序文

「集中治療医学レビュー」は，集中治療医学領域の主要論文を2年ごとに厳選して紹介していくシリーズです．前身の「救急・集中治療医学レビュー」から数えると，今回の「2025-’26」で9冊目となりました．継続して情報発信できていることを嬉しく思います．

本シリーズが単なる文献紹介と異なるのは，発表された研究の要旨記述にとどまらず，その分野の第一人者が独自のコメントを添えている点です．その領域の背景や流れの説明とともに，時に批判的なコメントは，オリジナリティーのある読み物としての魅力があります．

本書は集中治療管理・検査技術・特有の病態と治療・トピックスの4つの章で構成され，全部で50項目が収載されています．基本的に項目は継承していく方針ですが，時流に合わせた若干の見直しもあります．

本書は，文献を読む十分な時間が確保できない忙しい臨床医の方々に，最新の情報を届けるだけでなく，その領域の流れを俯瞰していただいて自身の研究のヒントを得ることにも役立つと考えています．興味のある項目だけを読むもよし，気の赴くままにランダムに目を通すのもいいと思います．また，同じ項目を過去の巻から数巻読めば，10年単位の流れを効率よく知ることが可能で，若手医師が歴史的背景を理解することにも役立つでしょう．

末筆になりましたが，本書を手に取られた読者の皆様と快く執筆を担当していただきました各領域のエキスパートの先生方に感謝いたします．本書が忙しい臨床家の知恵袋を充実させるだけでなく，集中治療医学の発展に寄与できれば幸いです．

2025年2月

編集者を代表して
大 塚 将 秀