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- 改訂版 もっとよくわかる!幹細胞と再生医療
商品情報
内容
iPS細胞の誕生から約20年が経ち,幹細胞・再生医療研究はどこまで進んだのか.幹細胞・再生医療を学ぶ最初の1冊として好評のテキストが,オルガノイドやレギュレーション,臨床開発状況などの新項目を追加して10年ぶりの改訂.研究者のリアルが垣間見える充実のコラムもお見逃しなく.
序文
改訂版のはじめに
2014年1月に初版の『もっとよくわかる!幹細胞と再生医療』を出版してから早くも10年以上の年月が過ぎた.その間も,幹細胞と再生医療の研究領域は絶え間なく進捗を続けている.過去10年間の大きなトピックとしては,10 以上の疾患に対するiPS 細胞を用いた細胞療法の臨床試験が国内で開始され,疾患特異的iPS 細胞の疾患モデルを用いたiPS 創薬にて複数の難治性疾患に対する新規治療薬候補が同定され,こちらも臨床試験が進行中である.また,オルガノイドやorgan-on-a-chip などの新しいiPS 細胞関連技術が台頭してきた.これらの背景のもと,改訂版も本書は,幹細胞と再生医療の入門書として,領域外の研究者にとっても御理解をいただけるような,わかりやすさを第一に心がけて初版からの追記と改訂を行った.
幹細胞と再生医療について,初版では基礎的なことから2013年末までの知見をまとめたが,改訂版ではさらに2024年末の時点における最新の知見までを追加した.初版を原型としながらも,新たに第7 章として「機能的な臓器や組織を創る──オルガノイドを中心に」という章を追加し,オルガノイドやorgan-on-a-chip をはじめ,組織や臓器を作製する研究についてまとめた.また,初版の第9 章を改訂し,第10 章「幹細胞・再生医学研究の臨床応用と実用化」として,現在臨床試験まで進んだ研究を一つひとつ紹介し,レギュレーションや産業面の整備など再生医療を推進するための社会的な体制の整備についても含めた.2024年末時点での幹細胞・再生医学研究のスタンダードとして後世の知見との比較対象との位置づけで考えていただきたい.
改訂版においても日本人の活躍をなるべく多くとり立てて紹介した.日本人の幹細胞・再生医学研究へのこれまでの貢献は非常に大きなものであるが,近年は日本の研究力低下も叫ばれている.本書を読まれた研究者が鼓舞されて,幹細胞・再生医学研究をはじめ日本の研究力復活に貢献されることを期待している.
本書は基本的知識の習得を狙った入門本であるが,引き続き「もっと詳しく」コーナーでは,最前線の知見やより詳細な説明を含めている.また,Column にも,過去10年間の筆者の研究者生活のなかでの印象に残っているエピソードを追加した.気分転換に御一読いただけると幸いである.
最後に,改訂版の執筆,改訂に際して,貴重な御助言や文章の御高閲,写真,スライドの御提供をいただいた京都大学iPS 細胞研究所 金子新先生,髙島康弘先生,後藤慎平先生,堀田秋津先生,吉田善紀先生,櫻井英俊先生,池谷真先生,高橋和利先生,高山和雄先生,前伸一先生,荒岡利和先生,安田勝太郎先生,伊藤遼先生に深謝致します.また今回も,原稿締切の予定日から大幅に遅れたなか忍耐強く待ち続け,拙稿をきわめて読みやすく魅力的に編集いただきました羊土社の佐々木彩名,蜂須賀修司 両氏にも心より感謝申し上げます.
