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- 小児看護2025年5月号(48巻5号)子ども虐待 わたしたちにできること;小さな声を聴き,子どもたちとつながり続けよう
商品情報
内容
虐待に至る親子は本来、医療機関で小さな声なきSOSを発信している。本特集では、医学所見や親子とのかかわりによって虐待に気づくための方法、子ども虐待対応にかかわる制度や法律、多機関・多職種による連携の実際について解説する。また、子ども虐待を予防するため、虐待の世代間連鎖や自立支援などについても紹介する。虐待の前後にかかわることができる医療者として、さまざまな思いを抱えながら成長していく子どもを守り支え、つながり続けるための1冊。
序文
特集にあたって
小児看護にかかわっている皆さんは「子ども虐待」と聞いてどう感じますか? 子ども虐待のあまりに悲惨なニュースは,見ない日がないほどであり,「虐待する親は許せない」「関係機関は何をしてたんだ」「早く子どもを保護してくれてたらよかったのに」などと憤りを感じることも多いのではないでしょうか。
ただ,虐待死亡は何の前触れもなく突然起こるわけではありません。それまでに親子はきっと,いろいろな方法で小さな声なきSOSを出していたはずです。例えば,月齢が小さい子どもの家庭内でのケガ,季節や身体に合わない身なり,待合室での親子の言動や様子,精神的に不安定な妊婦さんなど,診療のなかで『何か気になる』と感じることがあると思います。閉ざされた家庭のなかで,夫婦関係や経済的な問題,子どもの特性などの育てづらさ,また何より親自身の育ちや愛着の問題などもあり,少しずつ問題が積み上がっていくことで,地域や支援者から孤立し,悲惨な虐待ケースが発生するのではないでしょうか。人に頼る経験やその力がない親,そもそも声をもたない子どもは,自分から「助けて」と声を上げることができないのです。
医療機関は,健診,出産,予防接種やちょっとした困りごとでも親子が頼って受診してくれるところです。劣悪な虐待死亡ケースであっても,もっともっと早い段階で小さな声なきSOSをどこかの医療機関で発していたはずです。「虐待対応」と聞くと,虐待を発見して児童相談所に通告することがすべてのように思われがちです。しかしそれだけではなく,目の前の親子を見たときに,親子が置かれてきた背景や10年後,20年後の姿などにも思いをはせられるようになってもらえたらと思い,本特集を企画しました。
まず,虐待予防・対応について先進的に活動されている看護職の方々からの概説,そして「虐待かも」と気づくための診察のコツや医学所見について,専門家の方々からの解説をいただきます。また,虐待対応は医療者だけではできず,多機関・多職種によるのりしろのある連携が必須です。子どもたちが連携の隙間に落ちないための,知っておくべき仕組みや法律についても解説いただきます。そして最後に,虐待を受けた子どもたちや無念にも亡くなってしまった子どもたちとつながり続けている先生方からの心強いメッセージをいただきました。
私たちの手を離れた後も,子どもたちはいろいろな思いを抱えながら,それでもたくましく生き抜いていきます。実親とはうまくいかなくても,周りの大人が温かく子どもを守りながらつながり続けることが,きっと子どもたちの大事な礎の一つになり,その子の明るい未来につながっていくと信じています。読者の皆さんが,そんな子どもたちを支え続ける仲間の一人になっていただけることを願っています。
木下あゆみ
独立行政法人国立病院機構
四国こどもとおとなの医療センター
小児アレルギー科医長,育児支援対策室長
目次
総特集:子ども虐待 わたしたちにできること;小さな声を聴き,子どもたちとつながり続けよう
編集/木下 あゆみ
【カラーグラフ】
①子どものキズ・あざを見よう;虐待における記録の残し方/内ヶ崎 西作
②口を見てみよう;子ども虐待における口の所見/岩原 香織
【特集にあたって】
気づけますか 子どもからのSOS;子どもたちの未来に思いをはせよう/木下 あゆみ
【虐待予防・対応における看護師の役割と専門性】
①小児救急医療の場における子ども虐待予防/白石 裕子
②子どもの性暴力被害の早期発見・介入;性暴力対応看護師(SANE)の役割と養成プログラム/片岡 笑美子
③院内子ども虐待対応チーム(CPT)看護師の活動;親子の小さな声を聴き,共に考える/藤本 縁
④医療的ケア児など虐待ハイリスクの子どもにかかわる看護師の役割/川口 めぐみ
⑤包括的性教育が子どもの「生き抜く力」を育てる;虐待予防・対応のための母子保健活動/鈴木 佳奈子
【虐待に早く気がつくために~小さな声・声なき声を聴く~】
①子どもの「こえ」を聴き,代弁するアドボケイトとして/小橋 孝介
②こどもの骨折における画像評価と虐待の可能性/中川 敬介
③虐待による頭部外傷の判断/井原 哲
④子どもの性虐待への対応とRIFCRTMを基にした聞き方/石倉 亜矢子
⑤こどもアドボカシー活動;意見表明を支援する/相澤 仁
【職域を超えた「のりしろのある連携」~多機関・多職種で子どもを守る~】
①子ども虐待対応・予防における医療ソーシャルワーカーのかかわり;医療機関から発信する情報が適切につながるために/福田 育美
②子どもを守る法律を知ろう;児童虐待の対応に関する法律と医療者に求められる対応/根ケ山 裕子
③地域で生きる子どもたちを知ろう;「困りごと」を聞く積み重ねと子ども食堂での活動/加藤 雅江
④虐待対応における児童相談所とのじょうずな付き合い方/井上 景
【虐待を受けた子どもたちの未来を考える~つながり続けることの意義~】
①児童自立支援施設のこどもたちとの「生活」を通して伝えたいこと/笠松 聡子
②虐待の世代間連鎖;親の未解決の葛藤を中心に/西澤 哲
③赤ちゃんポスト,内密出産を頼らざるを得ない女性たち/蓮田 健
④CDRとグリーフケア/家入 香代
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書籍情報
- ISBN:9784012204805
- ページ数:128頁
- 書籍発行日:2025年5月
- 電子版発売日:2025年4月22日
- 判:AB判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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