臨床の疑問に答える 静脈麻酔Q&A99

  • ページ数 : 244頁
  • 書籍発行日 : 2015年10月
  • 電子版発売日 : 2017年7月28日
¥4,950(税込)
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商品情報

内容

静脈麻酔を行う全ての医師におすすめ!

「コンパートメントモデルって何…?」「術中覚醒の防止策は?」「プロポフォールを大量に投与してしまったら?」など、日本臨床で遭遇する静脈麻酔の疑問や悩みに答えます!

序文

1995年,静脈麻酔薬プロポフォールの販売が始まり,日本の静脈麻酔は夜明けを迎えました.その後,プロポフォールのプレフィルド製剤とTCI(target controlledinfusion)が認可され,また,2007年にはレミフェンタニルが発売開始となり,全静脈麻酔(TIVA:total intravenous anesthesia)を行う環境が整いました.今年2015年は,日本の静脈麻酔にとって成人式を迎える年です.

静脈麻酔薬は吸入麻酔薬と比べて,覚醒の質が高い,術後の嘔気嘔吐が少ない,麻酔薬の曝露がないなど優れた特徴があります.しかし,とりあえず気化器のダイアルを回せば麻酔ができる吸入麻酔と比べると,薬物動態や脳波モニタリングの理解が必要な静脈麻酔は敷居が高いことも事実です.もちろん,学会などでは静脈麻酔に関する講演もあり,また,関連する書籍も出版されていますが,数式や難解な用語に圧倒され,それだけで静脈麻酔を敬遠している人もいるでしょう.

比較的新しい"文化"である静脈麻酔は,普及の状況が施設間でかなりの差があることも言われています.静脈麻酔を積極的に実施している施設もあれば,ほとんど行っていない施設もあります.また,静脈麻酔について先輩麻酔科医に聞いても納得できる回答が得られなかったり,逆に,後輩から静脈麻酔に関する質問を受けてもうまく説明できない指導医がいるという話も聞こえてきます.

そこで,自他共に認める静脈麻酔のエヴァンジェリスト(伝道者)に集まっていただき,静脈麻酔の"文化"を広く,正しく浸透させることを目的として本書を企画しました.本書は静脈麻酔の臨床を学べるノウハウ本です.日常の麻酔業務のなかで知りたい事柄や疑問に思っていることが即座に得られるように,静脈麻酔に関する99の質問を選んで,一問一答形式で解説しました.しかし,ただのノウハウ本ではありません.解説には"なぜ,そのようにするのか?"という理論や考え方を記載しました.本書は,静脈麻酔の正しい理解にきっと役立つはずです.

プロポフォールが国内に導入されて20年,これからも静脈麻酔は進化を続けていくはずです.静脈麻酔の経験が少ない人だけでなく,静脈麻酔に慣れている人にとっても,本書が役立つことを確信しています.


2015年10月

静脈麻酔のエヴァンジェリストを代表して
内田 整

目次

第1章 TIVAを行うために必要な知識

1 TIVAとは,TCIとは?

Q1 吸入麻酔と比較したTIVAの利点は何ですか?

Q2 TIVAの適応・禁忌について教えてください

Q3 TCIとはどのような投与方法ですか?

Q4 TCIの予測血中濃度と実測血中濃度の差はどのくらいですか?

2 TCIポンプと輸液回路

Q5 TCIポンプ(テルモ社TE-371)の基本的な使い方,画面の見方を教えてください

column 体重が不明の場合,体重がTCIポンプの設定範囲外の場合

Q6 TCIでは,TCIポンプ以外からプロポフォールを投与してはいけないのはなぜですか?

Q7 TCIポンプがない場合,TIVAはできないのでしょうか?

Q8 輸液回路やシリンジの準備で気をつけることを教えてください

3 TIVAと脳波モニタリング

Q9 TIVAにおけるBISモニターの基本的な使い方,見方を教えてください

Q10 麻酔中にBIS値が上昇した場合の対応を教えてください

Q11 プロポフォールの目標濃度が適切にもかかわらず,BIS値が異常に低い(20〜30台)場合はどう判断すればよいでしょうか?

Q12 プロポフォールの濃度を上昇させてもBIS値が高いままの場合,吸入麻酔薬に変更すべきでしょうか?

Q13 オピオイド,特に高用量のレミフェンタニルは脳波やBIS値にどのように影響しますか?

