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知っておきたい改正道路交通法と認知症診療

川畑 信也 (著)

中外医学社

  • ISBN : 9784498328105
  • ページ数 : 167頁
  • 書籍発行日 : 2018年3月
  • 電子版発売日 : 2018年8月17日
  • 判 : A5判
  • 種別 : eBook版 → 詳細はこちら
販売価格 (ダウンロード販売)
¥3,080 (税込)
ポイント : 56 pt (2%)

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商品情報

これを読めば診療や診断書作成に困らない!

2017年3月、高齢者に対する運転免許更新の厳格化を目的に改正道路交通法の運用が開始されました。医師が知っておきたい改正道路交通法の概略、運転免許に関連する診療の難しさ、診断書作成のコツや手順、注意点、事例まで網羅的に解説しています。

■ 序文

はじめに

2017年3月12日,高齢者に対する運転免許更新の厳格化を目的に改正道路交通法の運用が開始されました.私は,今回の改正道路交通法施行の数年前から愛知県公安委員会から臨時適性検査のための認定医に指定され,臨時適性検査を行うなかで高齢者,特に認知症者の自動車運転に関心を持ってきました.

3月の運用開始後,改正道路交通法について知りたい,認知症者と自動車運転,今回の改正が医療や介護の現場に及ぼすインパクトなどのテーマで全国から講演会の依頼が多数あり,可能な限り自身の経験を踏まえながら講演を行ってきました.そのなかで強く感じたことは,診断書を作成する医師側に大きな不安や戸惑い,躊躇などがみられることでした.さらに医師が今回の改正の内容を十分理解していないこと,診断書作成の決まりや手順などの情報不足があること,さらに言えば認知症の診断自体に自信がないことなど問題が山積している事実も理解できました.今回の道路交通法の改正はどちらかと言えば唐突に浮上してきた法律改正ともいえるかと思います.診断書を作成する医師側の準備不足や関係学会のやや消極的な姿勢などから認知症診断の精度の問題もあるかと思います.警察庁や日本医師会は,かかりつけ医・非専門医の先生方に診断書作成を期待しているのが事実かと思います.

そのような状況のなかで,私はかかりつけ医・非専門医の先生方が運転免許に関連する診療で認知症をより正しく診断できること,整合性のある診断書作成の具体的な手順を主題に本書の執筆を進めてきました.医師が知っておきたい改正道路交通法の概略から始まり,運転免許に関連する診療の難しさ,診断書作成のコツや手順,注意点,さらに事例呈示を柱にして,かかりつけ医・非専門医の先生方が運転免許に関連する診療に携わる際にささやかな道標になれるのではないかとの想いで本書を作成しました.

読者の先生方が運転免許に関連する診療の現場で困ったとき,どうしたらよいか悩むときに本書の該当する箇所を読んで頂ければ必ず回答がみつけられるかと自負し本書を書き上げております.本書を参考にすることで先生方の適切な診断書作成のお手伝いができることを期待しております.是非,先生方の手元に置いて頂き診療のお役に立つことができれば私の望外の喜びであります.本書の図表や本文の事例などは内容が変容しない程度に改変・手直しをしていることをお断りしておきます.

最後に本書の執筆に際して多大な助言を賜りました愛知県警本部交通部運転免許課高齢者講習係ならびに臨時適性検査係の方々に感謝申し上げます.


