統計学と臨床論文で,服薬指導がここまで変わる!
「どのくらいで効き始めるの?」「副作用の強さは?」と聞かれて困ったことはありませんか?本書は,添付文書だけではわからない情報を,統計学と臨床論文から読み解く方法を伝授します.いつもの服薬指導が劇的に変わります!

序文

医療従事者による患者さんへの薬の説明は,とかく副作用や生活上の注意が中心となり,薬の効果の説明が不足していると思うことがあります.また,副作用に関しても,抗がん剤以外の薬剤の場合は,その程度や頻度などといった説明が不十分のような気もします.

私は大手家電販売店で商品を購入する際,私の質問に何でも的確に答えてくれて詳細な情報を提供してくれる店員さんに出会うたびに「商品のことを隅々までよく知っていて凄い! 正に専門家!」と感心します.そして同時に,薬剤師の私も専門家として,薬のことを深く理解した上で,信頼性のある確かな情報を患者に提供すべきだと思い続けてきました.

やがて私は病院薬剤師から薬学部の教員になりました.そして,学生に統計学や臨床試験を教える中で,薬の添付文書に関する大きな発見をしました.それは何かというと,添付文書の「臨床成績」の結果が世界的に権威のある学術雑誌に掲載されているという事実です.また,それにも関わらず,その臨床成績の内容が十分に活用されていないということです.そして,そのような状況だからこそ,その効果などのエビデンスは服薬指導に活用できるのではないかとも思いました.

活用されていない原因を考えてみると,臨床試験や統計学に関する教育の不足にあると思われました.それゆえ,臨床成績は信用できないと誤解されたり,臨床成績の適切な解釈ができなかったりして,それが不活用につながっているのではないかということです.そして,これを解決するためには,添付文書の背景にある臨床論文を読み解くことが重要であると考えました.添付文書に記載されているのは最終的な要約のみであり,それだけでは情報が断片的で深い理解にはつながらないからです.

そこで,本書では,「エビデンスに裏付けられた服薬指導と適切な薬学管理」ができるように,薬の有効性や安全性を吟味できるスキルを養います.具体的には,臨床論文の理解に必要な統計学を習得し,添付文書の背景となる臨床論文を読解して添付文書と臨床成績を深く理解できるようにします.そして最終的には,薬の効果に関する情報を服薬指導に活用し,患者さんから「薬のことを隅々までよく知っていて凄い! さすが専門家!」と評価される水準になることを目指します.

本書によって添付文書の臨床成績の重要性が再認識され,患者さんへの服薬指導が充実し,患者さんとの信頼関係が向上することにつながれば,著者としてこの上ない喜びです.


2024年3月

湧井 宣行

目次

第1部 臨床論文を理解するための統計学

第1章 臨床論文を読むうえでの生物統計の基礎

1 生物統計学の概念

1 母集団と標本

2 統計的推測の手法

2 統計で使われる用語の確認

1 正規分布:左右対称性をもつ連続分布

2 データの代表値となる統計量

 [コラム] 臨床現場における平均値の活用

3 仮説検定;逆説を否定することで仮説を証明する

1 P値と有意水準

2 検定における誤り

第2章 各種検定法の特徴

1 パラメトリック検定とノンパラメトリック検定

1 2つ以上の「変数」を利用した分析とそのアプローチ

2 2つの変数を組み合わせて分析するポイント

 [コラム] 変数の尺度について

2 条件によって使用する検定手法が選択できるようになろう

パラメトリック検定とノンパラメトリック検定の選び方

 [コラム] 対応のあるt検定と対応のないt検定

すべてのデータをノンパラメトリック検定で解析してはダメ?

3 2群の検定・3群以上の検定

1 2 群の検定

2 3 群以上の検定~多重比較検定法(post-hoc test)

 [コラム] Steel法とSteel-Dwass法

分散分析と多重比較検定法

第3章 回帰分析

1 単回帰分析

 [コラム] 回帰直線を求めるために用いられる最小二乗法とは?

2 重回帰分析

 [コラム] 臨床試験における多変量解析の目的

3 ロジスティック回帰分析

 [コラム] データから予測することの重要性:チャレンジャー号事故の教訓

第4章 生存時間解析法

カプランマイヤー法

1 生存時間解析の概念

2 カプランマイヤー曲線を作成する

 [コラム] 生存時間解析

第5章 リスク比,オッズ比,ハザード比

1 リスク比(RR)

1 リスク

2 リスク比(RR:risk ratio)

3 リスクを用いた効果指標

2 オッズ比(OR)

1 オッズ

2 オッズ比(OR:odds ratio)

 [コラム] 信頼区間とは?

3 ハザード比(HR)

第6章 臨床論文を正しく読むために

1 臨床試験の基礎知識

1 ランダム割付(無作為割付)

2 二重盲検試験

3 解析対象集団

4 臨床試験における選択基準(適格基準)と除外基準

5 研究をデザインするとは何か

6 評価項目(エンドポイント)

7 ランダム化後の対照群との比較

8 優越性試験,非劣性試験,同等性試験の違いと考え方

9 臨床研究におけるエビデンスレベル

2 EBMの概念とPICOの実施

1 EBMの概念

2 PICOの実施

3 臨床論文の読解における役割

3 CONSORTチェックリスト

第2部 添付文書の根拠がわかる臨床論文

第1章 がん

アパルタミド(アーリーダ®錠)

Smith MR, et al:N Engl J Med, 378:1408-1418, 2018

 [コラム] 前立腺がんとPSAの関係

去勢抵抗性前立腺がん(CRPC:castration resistant prostate cancer)とは?