Q14 プロポフォールにケタミンやミダゾラムを追加した場合,脳波やBIS値にどのように影響しますか?

Q15 脳波電極の位置は鎮静度評価に影響するのでしょうか?

Q16 脳外科手術,耳鼻科手術のようにBISモニターの装着が困難な場合には,何を指標に鎮静度を管理すればよいでしょうか?

column BISモニターがない場合のTIVAの管理

第2章 TIVAによる麻酔管理

1 麻酔導入と維持

Q17 TIVAの麻酔導入から手術開始までの薬物投与と手順について教えてください

Q18 TIVAの麻酔導入では,プロポフォールとレミフェンタニルのどちらから開始すべきですか?

Q19 導入時のプロポフォール注入痛を緩和する方法を教えてください

Q20 麻酔導入時にレミフェンタニルで換気困難になることがあります.対処方法を教えてください

Q21 TIVAで麻酔導入を行う場合の血圧低下への対処方法を教えてください

Q22 TCIでrapid sequence inductionを行うコツを教えてください

Q23 TCIを使用しないTIVAの導入で,プロポフォールの効果の個人差を評価できますか?

Q24 麻酔導入時,TCIポンプの目標血中濃度は患者ごとに変更してもかまわないでしょうか?

Q25 麻酔維持中のプロポフォールの適正目標血中濃度は何を指標に決めるのですか?

Q26 麻酔維持中に血圧が低下した場合,麻酔薬を減量してもよいでしょうか?

Q27 麻酔維持中の急激な血圧上昇や体動にはどのように対処すればよいですか?

Q28 麻酔維持中のプロポフォール目標濃度は一定でよいのでしょうか?

column 薬物血中濃度に対する心拍出量の影響

Q29 レミフェンタニルとフェンタニルの併用時に効果部位濃度を加算して考えてよいのでしょうか?

Q30 レミフェンタニルで維持しているときにフェンタニルを投与する意味は何でしょうか?

Q31 TIVAから吸入麻酔へ,あるいはその逆への切り替えの要点を教えてください

2 麻酔からの覚醒・抜管

Q32 手術終了後,プロポフォールとレミフェンタニルを減量,停止するタイミングを教えてください

Q33 覚醒時のフェンタニル効果部位濃度はどの程度が適正ですか?

Q34 Transitional opioidのポイントを教えてください

Q35 自発呼吸の再開が遅い場合の対処方法を教えてください

Q36 TIVAからの覚醒遅延の予防策・対応を教えてください

Q37 吸入麻酔からの覚醒方法とTIVAからの覚醒方法の違いを教えてください

Q38 抜管後に疼痛が強い場合,フェンタニルを追加してもよいでしょうか?

Q39 抜管後のシバリングの予防策・対応を教えてください

Q40 術後iv-PCAを行う場合,術中のオピオイドはどのように投与すればよいでしょうか?

Q41 術後,抜管せずに鎮静を継続する場合はプロポフォールやオピオイドはどのように投与しますか?

3 TIVAの危機管理

Q42 術中覚醒を防止するには何に注意すればよいでしょうか?

Q43 間違った体重でTCIを開始した場合,どのような対応をとればよいですか?

Q44 麻酔維持中に点滴漏れを発見した場合,どのように対処すればよいでしょうか?

Q45 途中でTCIポンプが故障した場合の対策を教えてください

Q46 プロポフォール投与後に気管支けいれんが発生した際の対応を教えてください

Q47 TCIで麻酔管理した患者が退室から短時間で再手術を受ける場合の注意点を教えてください

Q48 プロポフォールを大量投与してしまった場合の対処を教えてください

Q49 プロポフォール静注症候群とは何ですか?

Q50 麻酔中に変色尿が出た場合,プロポフォール投与を中止した方がよいのでしょうか?

第3章 さまざまな患者,病態に対するTIVA

1 各種手術におけるTIVAのコツ

Q51 声門上器具を使用する場合のTIVAのコツを教えてください

Q52 短時間手術におけるTIVAの問題点やコツを教えてください

Q53 長時間手術におけるTIVAの問題点やコツを教えてください

Q54 区域麻酔併用時のTIVAのコツを教えてください

Q55 開腹手術におけるTIVAのコツを教えてください

Q56 心臓手術におけるTIVAのコツを教えてください

Q57 人工心肺中はプロポフォールやレミフェンタニルの投与設定を変更する必要がありますか?