2018年3月

著者

■ 目次

CHAPTER I わが国における交通事故と高齢運転者の実態

わが国における交通事故死亡件数の変遷

高齢運転者による死亡事故件数の推移

高速道路逆走は認知症患者が多いのか

通院している認知症患者における自動車運転の実情

認知症患者の運転が拙劣になる要因

認知症の病型からみた運転事故や交通違反の特徴

CHAPTER II 知っておくべき道路交通法の知識

1.道路交通法の変遷

2.認知症は運転免許の欠落事由になる

3.認知機能検査とは

4.基準行為

5.任意通報制度

6.高齢者講習とその費用

7.臨時適性検査

8.免許の再取得は可能か 手続きはどうしたらよいか

CHAPTER III 改正された免許更新の手続きを理解する

CHAPTER IV 運転免許に関連する認知症診療の難しさ

運転免許に関連する認知症診療と通常診療の違い

1.認知症が軽微,軽度の患者が多い

2.行動障害・精神症状(BPSD)を示す患者が少ない

3.家族が認知症との視点で患者をみていない

CASE 1▶75歳,男性

CASE 2▶79歳,男性.夫婦2人の暮らし

4.患者本人が診療に前向きではない

CASE 1▶前項の75歳

CASE 3▶診療を拒否する79歳,男性

診療に際して医師はどう考えたらよいか

生活障害の目立たないアルツハイマー型認知症について

CASE 4▶家族が生活障害はないと述べる85歳,女性.アルツハイマー型認知症

CHAPTER V 改正道路交通法からみた認知症診療

受診経路

実際の病歴聴取の進めかた

CASE 5▶妻の病歴が役に立たない80歳,男性.アルツハイマー型認知症

実際の問診の進めかた

CASE 5▶妻の病歴が役に立たない80歳,男性.アルツハイマー型認知症

診察室での患者の様子を観察する

1.取り繕い反応

CASE 6▶76歳,女性.アルツハイマー型認知症HDS-R:18点

CASE 7▶80歳,女性.アルツハイマー型認知症HDS-R:16点

2.頭部振り向き現象

3.身だしなみ 整容を観察する

4.患者が醸し出す雰囲気

認知機能検査(神経心理検査)の実際

神経心理検査判定のコツ

CASE 5▶妻の病歴が役に立たない80歳,男性.アルツハイマー型認知症のHDS-R

臨床検査(血液検査など)は必要か

脳形態画像検査は必須

CASE 8▶慢性硬膜下血腫が判明した85歳,男性

CASE 9▶脳腫瘍の存在が判明した 65歳,女性

診断をどう考えていくか

病歴と問診・診察,HDS-Rの組み合わせから診断を考える

当センターにおける臨時適性検査の紹介

CHAPTER VI 診断書作成への対応,リスク,自主返納

警察庁の診断書と愛知県版の診断書

診断書作成を依頼されたときの対応

自身で作成できる患者と認知症専門医療機関に任せたほうがよい患者を区分けする

日本医師会作成の手引きの問題点と注意点

診断書作成に伴うリスクを考える

CASE 10▶診断に納得しない78歳,男性

自主返納を勧める

事例からみた自動車運転を止めさせる方法とは

CASE 11▶79歳,男性.運転を止めないアルツハイマー型認知症

CASE 12▶78歳,男性.アルツハイマー型認知症

運転を止めさせるための対策

運転を止めると認知症は進行するのか

CHAPTER VII 事例から診断書作成を考える

CASE 13▶典型的な認知症の病像を示す74歳,男性

CASE 14▶かかりつけ医が診断書作成をできないとのことで紹介になった80歳,男性

CASE 15▶交通事故を契機に受診してきた73歳,男性

CASE 16▶臨時適性検査に関する事前確認通知書を経由して受診してきた85歳,男性

CASE 17▶非認知症と診断した81歳,男性

CASE 18▶家族が診療に対して不満を示す84歳,女性

CHAPTER VIII 疑義事例からみた診断書作成の問題点

CASE 19▶診断書に病名以外の記載がない89歳,女性

CASE 20▶診断書に整合性が欠ける84歳,男性

CASE 21▶前医ではアルツハイマー型認知症と診断されたが軽度認知障害(MCI)であった82歳,男性

CASE 22▶前医の診断書で整合性に欠ける86歳,男性

CHAPTER IX 改正後の運転免許更新の実態

著者の外来での実態

1.性別,年齢別

2.受診経路の検討

3.診断の内訳

4.認知機能検査の総得点の検討

5.認知機能検査(神経心理検査)の分析

6.問診票からみた分析

7.診断後の経緯

警察庁の統計からみた実態

CHAPTER X 改正道路交通法運用後の問題と課題

改正道路交通法における認知症の定義の曖昧さ

医師の診断書作成能力

認知症と診断される割合が低すぎるのではないか

免許取消し後の移動手段の乏しさ

運転経歴証明書発行の不公平さ


索引

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