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- 臨床研究イノベーション 2.0
商品情報
内容
わが国最大級のバイオメディカルクラスターにおける臨床研究の道程を振り返り、現状を俯瞰的に捉え、さらなる展望を示す。
臨床研究の発端となった出来事から研究成果、メディカルクラスターでの連携などの実績を詳しく紹介。医師、研究者はもとより、医療・健康産業のスタートアップを目指す医療者も必読の実例集。
序文
発刊に寄せて
今、最先端にいるということはどうしてわかるか。その先に道がないということでわかる。なぜ最先端のその先を求めるか。今に満足せず、もっと良いものを求めるからである。なぜ最先端のその先の医療を求めるのか。今に満足せず、今最善とされるもののその先を目指すからである。より効果的な医療、より患者に優しい医療を求めるからである。
地域医療を主たる任務とする市民病院がなぜ臨床研究をする必要があるのか。今最善と考えられている医療が、すなわち最先端の医療である。最先端の、すなわち今最善の医療を尽くしてこそ、その先を求めることになる。今最善の医療を尽くしていれば、その先にまだ道はない。地域医療の最前線に立ちながら、より効果的で、より負担の少ない医療を求めるなら、自分たちで道を開かなければならない。それがすなわち臨床研究であり、臨床研究の目的である。道を開くためには最先端にいなければならないし、最先端にいてこそ開くべき道が見えてくる。これが地域医療従事者としての矜持であり、中央市民病院一同の矜持である。
地域医療を担う医療者であるからこそ、現在の最先端医療の問題や限界を日々痛感することになる。臨床医が行う臨床研究の意義がここにある。研究を行えば、そこから得られる結論があり、今後の研究の指針があり、さらなる疑問が生じてくる。これらをまとめ上げたものが研究論文であり、医療者間のコミュニケーションの最も信頼できる手段である。また論文を仕上げることは、ある問題点についてのこれまでの歴史、今解決すべき問題点、研究から明らかになった事実と推論、未解決の点とその解決のための提言などを含む。これらを完成することは執筆した臨床医がある研究課題についての解決能力と他者からの批判に耐えうる知識と理解力を持っていることを示すものである。論文執筆能力とはそのようなものであり、優れた臨床医としての証左である。
最先端を追求するのは、今最善と思われる医療を行っているからこそである。もっと優しい医療を求めるからである。病める人を救うというmission を根底に、病める人を救いたいというpassion があり、病める人とともに歩みたいというcompassion を持つことが臨床研究の基本理念である。
井村裕夫先生が構想・推進されてきた神戸医療産業都市における臨床研究推進拠点としての役割は、優れた地域医療、先端医療を行っている中央市民病院の責務であり、そこで得られた臨床研究推進のための知識と情報を広く提供することによって全国での臨床研究がさらに推進されることを期待する。
2025年2月
地方独立行政法人 神戸市民病院機構
理事長 橋本信夫
目次
【第1章 臨床研究とは】
・01 基礎研究と臨床研究―臨床研究と橋渡し研究の重要性―
杉山大介
・02 臨床研究の歴史と医の倫理
久米 学
・03 臨床研究の種類と規制
小田稔彦
・04 医療現場での臨床研究のすすめ―啓発と教育―
宮越千智
・05 臨床研究を支える組織と人材
興津美由紀、小田稔彦、室井延之
【第2章 神戸医療産業都市構想】
・01 日本最大級のバイオメディカルクラスターの歩み
村上雅義
・02 クラスター形成によるイノベーション創出
山手政伸
・03 産学官医連携による研究開発から事業化まで
川本篤彦
・04 これからの医療産業都市のあり方
西川尚斗
【第3章 先端医療開発の実例】
・01 iPS細胞などを用いた再生医療
髙橋政代
・02 iPS細胞を用いたパーキンソン病治療に対する細胞移植
森実飛鳥
・03 国産初の手術支援ロボット“hinotoriTM”の開発
藤澤正人
・04 「富岳」で目指すシミュレーション・AI駆動型次世代医療・創薬
奥野恭史、荒木望嗣
【第4章 臨床現場から発した臨床研究】
・01 脳卒中医療と脳血管デバイス開発
坂井信幸
・02 PETを活用した臨床研究:認知症および悪性腫瘍への応用
山根登茂彦
・03 難治性疾患の治療法開発に向けて
古川 裕
・04 人工内耳術後の臨床研究の新たな展開
山本典生
・05 膠原病の新たな病態バイオマーカーの開発
大村浩一郎
・06 急速破壊型股関節症のメカニズム解明と治療開発
安田 義
・07 10年間日本一の救命救急と臨床研究
松岡由典、有吉孝一
・08 100年に一度の現象の真っ只中での臨床研究
土井朝子
・09 医療現場の疑問に応える臨床疫学研究
宮越千智
・10 こどもの注射の痛みを和らげる医工連携の成果
岡藤郁夫
・11 最適な薬物治療につなげる臨床薬学研究
池末裕明
・12 こどもの難治性疾患に治療の道を拓く
飯島一誠
・13 低侵襲がん医療と臨床研究
秦 明登、馬屋原 博、藤井正彦
・14 大学薬学部と医療機関の連携
福島恵造、岸本修一
・15 CURE-KOBEへつながる地域一体型リハビリテーション研究
岩田健太郎
・16 心不全患者の心エコーと臨床研究
鳥居裕太
【第5章 医療の未来を拓く臨床研究】
・01 日本型エコシステム構築による医療機器イノベーション
保多隆裕
・02 レギュラトリーサイエンス研究と人材養成
坂井千秋
・03 日本の医薬品安全保障と創薬エコシステム ―神戸医療産業都市の役割―
橋田 亨
・04 ファーマコメトリクス研究の国際連携とこれから
水野知行
・05 臨床研究における次世代情報基盤のあり方
竹村匡正
・06 求められる未来の医療と臨床研究
木原康樹
・結びに当たって:変貌する医学と神戸医療産業都市のチャレンジ
成宮 周
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書籍情報
- ISBN:9784840488020
- ページ数:352頁
- 電子版発売日:2025年4月29日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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