Q58 大量出血時のTIVAの問題点を教えてください

Q59 脳外科手術におけるTIVAのコツを教えてください

Q60 頭頸部や気道に関する手術に対するTIVAのコツを教えてください

Q61 電気生理学的モニタリングを行う症例に対するTIVAについて教えてください

Q62 覚醒下開頭手術におけるTIVAの利点・コツを教えてください

Q63 自発呼吸下でプロポフォールを投与する際のコツ,注意点について教えてください

Q64 術前からプロポフォールで鎮静を受けている患者のTIVAはどのように行いますか?

Q65 眼科手術におけるTIVAの利点・コツを教えてください

column 就眠を確認するための"声かけ"のタイミング

2 肥満患者,高齢者,臓器障害のある患者のTIVA

Q66 TIVAで麻酔を行う場合に注意すべき病態や手術は何ですか?

Q67 肥満患者の場合,ポンプへの体重設定はどの数値を使えばよいですか?

Q68 肥満患者へのオピオイド投与量はどのように決めるのでしょうか?

column 肥満患者における抜管時のフェンタニル濃度

Q69 筋肉太りの患者の薬物動態は肥満患者と同じなのでしょうか?

Q70 高齢者のTIVAで注意すべき点を教えてください

Q71 肝機能障害,腎機能障害がある患者にTIVAを行う場合の注意点を教えてください

Q72 輸液による希釈や出血は,TCIや予測効果部位濃度に影響しますか?

column プロポフォールでレミフェンタニルを溶解して1台のシリンジポンプで投与したいのですが...

3 小児に対するTIVA

Q73 小児でTIVAを行うメリットは何ですか?

Q74 小児のTIVAではどのようにプロポフォールを投与するのですか?

Q75 小児でディプリフューザーTCIが使えない理由を教えてください

Q76 小児のTIVAにおける鎮静度の管理を教えてください

Q77 小児のTIVAでは,どのくらいの量のレミフェンタニルを投与しますか?

Q78 小児のTIVAでは術後鎮痛はどのようにするのでしょうか?

Q79 小児のTIVAではプロポフォールの薬物動態シミュレーションにどのモデルを使えばよいのでしょうか?

Q80 小児のTIVAの覚醒方法は成人とどう違うのでしょうか?

第4章 TIVAをもっと知る

1 薬物動態・薬力学とモデル

Q81 コンパートメントモデルとは何を表すものでしょうか?

Q82 生理学的モデルとは何ですか?

Q83 薬物動態モデルの名称(Marshなど)は何を意味するのですか? また,モデル間の違いは何ですか?

Q84 コンパートメントモデルの各パラメータ(Vi,kijなど)の意味を教えてください

Q85 効果部位濃度とは何ですか?

Q86 ke0とは何ですか? その値は麻酔導入や覚醒にどのように影響しますか?

Q87 薬物の用量反応曲線(dose-response curve)とは何を表すものですか?

Q88 薬効の違いを説明する potency,efficacyとはどういうことですか?

Q89 Context-sensitive half-time(CSHT)とは何を表すものですか?

Q90 鎮痛薬と鎮静薬の相互作用について教えてください

Q91 Response Surfaceの見方について教えてください

Q92 薬物動態モデルを利用した濃度予測はあらゆる患者に適用できるのでしょうか?

Q93 薬物動態モデルの精度はどのような方法で評価するのでしょうか?

Q94 LBMが使われている薬物動態モデルの問題を教えてください

column 3-コンパートメントモデルの微分方程式

column 薬物動態モデル・薬力学的モデルの作成方法

2 Open TCI

Q95 Open TCIとはどのような薬物投与方法ですか?

Q96 Open TCIで薬物動態モデルを選択する際の留意点を教えてください

Q97 薬物動態モデルが異なると目標濃度の設定にも違いが出ますか?

Q98 効果部位をターゲットとするTCIについて教えてください

Q99 レミフェンタニルをTCIで投与する利点は何ですか?

付録 その他

column 安全に静脈麻酔を行うために

付録① 臨床に役立つ薬物動態シミュレーションソフト

column 薬物動態シミュレーションソフトを学会や論文で使う場合のマナーや注意点

付録② 薬物動態モデル一覧

付録③ 静脈麻酔を理解するための用語集


文献一覧

執筆者一覧

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書籍情報

  • ISBN:9784758111140
  • ページ数:244頁
  • 書籍発行日:2015年10月
  • 電子版発売日:2017年7月28日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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