みる見るわかる脳・神経科学入門講座 改訂版 前編

  • ページ数 : 191頁
  • 書籍発行日 : 2008年11月
  • 電子版発売日 : 2015年3月13日
¥3,960(税込)
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商品情報

内容

はじめて学ぶ、脳の構成細胞と情報伝達の基盤

基礎知識が一気に学べると好評の入門書が大幅改訂!重要事項を網羅し、ポイントを押さえたシンプルな解説と豊富な図で、複雑な脳の構造と機能がスッキリ理解できます。特に、伝達物質で切った解説は、分子から機能への道のりが見える他に類がない構成!

※前編・後編の通読をおすすめします
みる見るわかる脳・神経科学入門講座 改訂版 後編 はこちら

序文

脳の重さは,ヒトで約1,400 gと体重の2%を占めるにすぎない.しかし,この小さな臓器が,見る,聞く,感じる,話す,考える,覚える,思い出す,喜ぶ,怒る,動く...... 個人-集団-社会-文化-文明を形づくる基盤となる.

脳の損傷や短時間の血液供給停止により,これらの脳機能は永続的に失われる.ヒト以外の動物種,例えばその脳重量がヒトの1,000分の1のラットでも,その種と個体が生存するのに必要で十分な脳機能を備えている.種の進化や特殊化に伴って脳の外形や大きさは著明な変化を遂げるが,その構造と機能の基本は驚くほど保存されている.

われわれの脳には約2,000億個のニューロンが存在し,シナプスという接点を介して神経回路を形成し,神経情報の伝達と処理を行っている.からだを構成するさまざまな細胞の中で,ニューロンは情報の伝達と統合のため,その構造と機能を極限にまで特殊化させた細胞であるといってよい.ニューロンの分化,機能,生存を支えるため,ニューロンの数の10倍ものグリアが存在している.

脳は,さまざまな神経伝達物質や受容体などのシグナル分子を使って,情報の伝達と統合を行っている.ミクロ的には伝達物質ごとに見事な整合性をもつ分子配置によってそれぞれの化学的伝達システムを構成し,マクロ的には複数の伝達システムが巧妙に組み合さることで不思議で見事な脳機能を実現している.例えば,覚醒中なら大脳皮質に届いてその意味するところを認知できる刺激なのに,それが睡眠中だと大脳皮質に刺激は届かなくなり,揺り動かしてもなかなか覚醒しないこともある.反対に,恐怖や興味が高まる状況では,普通なら聞き逃してしまうくらいの軽微な音や雰囲気も敏感に察知し,不安で眠ることもできなくなる.おとといの食べたものすら思い出せないのに,感情を揺さぶる出来事があった日のことは何十年前のことでもありありと覚えている.このような脳機能を理解するには,ニューロンの基本構造と機能特性,神経情報の伝導とシナプス伝達,それを可能にしている分子の仕組み,脳各部の構成と機能などの統合的把握が基盤になる.

脳科学に関する著書のほとんどは,分厚い教科書か,最新の研究トピックを紹介する特集号のどちらかである.本書はそのどちらもない,脳研究に興味があるがまだ勉強も研究も始めていない大学生や,脳研究を始めて間もない大学院生や若手研究者を念頭において,脳の構造と機能の基本的理解を助けるための手引書のようなつもりで初版を2002年に発行した.それから6年,予想をはるかに越える反響に励まされ,またその間北海道大学で行ってきた全学教養科目,医学専門科目,大学院共通授業科目の内容も追加し,初版の中で基本的で重要な部分(上巻)を膨らませる形で,今回大幅な改訂を行った.

今回の改訂は,実際に研究を推進している若手研究者まで対象を広げ,例えば電気生理を勉強している人には形態や分子の役割が理解でき,分子や細胞を扱う人には形態や機能が参考となるような脳科学のサブテキストを念頭において行った.その意味において,導入的入門書としての初版の目的と役割は今でも生きており,この改訂版はその先のアドバンスト入門書にもなるようにしたつもりである.


2008年 11月

渡辺雅彦

目次

第1章 脳の構成細胞:ニューロンと支持細胞

1 ニューロンの基本構造

1.樹状突起

2.細胞体

3.軸索

4.終末部

5.ニューロンの分類

2 ニューロンの機能特性

1.イオン輸送体による膜電位の制御

2.興奮と抑制

3 神経情報の伝導と伝達

1.シナプス後電位の発生

2.活動電位の発生

3.伝達物質の放出

4 ニューロンを支える脳の支持細胞

1.グリア細胞による支持

2.アストロサイト(星状膠細胞)

3.オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)

4.ミクログリア(小膠細胞)

5.その他のグリア細胞

6.脳の血管による支持

7.髄膜

8.脳室と脈絡叢

第2章 シナプスの構造・機能・分子

1 化学シナプス

1.化学シナプスの基本構造

2.神経伝達物質の種類と機能

3.小胞膜トランスポーターの機能

4.受容体の種類

5.イオンチャネル型受容体

6.代謝型(Gタンパク共役型)受容体

7.シナプスの足場タンパクと接着因子

8.神経伝達物質の除去機構

9.化学シナプスの分類

10.化学シナプスによる微小回路

11.シナプス伝達とボリューム伝達

2 電気シナプスによる情報伝達

1.形態学的な実体はギャップ結合

2.脳のギャップ結合

第3章 脳のシグナル伝達(1):興奮と抑制の伝達

1 グルタミン酸による興奮伝達

1.グルタミン酸シグナル伝達システム

2.グルタミン酸受容体は活動じかけのCa2+流入装置

3.グルタミン酸とシナプス可塑性

4.グルタミン酸と海馬と記憶・学習

5.グルタミン酸とシナプス回路発達

6.グルタミン酸と神経細胞死

2 GABA(γアミノ酪酸)による抑制伝達

1.GABAシグナル伝達システム

3 GABA受容体の種類と活性化

2.GABAを放出する抑制性介在ニューロン

3 脳波の変化を調節する

3.GABAとてんかん

4.GABAと感覚性ゲート

5.GABAと視覚野の臨界期

3 グリシンによる抑制伝達

1.グリシンシグナル伝達システム

2.びっくり病とグリシン伝達機構

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