脳神経外科臨床マニュアル 改訂第5版

  • ページ数 : 1078頁
  • 書籍発行日 : 2018年12月
  • 電子版発売日 : 2019年12月25日
30,800
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商品情報

内容

臨床の現場で長く使われてきた定番マニュアルの改訂版。今改訂版では初版の理念に立ち返り、ベッドサイドエッセンスをわかりやすく解説することに注力。人の患者を前にした脳神経外科医が、良い治療を実現するための手助けとなる知識と方法を具体的に解説。脳神経外科の臨床に携わる脳外科医に必携の書。

序文

改訂第5版 序文

1989 年の初版発行から30 年が経過した.その間,脳神経外科の進歩に対応して4回の改訂を行ったが,それぞれの改訂時には,当然,新知見を紹介し,移り行く時代の要求を反映することが盛り込まれた.しかし,いずれの改訂時にも,初版発行時の理念であった,一人の患者を前にして良い脳神経外科臨床を実現するための大切な要素を記載した本であることを心がけた.ここでの大切な要素とは,基本知識という一般的な意味のほかにもう一つ,端 和夫が個人的に考えた,それぞれの時代に応じてわが国の脳神経外科医に求められていると感じる努力目標が含まれている.初版での重点は,治療成績に決定的な影響を持つにもかかわらず当時さほど重要視されていなかった厳密な全身管理であった.改訂第2 版,第3 版の場合には外科治療の可能性を拡大させる高度な手術技術であり,第4 版の場合には幅広い知識の獲得であった.これらの重点項目を意識した改訂版が,当時の脳神経外科社会にどれほど受け入れられたかは知る由もないが,より良い臨床の実現を目指すわが国の脳神経外科医のために役立ったことを願っている.

しかし残念ながら,端 和夫をはじめ田邊純嘉,上出廷治など,今までの改訂に力を尽くした者たちは,すでに臨床の現場から遠ざかって長い年月が経ってしまい,もはや最新の脳神経外科臨床の現実を実感することができなくなった.そして,大切な要素を盛り込む改訂に着手できず,長い間多くの方々に使っていただいた本書のリニューアルが延び延びになっており残念な思いであった.

ところが幸いにして,三國信啓が改訂のリーダーとなってくれることになり,また丸善出版の承諾を得ることができて,改訂第5 版を制作することが実現した.そしてこの改訂版の基本姿勢は,初版の理念にもう一度立ち返ることに決まった.今回は特に重点項目はないが,「一人の患者を前にした脳神経外科医が,良い治療を実現するための手助けとなる知識と方法が具体的に書かれている」というわけである.

執筆者は多くが札幌医科大学脳神経外科の関係者で,中にはまだ若い人たちもあるが,その人たちの視点が反映されているという良い面もあるかもしれない.至らぬところは三國信啓をはじめ丹羽 潤,大滝雅文,野中 雅,南田善弘,鰐渕昌彦が手助けした.小児脳神経外科に関する項目は吉藤和久が担当したが,大阪総合医療センターの坂本博昭博士に校閲と執筆もお願いした.約20%の節は札幌医科大学関係者以外の執筆者で,ほとんどは第4 版の執筆者であるが,新たに数人の方に執筆をお願いした.その中には,途方もない手術経験を持っておられ,端 和夫が尊敬する大変な勉強家の富永紳介博士の脳動静脈奇形の手術の項目もある.最終的にはすべての項目について端 和夫と三國信啓が査読,校閲し,執筆者に注文を出した.

その結果でき上がったのが本書であるが,初版と同様に,自分の手で良い治療を実現しようと思っている脳神経外科医に役立つ本になることを願っている.

最後に丸善出版の安平 進,小西孝幸両氏には企画から上梓に至るまで何度も札幌まで出向いていただいたことを含め,大変なご苦労をいただいた.心からの感謝の意を表する.


2018年 晩秋

端 和夫,三國 信啓

目次

I 初期診察に関わる事項

1 頭痛,めまい

2 意識障害

3 認知症診断

4 末梢神経障害の診かた

II 機器診断に関わる事項

5 腫瘍性病変のMRI 診断

6 急性期脳梗塞の画像診断

III 術前,術後に関する事項

7 術前の全身評価

8 高齢者管理の注意

9 下垂体ホルモン検査と補償療法

10 脳神経外科領域での輸液・栄養管理

11 血圧管理

12 心不全・不整脈

13 深部静脈血栓症,肺塞栓

14 呼吸管理 ─ 呼吸不全とその対策

15 急性腎障害の治療

16 血糖

17 水電解質異常 ─ 尿崩症,SIADHなど

18 DIC

19 周術期感染症対策

IV 各種評価スケール

20 各種評価スケール

V 小児の問題

21 小児の診察と画像検査

22 新生児頭蓋内出血

23 小児脳脊髄腫瘍

24 脳外液貯留(硬膜下液貯留・くも膜下腔拡大)

25 水頭症

26 二分脊椎

27 くも膜嚢胞

VI 血管内手術

28 脳動脈瘤の塞栓術

29 血管形成術,ステント留置術

30 血栓回収療法急性期脳梗塞に対する血管内治療

VII 脳血管障害

31 破裂脳動脈瘤の治療

32 頚部頚動脈狭窄症CEA(carotidendarterectomy)の工夫

33 脳動脈瘤手術の工夫

34 脳動静脈奇形(AVM)手術のポイント

35 脳動脈解離(解離性脳動脈瘤)

36 海綿状血管腫

37 巨大脳動脈瘤

38 もやもや病

39 硬膜動静脈瘻

VIII 脳腫瘍

40 放射線・化学療法

41 覚醒下手術

42 中枢神経系原発悪性リンパ腫の診断と治療

43 胚細胞腫

44 髄膜腫手術の基本

45 頭蓋咽頭腫の手術

46 聴神経腫瘍とその手術

47 頚静脈孔部神経鞘腫の手術

48 眼窩腫瘍とその手術

IX てんかん,不随意運動など

49 てんかん焦点診断

X 外傷

50 頭部外傷(traumatic brain injury:TBI)診察のポイント

51 脊椎・脊髄外傷

XI 脊椎,脊髄疾患

52 脊髄のレベル診断

53 頚椎前方アプローチ

54 後方アプローチ

55 脊髄硬膜内腫瘍の手術

56 頭蓋頚椎移行部の手術

XII 手術に関する事項

57 手術に役立つ三次元画像

58 術中モニタリング

59 開閉頭法

60 末梢神経の手術

61 Pterional approach

62 Anterior interhemispheric approach, anterior craniofacial approach

63 Occipital interhemispheric a pproach

64 Transpetrosal approach

65 Transcondylar approach

66 Transsphenoidal surgery (T/S)

67 脳室へのアプローチ

XIII 将来の話題

68 遺伝子カウンセリング

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書籍情報

  • ISBN:9784621303481
  • ページ数:1078頁
  • 書籍発行日:2018年12月
  • 電子版発売日:2019年12月25日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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