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がん研スタイル 癌の標準手術 食道癌

  • ISBN : 9784758315067
  • ページ数 : 216頁
  • 書籍発行日 : 2016年3月
  • 電子版発売日 : 2018年11月2日
  • 判 : A4判
  • 種別 : eBook版 → 詳細はこちら
販売価格 (ダウンロード販売)
¥14,300 (税込)
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商品情報

がん研有明病院で行われている食道癌の標準手術(がん研スタイル)を豊富なイラストで解説!

「がん研有明病院」で行われている食道癌の標準手術(がん研スタイル)を,手術手順に沿って,各場面でのポイントをイラストで示しながら手技上の注意点・コツをわかりやすく解説。癌の基本的な手技を学ぼうとする若手外科医にとっては,どこにいても現在トップレベルの癌専門施設での手技が学べる書籍。

■がん研スタイル 癌の標準手術  結腸癌・直腸癌

■ 序文

刊行に当たって

標準手術は不変ではなく,医学の進歩に伴って変化してゆくものである。一方で,手術にはその基本あるいはprinciple というべき部分が存在し,これは短期間で大きく変わることはない。

わが国における癌手術のprinciple は1960 年代から,癌研外科の梶谷 鐶先生をはじめとした多くの先達の努力により確立されてきた。単に病巣を切除することから,系統的なリンパ節郭清を伴う「根治切除」という概念が普及したことが,手術成績の向上に大きく寄与した。その後は,拡大郭清,拡大切除へと,さらに挑戦が続けられてきたが,大きな成果を得るには至らなかった。外科手術という局所治療の限界が示されたといえよう。癌がある程度進行するとこれはもはや局所の疾患ではなく,全身疾患として取り扱うべきであるという認識が確立してきた。そして,乳癌温存手術に代表されるように,術後の整容性や機能などを温存する手術も広がりをみせてきた。これに,抗癌剤などの薬物治療や放射線治療の進歩が加わり,癌治療のprincipleは少しずつ変わってきている。

癌治療のprinciple は「癌治療ガイドライン」という形で,2000 年頃から学会や研究会が中心となり取りまとめられるようになった。その嚆矢とも言うべきものは日本胃癌学会が刊行した「胃癌治療ガイドライン」であり,その後多くの癌腫についてガイドラインが公表されている。本書における外科手術のprinciple は,基本的にこれらガイドラインに沿ったものである。

手術に際しては局所解剖と癌病巣の広がりを,正確に知ることが必須である。X線CT,MRI,超音波などの画像診断機器の性能は飛躍的に高まり,術前に脈管の走行や癌の広がりがより精緻に理解されるようになった結果,局所解剖の理解は大いに深まった。また,腹腔鏡下手術により新しい視野が得られ,しかも拡大視が可能になった結果,鏡視下の局所解剖とでもいうべき新しい分野が発展してきた。つまり,鏡視下手術において展開される精緻な局所解剖は,通常の直視下で展開されてきた視野で得られるものとは全く異なっており,直視下手術で理解していた知識だけでは不十分であることが明らかになってきたのである。

本書の図譜は直視下と鏡視下の解剖を理解した外科医がイラストレーターとともに,協同作業を行うことで作り上げたものである。したがって,ここには単に形態だけでなく,癌手術のprinciple に基づいた新たな局所解剖がそこに再現されている。執筆担当者とイラストレーターの努力に,心から敬意を表したい。

がん研が2005 年に有明に移転したときに,1960 年代の梶谷先生の手術フィルムが倉庫から発見された。そこに展開されていた梶谷先生の癌根治手術は,電気メスや縫合材料は古いものの,そのprinciple において現在われわれの行っている手術と何ら変わらないであったことに驚愕した。

「がん研スタイル 癌の標準手術」は簡単には変わらない癌外科手術のprincipleに則った,標準的手術を示したものである。癌手術を学ぶ者にとって,本シリーズが少なくとも10 年は座右の書となることを確信している。


2014年1月

がん研有明病院

山口俊晴



序文

食道癌手術は消化器癌の手術の中で最も侵襲の大きな手術のひとつである。これには,食道が頸部・胸部・腹部にわたる縦に長い臓器であり,縦隔の最深部に位置して多くのvital organと境を接するという解剖学的な要因と,食道癌が比較的早期から頸部・縦隔・腹部の広い範囲にリンパ節転移をきたすという腫瘍学的な特性が関与する。このため,食道癌手術には正確な解剖学的知識と経験に基づいた高度な手術手技が求められる。

近年,食道癌に対する外科治療は2 つの要因で大きな変化を遂げつつある。ひとつは術前を中心とした補助療法の標準化であり,もうひとつは鏡視下手術の導入である。現在,切除可能な進行食道癌に対しては術前治療を行うのが世界的なコンセンサスである。わが国では術前化学療法が標準治療となったが,術前治療が入るからといってリンパ節郭清をおろそかにしてよいわけではない。確実なリンパ節郭清があって初めて補助療法による生存期間の延長が得られる。鏡視下手術は食道癌手術の過大な侵襲を軽減し,術後合併症を減少させることが期待される。しかしながら,適切な適応の判断と技術の習熟があって初めて低侵襲が実現できることを忘れてはならない。

食道癌治療で最も大切なものは治療戦略の構築である。がん研有明病院では年間200 例を超える食道癌の初診症例があり,食道外科・消化器内科・内視鏡科・放射線治療科で構成される食道カンファレンスで全例の治療戦略を検討する。これらの症例のうち,毎年100 例以上が食道切除によって治療されるが,手術症例においては,患者の全身状態と腫瘍の進行度を考慮しながら,適切な術式を選択する必要がある。また,食道癌手術の安全性を担保するためにはチーム医療による周術期管理が重要である。

本書には,これら治療戦略の構築や手術のプランニング,周術期管理における「がん研スタイル」を盛り込んだ。全体を総論と手術手技に分け,総論においては治療戦略の判断基準を示すとともに,チーム医療に基づいた周術期管理についてまとめた。手術手技の章は切除,再建,特殊例,その他の手技で構成されるが,特に切除と再建に関して,その基本方針をそれぞれの冒頭に示した。手術手技にはそれぞれの術者の経験に基づいた様々なコツや工夫があり,時としてはそれが手術の成績を左右することもある。手術手技の各論に関しては,できるだけこのようなコツや工夫がイラストで伝えられるように心がけたつもりである。

手術手技に絶対的な正解はなく,それぞれの術者が,常に進化を求めながら自分のスタイルを築き上げる必要がある。本書が,これから食道外科専門医を志す若い外科医にとって,自分スタイルの食道癌手術を確立する一助となれば幸いである。


2016年2月

渡邊 雅之

■ 目次

Ⅰ.総論

1.手術適応の評価

2.術前管理

3.食道癌の麻酔・術中管理

4.術後管理

Ⅱ.手術手技

食道切除

1.切除術式の選択

2.右開胸食道切除術

3.胸腔鏡下食道切除

4.頸腹先行食道切除

5.食道抜去

6.頸部食道切除

7.食道癌に対する左胸腹連続切開アプローチ

8.経裂孔的下部食道切除


食道再建

1.再建術式の選択

2.胃管再建

3.結腸再建

4.有茎空腸再建

5.遊離空腸再建


特殊例に対する手術手技

1.サルベージ手術における留意点

2.頭頸部癌術後の食道癌手術

3.二期分割手術の適応と手技

4.食道バイパス術の適応と手技

5.再建胃管癌の手術


その他の手技

1.頸部郭清

2.腹部リンパ節郭清

3.経管栄養チューブの留置

■ 特記事項

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