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- 泌尿器外科 2025年4月号(Vol.38 No.4)【特集】mCSPC Deep Field
商品情報
内容
遠隔転移を有する去勢感受性前立腺癌に最初に強力な治療が必要なメカニズムを考察する/mCSPC 治療の最適化:個別化治療のポイント/トリプレット治療 vs ダブレット治療 ほか
序文
序文
「転移性去勢感受性前立腺癌(mCSPC)はCABをすれば良い」という従来の考えは近年急激に変化しており,最新治療法とその根拠となる病態メカニズムは,まるでHubble宇宙望遠鏡が写した深宇宙のような大きな広がりをみせている。本特集は「mCSPC Deep Field」と名付けて,深層に潜む課題を検証しながら,mCSPCの最新の治療戦略を展望する。
1.「mCSPCには最初から強力な治療が必要な理由」を,大日方大亮先生(日本大学)が解説する。ARSIをアップフロントで使用することは,腫瘍細胞におけるadaptive resistanceを標的とするアプローチであり,Docetaxelは治療開始前から腫瘍内に存在するintrinsic resistanceを標的とする治療法である。これらの薬剤のアップフロント使用が腫瘍進化を早期から抑制し,CRPCへの移行を遅らせることが期待される。
2.「mCSPC治療の最適化:個別化治療のポイント」を,川合剛人先生(国際医療福祉大学市川病院)に概説いただいた。治療の標準化が進む中,個別患者に対する最適化が求められる。ダブレット治療,トリプレット治療のいずれが最適か。オリゴ転移性前立腺癌における局所療法も注目されている。
3.「トリプレット治療 vsダブレット治療」を,塩田真己先生(九州大学)に解説いただいた。両者の優劣は現時点では明らかでなく,これらをどのように選択するかは議論が必要である。臨床試験のネットワークメタ解析では,High volumeや同時性転移,T4といった因子がトリプレット治療選択の目安になる可能性を示している。
4.「mCSPCにおける転移量に応じた局所放射線治療の有用性」を,寺田直樹先生(福井大学)に展望していただいた。low volume転移症例では放射線を含めた局所治療が検討されるが,high volume症例に対する局所療法については現時点では否定的な意見が多い。JCOG2011では,high volume mCSPCに対する局所放射線治療の有用性を検証中である。
5.「アップフロント治療における副作用管理」を,近藤千紘先生(国立がん研究センター東病院腫瘍内科)に解説していただいた。強力な治療法の導入に伴い,副作用管理がより重要になっている。高血圧,心不全,だるさや発疹など,ARSIの副作用は患者の予後とQOLに大きな影響を与える。またこれらのアップフロント治療が,より長い生存期間を可能としつつある現在,bone managementの必要性がさらに増すと考えられる。
6.「アップフロント療法 failure後はどうするか?」を,橋本浩平先生(札幌医科大学)に解説いただいた。ポストアップフロント療法は何を選択したら良いのか。エビデンスに基づきながら,個々の症例に応じた適切な判断が求められる。
7.「mCSPCにおける遺伝子異常について」を,小坂威雄先生(慶應義塾大学)に論文報告をもとに概説いただいた。現在CRPCにおいては,遺伝子検査によってBRCA遺伝子異常の有無を確認し,PARP阻害剤などが導入されつつある。このような遺伝的要因に基づくmCSPCにおける治療戦略の将来性を展望する。
8.最後に,「CAB療法の再評価:日本独自の進展」と題して,溝上敦先生(金沢大学)に論陣を張っていただいた。以前より「日本人はホルモン療法への反応性が良好であり,stage Ⅳ前立腺がんの生命予後も良いこと」が指摘されている。もしかすると,アップフロント治療は副作用と経済性において,患者に不利益をもたらしている可能性がある。CAB療法が適する患者の特定とその有効性の再評価が必要であろう。
ご多用中にもかかわらず,素晴らしい内容の執筆をいただいた先生方に深謝し,本特集が読者の皆様のmCSPC診療の一助になれば,幸いである。
最後にまだ,「Hubble’s Deep Field」の実際の画像をご覧になったことがない方がいらっしゃいましたら,ぜひNASA ScienceのHPをご覧ください。現在は,「Hubble’s Ultra Deep Field」,「Extreme Deep Field」も公開されています。10,000個を超える銀河,130億年前の銀河を見ると,きっと人生観が変わります。
日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野
髙橋 悟
目次
特集 mCSPC Deep Field
序文
日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野 髙橋 悟
遠隔転移を有する去勢感受性前立腺癌に最初に強力な治療が必要なメカニズムを考察する
日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野 大日方大亮,他
mCSPC治療の最適化:個別化治療のポイント
国際医療福祉大学市川病院腎泌尿器外科 川合 剛人
トリプレット治療 vsダブレット治療
九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野 塩田 真己
mCSPCにおける転移量に応じた局所放射線治療の有用性
福井大学医学部泌尿器科学講座 寺田 直樹
アップフロント治療における副作用管理
国立がん研究センター東病院腫瘍内科 近藤 千紘
アップフロント療法 failure後はどうするか?
札幌医科大学泌尿器科学講座 橋本 浩平
転移性去勢感受性前立腺癌における遺伝子変異について
慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室 小坂 威雄
CAB療法の再評価:日本独自の進展
金沢大学大学院医薬保健学総合研究科泌尿器集学的治療学 溝上 敦
臨床研究
前立腺癌診断における phiの有用性の検討
横浜南共済病院泌尿器科 春日 純,他
症例報告
ロボット支援腎部分切除後の尿瘻に伴う膿瘍形成の治療に難渋した症例
横浜市立みなと赤十字病院泌尿器科 高梨 将人,他
免疫チェックポイント阻害剤を含む集学的治療により CRを得た膀胱癌多発肺転移の 1例
仙台市立病院泌尿器科 井上 拓也,他
ロボット支援膀胱全摘除術後に急性腎障害となった糖尿病性ネフローゼ症候群が疑われた症例
時計台記念病院泌尿器科 谷口 明久,他
地方会
第93〜95回 日本泌尿器科学会埼玉地方会
第103〜105回 日本泌尿器科学会栃木地方会
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書籍情報
- ISBN:9784865176322
- ページ数:90頁
- 書籍発行日:2025年4月
- 電子版発売日:2025年4月22日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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