2025年1月
長船健二
目次
第1章 再生医療と幹細胞―密接な両者を正しく理解する
1 再生医療の可能性―新たな医療アプローチを可能にする幹細胞のすごさ
2 幹細胞の4 つの特徴
3 幹細胞の種類―多能性幹細胞と組織幹細胞
4 ニッチ―幹細胞性を維持するための生体内微小環境
第2章 組織幹細胞① ―解明が進んでいる5つの組織幹細胞
1 組織幹細胞とは
2 組織幹細胞の存在を証明する5 つの実験手法
3 造血幹細胞
4 間葉系幹細胞
5 神経幹細胞
6 皮膚,毛嚢の幹細胞
7 腸幹細胞
第3章 組織幹細胞② ―その他の臓器でも研究は進む
1 外胚葉系―眼,乳腺
2 中胚葉系―骨格筋,心筋,腎臓
3 内胚葉系―肝臓,膵臓,肺
4 生殖系―精子
5 SP 細胞―高い色素排出能をもつ細胞集団
6 今後の課題
第4章 ES細胞 ―実用化の鍵を握るフロントランナー
1 ES 細胞とは
2 ES 細胞の基本的な分化誘導法
3 ES 細胞から特定細胞種への分化誘導法開発
4 両生類受精卵のアニマルキャップ
5 今後の課題
第5章 iPS細胞 ―ノーベル賞のその後
1 iPS 細胞とは
2 ES 細胞や株間の比較
3 iPS 細胞の利点
4 効率的で安全なiPS 細胞樹立へのアプローチ
5 iPS 細胞研究動向
6 今後の課題
第6章 ダイレクトリプログラミング ―幹細胞を用いない再生医療
1 ダイレクトリプログラミングとは
2 過去のダイレクトリプログラミングの報告
3 膵臓のin vivo リプログラミング
4 膵臓以外の5 つの成功例
5 ダイレクトリプログラミングによる再生医療の利点と課題
第7章 機能的な組織や臓器を創る ―オルガノイドを中心に
1 オルガノイド
2 organ-on-a-chip
3 異種動物を活用した臓器再生
4 その他の臓器再生研究
5 今後の課題
第8章 ケミカルバイオロジー ―未開の「宝の山」のストラテジー
1 ケミカルバイオロジーとは
2 幹細胞の未分化状態の維持
3 体細胞からiPS 細胞へのリプログラミング
4 幹細胞から臓器細胞への分化誘導研究
5 化合物スクリーニングによる臓器の発生分化機構の解明
6 疾患特異的iPS 細胞を用いた難治性疾患に対する治療薬探索
7 生体内(in vivo )での再生
8 化合物を用いた研究の特徴
第9章 疾患モデル ―幹細胞が活きるもう1つの臨床応用
1 ゲノム編集技術の進歩
2 in vivo モデル
3 in vitro モデル
4 疾患特異的iPS 細胞を用いた創薬
5 疾患特異的iPS 細胞を用いた遺伝子治療
6 今後の課題
第10章 幹細胞再生医学研究の臨床応用と実用化 ―幹細胞研究はここまで進んだ!
1 再生医療と実用化が期待される研究領域
2 レギュレーション,産業面の整備
3 再生医療用iPS 細胞株
4 ヒトES/iPS 細胞を用いた細胞療法の臨床試験までの道筋
5 ヒトiPS/ES 細胞を用いた国内における細胞療法の臨床試験
6 薬剤毒性評価系
7 組織幹細胞を用いた臨床試験
8 細胞シート工学を応用した臨床研究
9 今後の課題と展望
おわりに~基礎研究と臨床を結ぶために~
索引
Column
1 私の研究の歩みと現在のテーマ
2 なぜ再生研究をはじめたか?
3 北 徹先生~私が医学部を卒業して入局した医局の教授
4 浅島先生との出会い
5 浅島誠先生~私の大学院時代の指導教官で恩師
6 浅島研のイモリ採り
7 本当につらかったけど,ためになった3年間
8 先のことを考えない
9 iPS 細胞のi はなぜ小文字なのか?
10 メルトン(Douglas A Melton)先生~私の米国留学時のボスで恩師
11 メルトン研究室
12 学問や研究は決して浅くて狭いものではない
13 消火器
14 NBA バスケットボール
15 人生は何が起こるかわからない
16 山中先生のノーベル生理学医学賞受賞
17 偉大な先生たちの共通点
18 人生初のフルマラソン
19 ベンチャー設立
20 臨床試験
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書籍情報
- ISBN:9784758122153
- ページ数:206頁
- 書籍発行日:2025年3月
- 電子版発売日:2025年4月18日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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