腫瘍薬学

川西 正祐 中瀬 一則 大井 一弥 (編集)

南山堂

  • ISBN : 9784525726515
  • ページ数 : 573頁
  • 電子版発売日 : 2011年5月31日
  • 判 : B5判
  • 種別 : eBook版 → 詳細はこちら
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¥8,250 (税込)
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商品情報

発がんから抗がんまでのすべてを総括し、系統的かつ斬新的に薬学的視点からがんを解説した「腫瘍薬学」の電子書籍です。

■ 序文

われわれの身体を構成する細胞が何らかの因子による影響を受け,特に遺伝子に変異が起こることでがんになります.がん(腫瘍)細胞は,発生部位から増殖,浸潤し,さらに転移することもあり,進行度によっては,がんは死に至る病として認識されています.がんという疾患は,特定の個人に関わるものでなく,超高齢社会を迎えた現在は,加齢と共にがんの発症率が益々高まると考えられています.近年,画期的な新規抗がん薬が続々と開発されていますが,未だ,死亡原因の第1位はがんであり,根治に向けた研究がわが国だけではなく世界的に展開されています.また,治療だけでなく予防の重要性も強く認識されています.

薬学ががんに関与する分野としては,まず,生体が発がん因子に曝露されて,長期間にわたり標的である DNAに変化をもたらすことについて研究する発がん分野があります.ここには,がんの予防についての研究も含まれます.次いで検査・診断,そして,ナイトロジェンマスタードから,現在の化学療法剤に至る抗がん薬を探求する抗がん分野があります.さらには,がん患者に対するファーマシューティカル(薬学的)ケアを研究する分野もあります.

このようにがんの予防と治療への薬学的アプローチの重要性が増しているにもかかわらず,研究分野が多岐にわたるために,今日まで,がんという広い枠組みの中で,書籍化されたものはありませんでした.薬学に携わるものは,何冊もの専門書を紐解き,がんを習得してきた経緯があります.薬学モデル・コアカリキュラムを見ても,がんの領域は,衛生薬学,生物系薬学,薬物治療さらには,病院・薬局薬剤師の領域まで幅広く及んでいます.また,化学療法に関する専門書では,診断および治療のプロトコールを中心にした記述に主眼が置かれており,抗がん薬の薬学的管理についてほとんど触れられていません.

そこで,われわれは,発がんから抗がんまでのすべてを薬学的視点から総括でき,かつ医療薬学・臨床薬学において系統的かつ斬新的にがん患者ケアを可能にする学問を「腫瘍薬学」と定義しました.

本書はがん専門薬剤師を目指す方だけでなく,一般の薬学生や薬剤師,がん予防やがん治療に関わるすべての医療関係者にお読み頂ければ幸いであります.

最後に,本書の編集に多大なご協力をいただきました南山堂編集部 村井恵美様,古川晶彦編集長および関係諸氏に深謝いたします.


2010年 2月

編者を代表して
川西 正祐

■ 目次

1 がんの生物学

1 がんの発生

2 がんの増殖

3 がんの転移・浸潤

4 腫瘍の診断

2 がんの疫学と成因

1がん統計の概要

2 がんの疫学研究

3 がんの成因

3 発がん過程

1イニシエーションとプロモーション(多段階発がん)

2 発がん物質の代謝活性化による遺伝子損傷

3 活性酸素,一酸化窒素による遺伝子損傷

4 遺伝子変異・修復

5 がん関連遺伝子

4 発がん因子

1 化学的因子

2 生物学的因子

3 物理化学的因子

5 がんの予防

1 一次予防と二次予防

2 がんの化学予防

3 発がん性リスクアセスメント

4 発がん物質のスクリーニング法

6 がんの検査・診断

1 腫瘍マーカー

2 画像診断

7 がんの治療

1 治療のながれ

2 手術

3 放射線療法

4 化学療法

5 放射線化学療法

6 免疫療法

7 治療計画書の作り方とレジメン管理

8 レジメン管理の実際

8 抗がん薬の薬効・薬理

1 アルキル化薬

2 代謝拮抗薬

3 抗がん性抗生物質

4 天然由来抗がん薬

5 プラチナ製剤

6 ホルモン剤

7 がんワクチン

9 分子標的薬の薬効・薬理

1 分子標的薬の特徴

2 分子標的薬の分類

3 細胞外分子標的薬

4 細胞内分子標的薬

5 新たな分子標的薬

10 抗がん薬のPK-PD

1 医薬品におけるPKとPDの関係

2 抗がん薬の体内動態及び反応性に影響する蛋白質・受容体・遺伝子

3 抗がん薬のPK-PDと投与設計

4 腎不全及び肝疾患患者における抗がん薬の体内動態変動と投与調節

5 抗がん薬の時間投与と臨床効果

6 分子標的薬の体内動態と主な副作用

11 抗がん薬併用の理論と実際

1 併用の考え方

2 biochemical modulation

3 投与タイミング

4 エビデンスのある併用療法

12 抗がん薬の薬理遺伝学

1 薬剤応答と臨床薬理学

2 薬理遺伝学

3 抗がん薬の薬理遺伝学

4 イリノテカンとUGT1A1

5 遺伝的因子と後天的因子

13 各種がんの化学療法の有効性

1 化学療法で治癒が可能ながん

2 化学療法で延命が期待できるがん

3 化学療法で症状の緩和が期待できるがん

4 効果の期待が少ないがん

14 臓器別化学療法

1 頭頸部がん

2 消化器がん(食道がん,胃がん,大腸がん)

3 乳がん

4 肺がん

5 肝・胆・膵がん

6 造血器がん

7 泌尿器がん(前立腺がん,腎がん,精巣腫瘍,尿路上皮がん)

8 婦人科がん(卵巣がん,子宮頸がん,子宮体がん)

9 骨軟部腫瘍

10 皮膚がん

15 抗がん薬の使用上の管理

1 アルキル化薬

2 代謝拮抗薬

3 抗がん性抗生物質

4 プラチナ製剤

5 天然由来抗がん薬

6 ホルモン剤

7 その他

16 分子標的薬の使用上の管理

1 細胞外分子標的薬

2 細胞内分子標的薬

17 がん患者のファーマシューティカルケア

1 服薬説明

2 副作用対策と支持療法

18 腫瘍随伴症状

1 全身の異常症状

2 皮膚の異常症状

3 内分泌機能の異常症状

4 造血機能の異常症状

5 血液循環の異常症状

6 神経機能の異常症状

7 リウマチ様の異常症状

8 その他の腫瘍随伴症状

19 がん患者の感染管理

1 がん患者に特徴的な感染症の起因微生物

2 好中球減少期の感染症対策

3 好中球減少期の感染症予防

4 顆粒球コロニー刺激因子の使用

20 がん患者の栄養管理

1 がん患者における栄養管理の意義

2 がん治療期の栄養管理

3 終末期の栄養管理

4 がん患者の栄養状態

5 がん終末期の栄養管理法の選択

6 がん患者の代謝・栄養管理

21 がん患者の疼痛管理

1 疼痛管理の基礎知識

2 疼痛管理の実際

22 抗がん薬の調製

1 抗がん薬のリスク管理

2 抗がん薬調製に必要な機器・施設

3 抗がん薬の曝露

4 吸入毒性

23 抗がん剤の臨床試験

1 臨床第I相試験

2 臨床第II相試験

3 臨床第III相試験

24 がん患者と専門薬剤師

1 他職種から求められる薬剤師の専門性

2 がん専門薬剤師・がん薬物療法認定薬剤師

3 緩和薬物療法認定薬剤師

■ 特記事項

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