Part I.総論
1.概念と定義
A.概念と定義
B.ILAEの発作分類とてんかん分類の変遷
C.てんかんの治療は「炭・石炭の火種を消す」こと
2.診断・検査
A.診断の手順
B.発作情報の整理
C.非発作性情報の整理
D.検査
E.てんかんの診断
F.鑑別診断
3.治療① 薬物療法
A.無投薬例への投薬の開始
B.第一選択薬が無効であった場合の第二選択薬
C.難治例への投薬
D.特異な状況における薬物療法
E.減薬・減量・投薬中止
F.いつ,どのタイミングで専門医へ紹介するか
4.治療② 外科的治療など
A.てんかん外科治療の歴史と現況
B.外科治療の適応判断
C.術前検査
D.頭蓋内脳波
E.基本的な開頭手術の術式と有効性
F.その他の準外科的治療
G.てんかん外科の合併症
PartⅡ.実証例から学ぶてんかん診断と治療
<診断>
症例1 失神とてんかん発作との鑑別は
その① 主訴:四肢を硬くして意識を失って倒れ,時に失禁する 17歳 女性 右利き
その② 主訴:突然意識を失い,全身が硬直する.その後ボタンをまさぐるなどの動作を伴う場合と,倒れて白目をむく場合がある 53歳 男性 右利き
症例2 過眠症とてんかん発作との鑑別は
主訴:仕事中に急に眠くなる 36歳 女性 右利き 職業:設計プログラム
症例3 全身けいれんは必ずしも意識消失を伴わない
主訴:体がピクっと動く,時に意識もなくなる 27歳 女性 右利き
症例4 脳波と病歴のどちらが重要か
主訴:夜間に不安となり,四肢が"けいれん"する 43歳 男性 右利き
症例5 心因発作とてんかん発作は合併しうる
その① 主訴:出勤途中で意識消失,全身けいれんを繰り返す 22歳 女性 右利き
その② 主訴:問題行動の後に発作を繰り返す側頭葉てんかん患者 40歳 女性 右利き
症例6 最も多い急性症候性発作は
主訴:全身けいれん発作 51歳 男性 右利き
<一般治療>
症例7 部分てんかんの一般的な治療は
主訴:急に言葉が出なくなる,右半身に力が入らなくなる 50歳 男性 右利き
症例8 全般てんかんの一般的な治療は
主訴:全身けいれん発作 21歳 女性 右利き
症例9 精神症状を呈する患者における抗てんかん薬の選択は
主訴:「以前より不機嫌になり,てんかんの発作も増えている」(母親より)38歳 男性 右利き
症例10 腎疾患患者の抗てんかん薬の選択は
主訴:急にゾクゾクと気持ち悪くなる,別世界に行くような不安・恐怖を感じる 62歳 男性 右利き
症例11 脳卒中患者における抗てんかん薬の選択は
主訴:全身けいれん発作 70歳 男性 右利き
症例12 肝疾患患者における抗てんかん薬の選択は
主訴:1〜2分間意識がなくなり,周りの物を目的なくさわる発作 65歳 男性 右利き
症例13 どの時点で難治てんかんと呼ぶか またその治療法は
主訴:体が急に右へ引っ張られ回転する 10歳1か月 女児 右利き
症例14 皮疹出現後の第二選択薬は
主訴:ボーッとして記憶が飛ぶ 72歳 男性 右利き
症例15 てんかん患者の発作様症状は必ずしもてんかん性とは限らない 江刺家有希,太田貴幸,兼子 直
主訴:体がフワフワする,目の前がピカピカする,発作が起こりそうな感じ 36歳 男性 右利き
症例16 高齢者の抗てんかん薬選択で注意する点は
主訴:けいれん,異常行動,記憶障害 74歳 男性 右利き
症例17 新規抗てんかん薬に薬物濃度モニターは有効か
主訴:ふらつき 41歳 男性 右利き
症例18 良性の小児てんかんの治療は成人と異なる
主訴:てんかんと診断されたが,抗てんかん薬は必要か? 7歳10か月 男児 右利き
症例19 小児の難治てんかんの治療の大原則は
主訴:顔を向反させ上肢強直から始まる全身発作 12歳 女児 右利き
症例20 救急外来レベルでのてんかん重積治療法は
その① 主訴:全身けいれんの繰り返し 25歳 男性 右利き
その② 主訴:反応低下,左上肢の脱力 11歳 男児 右利き
症例21 新規抗てんかん薬は重積状態で有効か
主訴:意識がなく,けいれんしている 21歳 男性 右利き
症例22 成人の重積治療時の薬物療法の実際は
主訴:無言,右半身間代強直発作を繰り返すけいれん発作重積,意識障害 30歳 男性 右利き
症例23 小児の重積治療時の薬物療法の実際は
主訴:左上下肢のピクつきが右上肢,顔面に広がった進行性頭蓋骨骨折に伴う脳脱,硬膜下血腫
<外科治療>
症例24 外科的手法が最も有効なてんかんとは
主訴:意識を失い記憶を伴わない発作 30歳 女性 右利き
症例25 外科的難易度が高いが適応を考慮すべきてんかんは
主訴:ボーッとする.四肢を強直させ,転倒する 30歳 女性 右利き
症例26 迷走神経刺激療法は有効である
主訴:左上肢の脱力や右下肢の異常感覚を感じた後に,意識が減損する 10歳 女児 右利き
<長期展望>
症例27 急性脳炎の治療経過が良好であった場合の長期的展望は
主訴:結婚直後で,挙児希望.発作をおこしていないのですが,抗てんかん薬を服用する必要がありますか? 29歳 女性 右利き
症例28 治療の終結が難渋しがちなてんかんは
主訴:薬を止めたい 16歳 女性 右利き
<種々の問題>
症例29 妊娠時の適切な抗てんかん薬の使い方は
主訴:妊娠前に相談したい 31歳 女性 右利き
症例30 周産期の抗てんかん薬の使い方は
主訴:投薬調整の相談
症例31 遺伝子診断が臨床上役立つケースは
その① 主訴:発熱時にけいれんを繰り返す 1歳 女児 右利き
その② 主訴:てんかん発作の群発 11か月 女児 右利き
症例32 てんかん発作と自動車運転との関係は
その① 主訴:5年以上発作が抑制されている 18歳 男性
その② 主訴:2年間発作がない 20歳 女性
その③ 主訴:月単位で単純部分発作が生じる 25歳 男性
その④ 主訴:年単位で夜間睡眠中に発作が生じる 35歳 女性