サブグループ解析とその注意点

人口統計学的特性とは?

ベースライン特性とは?

探索的評価項目とは?

臨床試験におけるQOLの評価:EQ-5D-3LとFACT-P

アナモレリン(エドルミズ®錠)

Katakami N, et al:Cancer, 124:606-616, 2018

 [コラム] がん栄養療法におけるグレリンへの期待

サンプルサイズ(症例数)設計の考え方

層別ランダム割付とは?

臨床試験で頻用される共分散分析(ANCOVA:analysis of covariance)とは?

第2章 高血圧症

エサキセレノン(ミネブロ®錠)

Ito S, et al:Hypertension, 75:51-58, 2020

 [コラム] ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の有効性

ランダム化比較試験で実施されるランダム化の方法

ウォッシュアウトとは?

サクビトリル/バルサルタン(エンレスト®錠)

Rakugi H, et al:Hypertens Res, 45:824-833, 2022

 [コラム] 日本で最も使用されている高血圧治療薬:アムロジピンの効果

ランダム化前のプラセボ投与の導入期間の目的とは?

臨床試験における外的妥当性の評価

第3章 糖尿病

セマグルチド(リベルサス®錠)

Yamada Y, et al:Lancet Diabetes Endocrinol, 8:377-391, 2020

 [コラム] 漸増投与とは?

混合効果モデル

グルカゴン(バクスミー®点鼻粉末剤)

Matsuhisa M, et al:Diabetes Obes Metab, 22:1167-1175, 2020

 [コラム] 低血糖時に点鼻で処置する国内初の医薬品:バクスミー®点鼻粉末剤

臨床試験で実施される安全性解析とは?

第4章 心疾患

イバブラジン(コララン®錠)

Tsutsui H, et al:Circ J, 83:2049-2060, 2019

 [コラム] 心不全の薬物治療

心不全の重症度の評価:NYHA心機能分類

LVEFとは?

第5章 脳血管障害

エドキサバン(リクシアナ®錠)

Giugliano RP, et al:N Engl J Med, 369:2093-2104, 2013

 [コラム] 直接経口抗凝固薬(DOAC)の種類とその選択

第6章 精神神経疾患

レンボレキサント(デエビゴ®錠)

Kärppä, M, et al:Sleep, 43:1-11, 2020

 [コラム] デエビゴ®錠開発の背景

Cochran-Mantel-Haenszel検定(CMH検定)

対数変換とは?

最小二乗幾何平均とは?

ナルメフェン(セリンクロ®錠)

Miyata H, et al:Psychiatry Clin Neurosci, 73:697-706, 2019

 [コラム] アルコール依存症治療薬の特徴

事後解析とは?

臨床試験のモデル式に含まれる固定効果と交互作用とは?

臨床論文で頻用されるくり返し測定の混合効果モデルを用いた解析法と最小二乗平均とは?

ルラシドン(ラツーダ®錠)

Iyo M, et al:Psychiatry Clin Neurosci, 75:227–235, 2021

 [コラム] 陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)

医療従事者が知るべき身近な疾患:統合失調症

くり返し測定とは?

Cohenのdとは?

臨床試験における効果量の役割

第7章 免疫アレルギー疾患

デルゴシチニブ(コレクチム®軟膏0.5%)

Nakagawa H, et al:J Am Acad Dermatol, 82:823-831, 2020

 [コラム] アトピー性皮膚炎における外用薬の位置づけ

皮膚疾患の評価尺度:mEASI,IGA,そう痒NRS

オープンラベル試験とは?

P値の記載方法

ジファミラスト(モイゼルト®軟膏1%)

Saeki H, et al:J Am Acad Dermatol, 86:607-614, 2022

 [コラム] 1%,0.3% 2つの規格の違いは?

層別因子

臨床試験に用いられる評価尺度

ルパタジン(ルパフィン®錠)

Okubo K, et al:Allergol Int, 68:207-215, 2019

 [コラム] T4NSS:total4 nasal symptom score, 総鼻症状スコア

抗ヒスタミン薬の効果や有害事象の違いは?

第8章 感染症

ポサコナゾール(ノクサフィル®錠)

Cornely OA, et al:N Engl J Med, 356:348-359, 2007

 [コラム] 好中球減少患者に対するポサコナゾールの投与

アメナメビル(アメナリーフ®錠)

Kawashima M, et al:J Dermatol, 44:1219-1227, 2017

 [コラム] 帯状疱疹の注意事項と50歳を過ぎてからのワクチン接種の有効性


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書籍情報

  • ISBN:9784758109499
  • ページ数:303頁
  • 書籍発行日:2024年4月
  • 電子版発売日:2024年5月17日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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