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ジキル博士の変身薬

  • ISBN : 9784765314213
  • ページ数 : 227頁
  • 書籍発行日 : 2010年4月
  • 電子版発売日 : 2012年6月21日
  • 判 : 四六変判
  • 種別 : eBook版 → 詳細はこちら
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¥2,200 (税込)
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商品情報

楽しく薬の原点を理解できる「薬のふるさと紀行」
ロバート・スティーヴンソン作「ジキル博士とハイド氏」の変身薬に薬学的な考察を加えた、薬剤師、医師、看護師、またはそれらを目指す学生におすすめの一冊。

■ 序文

ロバート・スティーヴンソン(1850~1894年)作「ジキル博士とハイド氏」の一節に、「たった一杯の薬を飲むだけで、私は有名な大学教授の肉体を離れて、温かいオーバーでも着る気持ちで、エドワード・ハイドに変身できるのだ。そう思うと、心の奥底から密かな笑いが浮かんでくるのである」とある(各務三郎訳)。人類が誕生して以来、我々は薬という特殊な物質で、生命の維持、健康の充実、そして疾患の治療を行っている。言うまでもなく、薬は現代社会でもっとも重要、必要不可欠な物質であるといっても過言ではなかろう。大地震、大津波、火山爆発などの天災のあとで、繰り返し報道されるのは食料と医薬品の援助である。しかし、ジキル博士にとっての薬は、健康の維持でも、疾患の治療でもなく、自分の中に棲む獣性の解放であり、自由奔放に生きることが可能なハイド氏への変身であった。つまり変身薬の創薬を考え、実験に精をだし、成功した。一体どんな薬で変身が可能であり、凶暴な人間になるのだろうかと思い、薬理学的に考察を加えた。

米国文学の最高傑作はナサニエル・ホーソン(1804~1864年)の「緋文字」といわれている。学生時代に翻訳文(福原麟太郎訳)を読んだが、難解な小説で、途中を飛ばして、最後の一文だけが頭に残ったー「黒き地の上に、緋文字A」。ある罪を犯した女主人公に罰として胸に赤い文字「A」が付けられていた。舞台は独立後のボストンで、美貌の女性と医師である彼女の夫と教会の牧師の間での相克であった。最近、「緋文字」(鈴木重吉訳)を読むと、夫が薬の調合に慣れていることが分かった。訳文を引用すると、「昔は、錬金術を研究したし」と男は言い出した。「1年以上も薬草の天性をよく知りつくしている種族の中に留まっていたので、博士などと主張する人達よりもいい医者になった。さあ、お前さんの子供だ、─私の子ではないんだ、─声をきいても顔をみても親父などとは思わないだろう。だから、おまえさんの手でこの薬を飲ませなさい」。

そう言われてむずかる赤児も興奮気味の女性も薬を飲むが、暫くすると眠りにおちた。パラケルススという名前がでたので、おそらく阿片が処方されたのであろう。彼は英国出身の医師であった。彼の部屋には蒸留装置と薬物調整器具がおいてあり、森から薬草を採ってきては、実験をし、薬を作製していた。1846年には、米国の発見と称される「エーテル麻酔」が発明された。その画期的麻酔法はまたたく間に全世界に広がり、外科手術が無痛で実施されるようになった。しかし、博士などと呼ばれる人たちも、まだ手元に良い薬がない時代で、ヨーロッパに留学し、あちらから持ち帰った薬を使用していた。インディアンの秘伝の薬と50歩100歩であったろう。

200年ほど時代を遡り、東アジアに目を向ける。1680年に出版されたロバート・ノックス著「セイロン島誌」(濱屋悦次訳)を読むと、当時のセイロン、現在スリランカ、の医療および薬の事情がよくわかる。17世紀末のこと、病気の原因はまだ神や悪魔であり、治すには原因を特定しなければならない。しかし、病気になれば医師の処に行くのではなく、「だれでも自分で自分の病気を治す」が、一つの慣習であった。訳文を引用すると、「薬草の入手に関して、ここの人々は結構恵まれている。森が彼らの薬屋であって、そこで、草や樹の葉・皮を使ってすべての飲薬や膏薬を調合するのである」。「森が薬屋」であったという表現は、面白いと思った。何かあったら、すぐ森にでかけて、まさに草根木皮を採取して、薬物に調整していたのであろう。後述するが、蛇に咬まれた場合は、ある種の植物の根を治療薬として使用していた。森(自然)の活用という点では、セイロンもボストンも同じであった。現代風にいえば、森は「ドラッグストア」であった。ここまでくるにはまさに、数千年にわたる先人の苦労が偲ばれる。本書では、ジキル博士の変身薬を初め、古くから伝わる薬草や微生物から抽出された薬、また新規に合成された化合物の中から偶然に発見された薬の歴史を、発見した人物像を含めて「薬のふるさと紀行」として記述した。本書が、医療の現場で活躍する薬剤師、医師、看護師、あるいは現役の薬学生、医学生、看護学生、ならびに薬に関心のある人にとって、薬の原点を理解する一助となれば幸いである。


平成22年 雛の日
比叡山を眺めながら
岡部 進

■ 目次

1章 麻黄と喘息(エフェドリン)

2章 森はドラッグストア(レセルピン)

3章 抗結核薬の物語(ストレプトマイシン、イソニアジド)

4章 マクラウド教授と2人の若者(インスリン)

5章 悪性貧血と内因子(VB12、シアノコバラミン)

6章 腎臓からの抽出物(レニン)

7章 メッサーシュミット戦闘機と副腎皮質(コルチゾン)

8章 アバディーンの古城にて(エンケフェリン)

9章 モルヒネが脳内で産生(モルヒネ)

10章 「酒とバラの日々」との決別(ジスルフィラム)

11章 プロトンポンプ阻害薬(オメプラゾール)

12章 メルボルンのモルモット(炭酸リチウム)

13章 ベトナム戦争と抗精神薬(クロルプロマジン)

14章 溶媒転じて抗てんかん薬へ(バルブロ酸)

15章 東欧からの亡命者の偉業(メプロバメート、ジアゼパム)

16章 大西洋上での薬物治験(ジメンヒドリナート)

17章 淀君の病気と抗うつ薬(イミプラミン)

18章 ジキル博士の変身薬(テトラヒドロカンナビノール)

■ 特記事項

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