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- 臨床画像 2025年1月号 特集1:この1冊でマスターする 認知症の画像診断/特集2:検査時の状況に応じたFDG-PET検査の読影レポート作成
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序文
特集1この1冊でマスターする 認知症の画像診断;序説
本誌2019年11月号で高瀬 圭先生の企画・德丸阿耶先生の編集で『これだけ知っておけば大丈夫! な認知症画像診断』の特集が組まれてから5年あまり経過した。その間,認知症の最大原因であるAlzheimer病(Alzheimer's disease:AD)の抗アミロイドβ(Aβ)抗体薬レカネマブ(レケンビⓇ)が2023年に,抗Aβ抗体薬ドナネマブ(ケサンラⓇ)が2024年に承認・保険適用になり,認知症診療のなかのAD診療において新たな時代に入ったといえる。
この抗Aβ抗体薬導入判定にアミロイドPETが保険適用になったが,アミロイドPET読影に際しても核医学専門医またはPET核医学認定医が責任企業の実施する読影講習を受講した後,さらに日本核医学会によるアミロイドPET読影講習を受講しなければならない時代に突入した。
日本医学放射線学会・日本磁気共鳴医学会・日本神経放射線学会が合同で『アルツハイマー病の抗Aβ抗体薬の投与に関する脳MRI診断指針』を出し,その細則による「ARIA」講習会が実施され受講者は『アルツハイマー病の抗Aβ抗体薬の投与に関する脳MRI診断指針』に基づく読影医師として登録されることになっている。
認知症画像診断はADのみならずすべての認知症および軽度認知障害(mild cognitiveimpairment:MCI)の早期診断に非常に重要な役割を果たす。認知症診断の画像バイオマーカとしての役割は非常に大きく,なおかつその結果判定の信頼性が問われることになった。一方,認知症診療にかかわる精神科医,脳神経内科医,脳外科医は少数の画像に詳しい医師は別として大半の臨床医は画像診断においては専門外で画像診断医のレポートに頼っている,あるいは算出された半定量値specific binding ratio(SBR),heart–to–mediastinum ratio(H/M比),standard uptake value ratio(SUVr),centiloid scaleなどの値のみで判断している場合が多く見受けられる。また画像診断医においても認知症の画像診断に詳しい医師は依然少ないと思える。
一般画像診断医で普段の読影時,脳萎縮があるにもかかわらず「萎縮なし」とか「加齢の範囲内」とレポートを書いていないだろうか。脳血流SPECTの読影は元画像をみずして統計画像のみで判定していないだろうか。それらのレポートの結果がMCI,認知症患者の今後の治療を大きく左右しかねない状況をはらんでいるといえる。
本特集では一般画像診断医にとって認知症の画像診断について,最低限これだけは知っておいてほしい内容を解説して,認知症臨床医の期待に応えられるようになることを目的として企画させていただいた。本特集を日常診療における読影時の参考書として認知症・MCIの画像診断に役立てていただくことを願っている。
企画・編集:石井一成 近畿大学医学部 放射線医学教室 放射線診断学部門
特集2検査時の状況に応じたFDG–PET検査の読影レポート作成;序説
検査薬として18F–フルオロデオキシグルコース(FDG)を投与し,その集積分布を画像化するポジトロン放出断層撮像法(PET)検査では,多くの活動性の腫瘍巣を検索することができる。ここで用いるFDGは,悪性腫瘍に特異的な放射性医薬品ではなく,糖代謝の亢進部位に留まっているにすぎない。良性腫瘍や非腫瘍性病変,正常臓器にも集積するため,FDGの集積を見つけてもそれが何を表しているのか,意味付けが必要となる。解釈が容易な場合がある一方で,集積が何を意味するのか,そもそも臨床的に意味ある集積として拾い上げるべきなのか,難渋することもまれではない。画像のみで確定するわけではないため,各集積が意味するところの可能性を挙げ,生検で確定すればよいが,すべての集積に対する組織学的確定は必ずしも現実的とはいえず,仮に生検を勧めた病変が臨床的に意義の低い病変の結果ばかり返ってくると,イソップ物語のオオカミ少年のごとく,本当に必要なときに適切な処置の遅れにつながるかもしれない。また生検は侵襲を伴い,コストがかかる。サンプリングエラーのために結論に至らないこともある。病期診断目的と検診目的,あるいは同じ再発診断でも術後の腫瘍マーカー上昇の場合と臨床的には転移や再発が疑われていない,いわゆる定期的なフォローアップの場合とでは,曖昧な集積をみた場合にどう考えるか,次に何をなすべきか(静観も含めて),経験を重ねてくると無意識に所見を書き分けているものと思われる。すなわち,検査前確率に基づいた,的確な所見・コメントを依頼科に提供することが読影医には期待されている。
本特集では,読影対象となる画像は同じであっても,読影時の情報に基づいてレポートが変化するところに焦点をあて,それぞれの症例について異なる状況を設定し,各状況下での所見例をエキスパートの先生方に記載していただいた。目の前の画像を読影するうえでさまざまなことに思いを巡らせて能動的にレポートを作成している(症例によっては通常と異なる撮像範囲を設定する)達人のプロフェッショナリズムを味わって,今後の診療に役立ててもらえたら幸いである。
本誌の読者層は当然ながら画像診断医が中心と考えられるが,依頼コメントを軽視している各診療科のオーダー医にも一読してもらいたいものである。依頼コメントによってレポートの内容が変わりうることは日々実感するところだが,依頼医のなかには画像さえあれば所見がなくても何とでもなると考えているのか,的確な依頼コメントが提供されていない場合も少なくない。治療方針に必要な情報がときに依頼コメントに影響を受けることが認識され,画像診断が共同作業の一面も有することを認識してもらえると,お互いに得るものが多いのではと推察している。
いずれの立場にしても,今回のような教訓症例を通じて,積極的に必要な情報を集め,次のステップにつながる画像診断に少しでも寄与することができればと願っている。
企画・編集:中本裕士 京都大学大学院医学研究科放射線医学講座(画像診断学・核医学)
目次
特集1:この1冊でマスターする 認知症の画像診断 企画・編集:石井一成
認知症の原因疾患 池田 学
認知症の画像検査−CT・MRI・SPECT・PET− 山根登茂彦
慢性水頭症(正常圧水頭症):Hakim病(iNPH)の診断に必要な画像所見:DESH 山田茂樹
Alzheimer病,MCI 加藤隆司ほか
Lewy小体病,Parkinson症候を呈する変性性認知症 乾 好貴ほか
前頭側頭葉変性症−AGD,PART,LATEなど− 櫻井圭太ほか
認知症の初回検査において特徴的な画像所見から鑑別必須の疾患 德丸阿耶
脳血管障害,慢性硬膜下血腫など 木下俊文ほか
特集2:検査時の状況に応じたFDG–PET検査の読影レポート作成 企画・編集:中本裕士
CASE 1~4 堀田昌利
CASE 1 未治療のGraves病に関連した胸腺過形成の症例
CASE 2 中枢骨髄へのびまん性集積を認めた多発性骨髄腫の症例
CASE 3 悪性リンパ腫として検査依頼のあった成人スチル病の症例
CASE 4 播種性ヒストプラズマ症と判明したベネズエラ在住の症例
CASE 5~8 犬養純子ほか
CASE 5 子宮頸癌術後の傍大動脈リンパ節の著明な腫大とFDG集積がみられた症例
CASE 6 胃癌術後のFDG集積に乏しい後腹膜腫瘤の症例
CASE 7 骨盤内腫瘤の診断に難渋した症例
CASE 8 左母指悪性黒色腫術前で左腋窩リンパ節にFDG集積がみられた症例
CASE 9~12 奥山智緒
CASE 9 腋窩リンパ節描出ではワクチン接種歴の情報が重要
CASE 10 胸水ドレナージ後の症例
CASE 11 前立腺に限局性集積のある症例
CASE 12 リンパ節腫大にFDGが集積した症例
CASE 13~16 中谷航也
CASE 13 骨髄びまん性集積をどう考えるか(1)
CASE 14 骨髄びまん性集積をどう考えるか(2)
CASE 15 「肺癌」の依頼病名は本当に正しいか
CASE 16 薬物療法後FDG–PET検査におけるピットフォール
連載
・何としても読んでもらいたい あの論文,この論文
[第30回]
膀胱癌の筋層浸潤の診断に有用な膀胱MRIにおける2つのサインが掲載された論文 玉田 勉ほか
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書籍情報
- ISBN:9784008004501
- ページ数:120頁
- 書籍発行日:2024年12月
- 電子版発売日:2024年12月26日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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